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掲載日:2023年10月20日
Q 戸野部直乃 議員(公明)
乳幼児の遺棄事件のニュースが後を絶ちません。望まない妊娠、予期せぬ妊娠によって、このような事件に至るまでに妊娠中の数十週間、母親は1人でどれだけ苦しく、思い悩んだ日だったか、ただただ切ない思いが残ります。
学校の授業で教えてもらわなかった性にまつわるあやふやな部分、不明瞭な部分は今やインターネットで簡単に情報が得られます。性行為だけに偏った誤った情報を、それが全てと受け止めてはいないでしょうか。ユネスコが作成した性教育の指針「国際セクシュアリティ教育ガイダンス」に示されている人権やジェンダー感、多様性、幸福を学ぶための重要な概念を伝える包括的性教育を今こそ進めていかなくてはなりません。
そこで、先日、性教育に力を入れている秋田県の教育委員会を公明党県議団として視察してまいりました。かつて、秋田県は人工妊娠中絶率が全国平均を大きく上回っておりました。衛生行政報告例によると、22年前の2001年には15歳から19歳の人口1,000人当たりの人工妊娠中絶の実施率は18.2人でしたが、2000年より取組を続けた結果、2019年には2.8人にまで減少し、現在は全国平均より低い数値を維持しています。
秋田県の性に関する指導は、子供たちが性に関する情報等を正しく選択して、適切に行動できることを目的とし、産婦人科医など外部講師による性教育講座や県医師会で監修・制作した性教育講座スライドを基にした授業を保健体育や生徒指導で実施するなど、5つのポイントから授業を進めていました。外部講師による性教育講座は、保護者の理解を得ることが課題となり、保護者の考えを把握するためのアンケートを実施していました。また、生徒に対して授業を受ける前後に実施されたアンケートでは、性的接触に関する意識に大きく変化が見られ、もっと自分のことを好きになることについて考えようと思った、自分だけではなく相手のことも大切にできる大人になりたいなど、包括的性教育の目的にかなったポジティブな意見が多数上がっておりました。
本県では、性に関する指導について各市町村に公立小・中学校等の授業の実施を任せています。学校によって産婦人科医などの外部講師を招いて指導を行っているところもありますが、地域差があるように感じます。秋田県の指導目的のように、県内の全生徒が性に関する情報等を正しく選択して適切に行動することができるよう、全教職員の共通理解の下、性の知識を身に付けていくことが重要と考えます。
そこで、3点質問いたします。
1、県内公立学校における外部講師を活用した性教育の実施状況。
2、外部講師による指導を県内の全ての公立学校で実施することについて。
3、学校で発展的な性に関する指導を進めるに当たっては、保護者の意識向上と更なる理解をしていただけるような取組も必要となります。学校における性に関する指導の現状の周知と保護者の考えを把握するためのアンケート等の実施について、教育長の見解をお聞かせください。
A 日吉亨 教育長
まず、県内公立学校における外部講師を活用した性教育の実施状況についてでございます。
県が、さいたま市を除く県内公立学校を対象に、毎年実施している「性に関する指導」の調査では、令和4年度に外部講師を活用した学校の割合は、小学校で20.6パーセント、中学校で70.1パーセント、高等学校では53.8パーセントでございます。
次に、外部講師による指導を県内の全ての公立学校で実施することについてでございます。
児童生徒が望まない妊娠や予期せぬ妊娠を避けるため、適切に行動することができるよう、性に関する知識を正しく身に付けることは、大変重要であり、指導の効果を高めるため、外部講師を活用している学校もございます。
「性に関する指導」は、学校が、児童生徒の発達段階に応じて特に必要があると判断する場合には、学習指導要領に示されていない内容を加えて指導することも可能とされています。
外部講師による、こうした指導を実施するかどうかは、校内において、児童生徒の心身の発育・発達などの差異が大きい場合もあることから、保護者の理解などを十分に踏まえた上で、学校において適切に判断するものと考えます。
県では、毎年、有識者や教諭、養護教諭などからなる「性に関する指導課題解決検討委員会」を開催しており、今後、新たに、外部講師を活用した効果的な授業の実践について研究し、一層の指導の充実に取り組んでまいります。
次に、学校における「性に関する指導」の現状の周知と保護者の考えを把握するためのアンケート等の実施についてでございます。
「性に関する指導」に対する保護者の意見は様々であると認識しており、学校で実施する「性に関する指導」の内容を知っていただくことは、保護者の学校への理解を深めるものと考えます。
これまでも、各学校においては、保護者に対し保健だよりや保護者会などを通じて、「性に関する指導」の実施内容等をお知らせしているところです。
今後、県では、PTA団体等とも連携し「性に関する指導」の現状を周知するとともに、外部講師を活用する場合を含め、「性に関する指導」に、保護者の参加を促すよう各学校へ働きかけてまいります。
併せて、こうした機会を捉えて、「性に関する指導」の充実を図るため、議員御提案の、保護者を対象としたアンケートを実施し、御意見などを把握してまいります。
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