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掲載日:2020年7月9日
Q 高橋政雄 議員(自民)
今、コロナ禍で毎日が身近な生活感でいっぱいというところかもしれない。不要不急の外出は自粛と叫ばれてきましたが、心に豊かな潤いをもたらす文化・芸術は果たして不要不急なのか。実は私たちを励まし続けてきた文化・芸術が今危機に瀕しています。特に若い芸術家たちは大変苦しい状況に直面しております。これら芸術家に対する支援が必要と思います。すてきな建築の美術館で美しい絵と出合ったときの震える思い、感動で流す涙のコンサート、じっと静かに物を思う博物館、私はたびたび世界の建築遺跡、現代建築を訪ねて勉強しておりますが、世界や日本の多くの美術館・博物館、音楽ホール、劇場などへも足を運んでおります。若いときに夜間で勉強した建築学と外国語が、今大いに役立っております。日本の文化もすばらしいのですが、ヨーロッパでは日本とは種類の違う長い歴史に育まれた文化、そのとてつもなく奥深い文化資産を強く感じている一人です。
さて、美術館・博物館についての質問に入る前に、前段、県立埼玉会館や彩の国さいたま芸術劇場についても触れておきたいと思います。
埼玉会館は、ル・コルビュジエを師匠とする建築家、前川國男の設計です。そこでは年四回、ランチタイムコンサートが開かれており、いいね、私はそのほとんどのコンサートへ行っているんだ。それにここの大ホールの音響がとてもいいんだ。名建築、そして名大ホールなんだよ。彩の国さいたま芸術劇場は何といってもシェイクスピアだね。英米の文化では、シェイクスピアを語れなければ英語も通じないんだ。「ハムレット」「ロミオとジュリエット」、そして「オセロ」、そのほか有名な物語を数多く残しております。それら作品は英米人の思考の原点にもなっていると言えます。これからもこれら県立の施設が埼玉県の文化・芸術の発展に大きく寄与していくことは間違いないと思います。
さて、美術館・博物館の充実に入ります。
まず言えることは、民間ではできない公立の美術館・博物館の果たす役割はとても大きいということだ。私は、日本各地の公立・私立の美術館・博物館等にてすばらしい収蔵作品と企画展示を見ております。感動することたびたびです。そんな各地の施設を見るたびに、私たち埼玉県の美術館や博物館と対比させて思うんです。勝ってるな、負けてるかな、どうかなとなります。県立唯一の美術館として北浦和にある近代美術館は、なかなかすばらしい絵画を収蔵しています。また、大宮にある歴史と民俗の博物館には武蔵武士の活躍を描いた気品と美しさの太平記絵巻や国宝の盾と短刀が所蔵されております。私もちょくちょく拝見させていただいておりますが、年間を通しての企画展、なかなか力を入れて開催しているのを感じております。
就任早々、教育長にお考えをお聞きいたします。近代美術館や博物館などにおいて、今後どのような企画展の構想をお持ちですか。さらに、公立美術館の使命としての美しい絵画を充足、提供することについて。
最後に、本県ゆかりの若い芸術家を広く紹介し、活躍の場を提供していくことにもっと積極的になるべきではと考えますが、教育長の御所見をお伺いいたします。
A 高田直芳 教育長
まず、近代美術館や博物館において、どのような企画展の構想があるのかについてでございます。
県立の美術館・博物館の役割は、本県の歴史や文化・芸術に関する資料を収集・保管し、調査研究を行うことにより、県民共有の財産を後世にしっかりと継承することでございます。
加えて、様々な資料の展示や体験活動などによって、県民の皆様の知的好奇心を刺激することや、楽しさを伝えるとともに、豊かな学びの機会を提供する役割も担っております。
県立美術館・博物館では、8館それぞれの専門分野に応じて、趣向を凝らした企画展を行っております。
例えば、歴史と民俗の博物館では、来年春から、本県の偉人である渋沢栄一翁の展覧会を実施いたします。
民間レベルで日米の友好関係を築くため、渋沢栄一が中心となって行った人形交流に焦点を当て、県内に残されている青い目の人形12体を一堂に展示するなど、渋沢栄一の功績を広く紹介する予定でございます。
また、近代美術館では、冬に「コレクション4つの水紋」と題した企画展を開催いたします。
本県ゆかりの芸術家など、4人の作品を中心に、ジャンルや時代を超えてつながりのある収蔵品を広く選び、紹介いたします。
引き続き、多くの県民の皆様に楽しんでいただける企画展を構想し、実施してまいります。
次に、公立美術館の使命として、美しい絵画を充足提供することについてでございます。
近代美術館は唯一の県立美術館として、埼玉ゆかりの芸術家や彼らに影響を与えたモネ、ピカソなど、海外の優れた芸術家の作品を収集することとしております。
平成20年度以降は、埼玉ゆかりの芸術家として、小村雪岱の作品など4点を、美術作品取得基金などを活用し収集いたしました。
また、平成30年度には、海外の巨匠の作品としておよそ20年ぶりに、ポール・シニャック《アニエールの河岸》を購入しております。
寄贈をいただいたものとしては、本県ゆかりの芸術家の森田恒友や瑛九の作品などがございます。
議員御指摘のとおり、文化・芸術には心に豊かな潤いをもたらし、人々を励ます力がございます。
今後も、美術作品取得基金を活用するなど、収集方針に合致する素晴らしい作品を、県民の皆様に提供できるよう努めてまいります。
次に、本県ゆかりの若い芸術家を広く紹介し、活躍の場を提供していくことについてでございます。
近代美術館では、平成4年度以降、本県ゆかりの芸術家の発表の場として、企画展シリーズ「New Vision Saitama」を5回開催し、若手芸術家の未発表作品も含めて紹介しております。
また、夏休みの子供向け教育普及事業「サマー・アドベンチャー」では、芸術家をワークショップの講師に招き、子供たちと一緒に創作活動を行う場を提供してまいりました。
今年度は、企画展「New Photographic Objects」において、本県ゆかりの2名を含む新進の芸術家4名と1組の展示を現在行っており、秋には、本県出身で国際的に活躍する20代の芸術家の展示を予定しております。
今後も事業内容の更なる充実を図り、若い芸術家の創作活動を支援するとともに、その活動を県民の皆様に広く伝え、関心を深めていただけるよう取り組んでまいります。
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