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埼玉県職員を希望する皆さんに対し、先輩職員からのメッセージです。
年月 |
所属 |
平成28年 4月採用 | 農林部 川越家畜保健衛生所 家畜防疫担当 |
令和 2年 4月 | 現所属 |
家畜(牛、水牛、鹿、馬、めん羊、山羊、豚、いのしし、鶏、あひる、うずら、きじ、だちょう、ほろほろ鳥、七面鳥等)の伝染病、特にウイルスに起因する疾病の検査・診断が主な業務です。検査は畜産農家や民間の獣医師から要望を受けて実施することが多いです。数は少ないですが依頼があれば、みつばちや動物園の展示動物についても検査することがあります。実施している検査項目は、遺伝子検査、ウイルス分離検査、抗体検査、組織学的検査等多岐にわたります。
また、行政が防疫対応に大幅に関与する特定家畜伝染病(口蹄疫、アフリカ豚熱、豚熱、高病原性鳥インフルエンザ等)と呼ばれる疾病の多くはウイルスに起因する疾病です。自分が実施した検査の結果が行政的な判断を下すための材料となるので、疾病の蔓延を防ぐために正確かつ迅速な業務遂行が求められます。現職は、自分が獣医師として身に着けてきたスキルが最も活かされる場であると感じており、そこにやりがいを持って日々業務を行っています。
家畜保健衛生所はほとんどの職員が獣医師で構成されています。中央家畜保健衛生所は県内に3か所ある家畜保健衛生所の中で最も職員数が多く、若手からベテランまで幅広い年代が所属しています。他担当の業務についても精通している方が多いので、縦割りにならずにフレキシブルに所全体で業務を行っています。自分も業務の兼ね合いによっては他担当の応援に出ることもあり、他に比べて担当間の横のつながりが強い職場だと感じています。また、育児休業取得も推進されており、実際に自分も令和2年度に約2か月取得しました。ワークライフバランスも大事にする機運が醸成されていると感じています。
時刻 | スケジュール |
8:15 8:30 9:00 9:10 10:20 11:00 12:00 13:00 15:00 16:00 16:30 17:00 17:30 18:30 19:00 19:40 20:00 20:30 22:00 |
出勤 メール・回覧文の確認 実施する検査の確認、スケジュールを立てる 培養細胞の継代 PCR検査のための検体処理 PCR検査 昼休み 抗体検査(中和試験) PCR検査結果確認(電気泳動) 検査成績書の作成 明日の会議資料を確認 検体を接種した培養細胞の状態を確認 退庁 買い物をして帰宅 夕食 子供の入浴 家事 子供の寝かしつけ 就寝 |
2019年に立て続けに豚熱が5例発生したことが印象に残っています。関東圏で初の発生であったこともあり、想定外のことが連発し疲弊していく中で、求められる仕事をしっかりとやり遂げなくてはならない難しさがありました。改めて日頃からの準備が大切であることを痛感した出来事でした。
また、家畜防疫担当であった間は管内畜産農家の飼養衛生管理向上が大きなタスクでした。飼養衛生管理を向上することは疾病発生のリスクを減らす上で欠かせないことではありますが、一方で畜産農家に金銭面や労力面で負担を強いる場合があります。当初はこちらの提案に難色を示されていても、重要性や必要性を説明していく中で徐々に受け入れてもらえるようになるのは非常に嬉しかったです。
大学時代に得た感染症学に関する知識や経験を地元で活かしたいと思い公務員獣医師を志望しました。民間の獣医師、研究職、国家公務員を目指す選択肢もありましたが、自分のノウハウを畜産農家に直接還元できることに魅力を感じ埼玉県職員を目指しました。地元のスーパーなどに県産の畜産物が実際並んでいるのを見ると、自分の職務の意義を改めて実感し、大きなモチベーションになります。
「コスパの良いコンパクトな畜産」の実現を目指したいと考えています。埼玉県の畜産の特色は消費者と生産者の距離が近いことだと感じています。新鮮な畜産物を消費者にダイレクトに届けることができるという良さがある一方、農場を大規模化するハードルが高いという難点があります。現在、全国的に農場の大規模化が進み一戸当たりの家畜飼養頭数が増加する傾向にありますが、今後埼玉県がこの潮流に乗り続けるには限界があると推察しています。また、人口減少による需要減、飼料価格の高騰等も大きな課題です。このような状況で、今後埼玉県の畜産を振興するためには「生産性」が非常に重要であると考えています。疾病のコントロール、ゲノミック評価等様々な側面から、畜産物の質・農場経営ともに向上させられる畜産形態の構築に貢献したいと考えています。
休日は息子と遊んで過ごすことが多いです。家族で一緒に近くの公園に出かけたり、買い物に行ったりしています。また、テレビゲームが趣味なので、時間がとれる時はひたすらモニターと向き合っていることもあります。
採用試験では面接試験の配点が大きくなっているので、面接試験のシミュレーションや練習が非常に重要になります。限られた時間の中で自分をアピールしなくてはいけないので、事前準備はしっかりしておいて損はありません。模擬面接を通して、内容だけでなく話し方、姿勢、表現などの改善点をいろいろな人に指摘してもらいブラッシュアップしていくと良いと思います。面接ではどうしても緊張してしまうものですが、場数を踏むことで落ち着いた受け答えができるようになっていくはずです。自分も大学の就職支援センターの方々に協力してもらい何度も模擬面接を繰り返しました。
近年は特定家畜伝染病がいつどこで発生してもおかしくない状況が続いており、今まで以上に公務員獣医師の力が必要とされています。獣医師として活躍する場を探している方はぜひ採用試験を受験し、埼玉県の畜産を盛り上げる手助けをしていただければと思います。