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掲載日:2024年10月8日
Q 塩野正行 議員(公明)
今年8月、決してあってはならない国の行政機関における障がい者雇用の水増し問題が発覚、障がい者雇用数を実際より3,460人多く計上していたとの調査結果が発表されました。国の33機関のうち8割超の27機関で水増しが行われ、その結果、本来雇用されるべき障がい者の雇用が失われる結果となったことに憤りを禁じ得ません。
障がい者団体からは、障がい者の働きたいという願いを踏みにじるものだ、政府にはしっかりとした対応をとってほしい。また、非常に残念だ。企業に悪影響が広がり、障がい者雇用の意欲をそぐような事態となっては困る。襟を正し、早急に全容解明と再発防止策を示してほしいといった厳しい声が上がっています。当然であります。
甚だ残念なことに、国だけでなく、本県教育委員会をはじめ多くの地方自治体でも同様の事態が次々に明らかになりました。障がい者を雇用する際、本来は障害者手帳などで確認することになっています。それを怠ったことが直接の原因ですが、なぜきちんと確認しなかったのか徹底的な究明が必要です。
また、地方自治体も含め第三者による客観的な実態の把握、法定雇用率の達成に向けた具体的な取組が求められます。行政機関には未達成の場合の納付金も課されず、第三者によるチェックもないまま、ただ数字のみを報告すればよいという現行制度の見直しも不可欠です。
そこで、教育長に伺います。教育委員会は9月6日、再調査の結果、今年6月時点で報告していた障がい者雇用数574人が実際には430.5人だったこと。なお、小数点以下については、週20時間から29時間の短時間雇用者は0.5人と換算いたします。その結果、障害者雇用率は当初の2.21%を大きく下回る1.66%だったことを発表しました。雇用している障がい者の約3割が該当者ではなかったわけであります。ゆゆしき事態であります。
まずは、なぜこのような事態が生じたのか、なぜ防げなかったのか、その理由についてお答えください。
原因の究明と同時に、今後の対応が大事になります。現に働いている方々の雇用は守りつつ、教育委員会の法定雇用率2.4%の早期達成に向け具体的にどう取り組んでいくのか、答弁願います。その際、一時的に短期雇用を増やすような単なる数合わせではなく、長期的な雇用を生み出す努力がなくてはならないことを申し添えておきます。
次に、知事に伺います。
知事部局においては水増しはありませんでしたが、だからよしとするわけにはいきません。今回の問題をより積極的な障がい者雇用につなげていく契機にしなければなりません。国や地方自治体において問題が生じたことで最も懸念されるのが、先ほど紹介したように民間企業の意欲をそぐのではないかということです。
障がい者雇用に積極的なある企業の担当者は語っています。多様な人間の能力を存分に発揮することで会社を強くし、変化への対応力と柔軟性のある組織を作るために障がい者を雇用している。障がい者雇用がなぜ必要かを根本から本気で考え直してほしい。それが1番の再発防止につながるはずだとおっしゃっていました。障がい者を雇用することが会社を強くするとの視点は極めて重要です。
今回の問題を機に障がい者雇用をより積極的に位置付け、共生社会の構築に結び付けていく、知事部局において、また民間企業に対して障がい者が生き生きと働き、活躍できる環境をどのように整備していくのかお答えください。
A 上田清司 知事
このたび、教育委員会が障害者雇用率の算定において不適切な数値を計上していたことが判明いたしました。
障害者雇用を推進する立場の県が障害者雇用率制度を守っていなかったということは、行政に対する信頼を損ねるものであり誠に残念であります。
県民の皆様に率直にお詫びいたします。
まず、知事部局において、障害者がいきいきと働き、活躍できる環境をどのように整備していくか、についてでございます。
障害者が働きやすい職場は、誰にとっても働きやすい職場でございます。
県庁は御案内のとおり庁舎が狭あいであるという物理的な制約を受けています。
したがって、障害者の執務環境としては必ずしも十分ではございません。
それでも可能な限り障害者に働きやすい施設づくりに努めてまいりました。
多機能トイレの設置など庁舎のバリアフリー化や、執務室内の動線を障害者に配慮したレイアウトに変えるなど、環境整備を進めております。
また、障害者の職員が働く際に周囲の理解が欠かせません。
そのため、障害者に対する理解を深め必要な配慮について学ぶ研修を実施し、職員の意識啓発に取り組んでいます。
障害者を対象とした職員採用選考の受験要件の見直しも進めてきました。
平成29年度は受験生の年齢上限を29歳から34歳に引き上げてまいりました。
平成30年度からは身体障害者に加え、精神障害者も対象といたしました。
平成30年6月1日時点の知事部局の障害者雇用率は2.67パーセントとなっており、法定雇用率2.5パーセントを上回っております。
今後も、この問題を機に知事部局における障害者の雇用の拡大に更に取り組んでまいります。
次に、民間企業に対しての環境整備についてでございます。
県はこれまで民間企業の障害者雇用を進めるために、障害者雇用サポートセンターや障害者職場定着支援センターを設置し、三つの視点で取り組んでまいりました。
一つ目は、雇用の開拓です。
障害者雇用率未達成の企業には、直接、障害者雇用開拓員が訪問して、経営者に対して率直な意見交換を通じて雇用の働き掛けを行っております。
二つ目は、就業の支援です。
特例子会社の設立支援をはじめ、具体的な仕事内容の提案から施設などの環境整備に関する助言を行い、企業における障害者の受入環境を整えてきました。
三つ目は、定着の支援です。
障害者の雇用は定着支援が最も大切であることから、就職後においても働きやすい職場環境づくりをアドバイスするジョブコーチを派遣し、障害者と企業を支援しております。
こうした取組により民間企業の障害者雇用率が昨年6月1日時点で
2.01%となり、障害者雇用が義務化された昭和51年以来、初めて法定雇用率を達成いたしました。
これもひとえに、各企業の皆様が障害者雇用を前向きに考え御尽力いただいた結果と感謝しているところでございます。
平成23年の全国順位は残念ながら埼玉県は最下位でしたが、第28位まで上昇させることができました。
なお、東京、神奈川、千葉、大阪、愛知など大都市圏においては苦戦をしております。
おしなべて40位から47位で推移しております。
そういう中でも、埼玉県の企業の皆さんたちには、大変な御尽力をいただいて、全国28位までのぼることができております。
この4月から法定雇用率が2.2%に引き上げられました。
そこで、これまでの流れを更に加速するため、この4月に組織を再編・強化し新たに障害者雇用総合サポートセンターを北浦和に設置したところでございます。
これにより、一つの機関の下で情報の共有化が図られ、これまで進めてきた雇用開拓、就業支援、定着支援といった一連の流れが円滑に進み、企業のニーズに応じたよりきめ細かな支援が可能になります。
人それぞれ様々な才能があります。
意欲と能力に応じて、それぞれの希望に沿った仕事に就くことが可能となるような社会に向けて環境づくりを進めていくことが大事だと認識しております。
今後とも、就業を希望する障害者が働くことのできる環境づくりを進め、一人でも多くの障害者が生き生きと活躍できるよう雇用の拡大に向けてしっかりと取り組んでまいります。
A 小松弥生 教育長
障害のある生徒の就労を支援する立場である教育委員会において、障害者雇用率に不適切な数値計上があったことは、教育行政に対する県民の信頼を損なうものであり、深くお詫びを申し上げます。
まず、何故このような事態が生じたのか、何故このような事態を防げなかったのか、その理由についてでございます。
障害者雇用率の算出に当たりましては、厚生労働省のガイドラインに、障害者手帳等により障害者であることを確認することとされております。
しかしながら、障害者手帳がなくても、1級から6級に相当する状態であれば、障害者として計上して差し支えないとガイドラインを拡大解釈しておりました。
この解釈のもと、教職員の自己申告や人事異動希望調書などの人事資料に基づき障害者に含めていたことが、不適切な数値計上の原因でございます。
また、毎年度、このような解釈に基づき調査をしてきたため、国の障害者雇用に関する問題が明らかになるまで、解釈が違っていたことに気が付かなかったものでございます。
次に、法定雇用率の早期達成に向け、どう取り組んでいくのかについてでございます。
平成30年6月1日現在の障害者雇用率の再調査をした結果、
1.66%となり、そのうち、職員全体の約9割を占めている教員の雇用率は1.04%と低い状況でございます。
教員採用選考試験においては、障害者特別選考を実施しておりますので、1人でも多くの教員に受けていただき雇用できるよう、さらなる周知・工夫に努めてまいります。
また、教育委員会において障害者雇用をさらに進めていくためには、障害のある教員が働きやすい環境を整備していくことが大切でございます。
例えば、障害のある教員が他の教員とペアを組んで指導したり、小学校の体育の授業を他の教員が受け持ったりするなど、市町村教育委員会の理解と協力を得て進めていくことが必要でございます。
そのほかにも、より多くの雇用を生み出すためには、障害者雇用に力を入れたり、先進的な取組をしている民間企業などにも学ぶべきことがあると思います。
そこで、学識経験者や民間企業などの外部有識者、市町村教育委員会関係者等で構成する委員会を設置して、今後の具体的な方策を検討し、すぐに取り組めるものについては、中間報告で取りまとめ公表して実施していきたいと考えております。
今後、より一層、障害者が働きやすい環境を整備し、法定雇用率をできる限り早期に達成するよう、全力で取り組んでまいります。
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