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掲載日:2019年6月26日
Q 塩野正行議員(公明)
首都圏広域地方計画は、首都圏における今後10年間の国土形成に関する基本的方針や目標、施策を策定したものであります。同計画の中で埼玉県は、東日本のネットワークの結節点として連携交流機能の集積強化を図るとともに、災害時のバックアップ拠点機能の強化を図ることが求められております。また、首都圏の課題の一つとして挙げられているのが減災防災と一体化した成長発展戦略の必要性と防災力の強化であります。
これまで、防災減災対策は経済成長の観点からはコストとして認識され、防災減災と経済成長は別々に議論されるのが一般的でしたが、インフラが完成することで防災減災に寄与するだけでなく、物流や観光など中長期的な経済効果を発揮する、いわゆるストック効果を重視すべきとの考えに立っております。つまり、防災減災対策が経済成長を牽引する、その意味でも防災減災対策を強化することが今最重要であると私は考えます。
そこで伺います。第一に、東日本の中心拠点としての連携交流機能の集積強化を今後どのように進めていくのかお答えください。新幹線や高速道路網の整備による埼玉県の特徴を生かした政策展開が今まで以上に求められております。
第二は、首都直下地震など災害時の対応です。首都機能のバックアップ拠点としてどう取り組んでいくのか伺います。また、埼玉県地域強靭化計画にも具体的に盛り込む必要があると考えますが、いかがでしょうか。さらに、荒川下流域の東京都内では荒川を震災対策の要にする取組が具体化しています。荒川河川敷を避難場所に指定しているほか、夜間でも作業ができる緊急用船着場を設置し、復旧活動に必要な資機材や救援物資などの輸送を行います。埼玉県内でも、秋ヶ瀬緊急用船着場の整備が国の今年度予算に盛り込まれたところであります。陸路の使用が制限された場合、河川が震災対策の正に要となります。首都機能のバックアップのためにも、荒川を活用した震災対策を更に進めるべきと考えます。併せて知事の御所見を伺います。
A 上田清司 知事
まず、東日本の中心拠点としての連携交流機能の集積・強化を今後どのように進めていくかについてでございます。
国は本年3月、関係都県などの意見を踏まえ、概ね今後10年の首都圏の姿を示す「首都圏広域地方計画」を定めたところでございます。
計画では、首都圏の国際競争力を強化しつつ、東京に集中する機能を分散するため、首都圏全域に地域間連携の拠点を形成する必要性が示されております。
その一つとして、本県を首都圏の玄関口として、東北圏・北陸圏・北海道との連携拠点とする構想が示されました。
昨年3月には大宮駅を通る北陸新幹線が、本年3月には北海道新幹線が開業しました。
また、昨年10月には圏央道の県内区間が全線開通したことで、東北、関越、中央、東名の各高速道路が直結いたしました。
今後は、地域間連携、交流における本県の優位性をより一層生かすことが重要だと思います。
例えば観光では、大宮には拡張予定の鉄道博物館があり、少し足を延ばせば、年間600万人以上が訪れる小江戸川越があります。観光拠点としても期待ができます。
また、毎年、さいたまスーパーアリーナで開催しています「彩の国ビジネスアリーナ」では、東北、北陸などからも多数の企業が参加しており、本県経済の活性化につながっております。
さらに、さいたま市における大宮駅の機能強化の検討や、本年4月に事業化された新大宮上尾道路などをしっかり進め、本県の優位性を更に高めていく考えです。
今後とも、本県が首都圏と各圏域をつなぐ結節点として、また、東京のバックアップ機能が果たせるようさいたま市などと連携して取り組んでまいります。
次に、首都直下地震など災害時に首都機能のバックアップ拠点としてどう取り組んでいくかについてでございます。
議員のお話にもございました「首都圏広域地方計画」には、災害時のバックアップ拠点機能の強化方策が示されております。
その一つとして、国の出先機関が集結するさいたま新都心付近を緊急災害対策派遣隊、テック・フォースの進出拠点に位置付けることが盛り込まれております。
私はかねがねから東京が被災した際、さいたま新都心が首都機能をバックアップすべきと繰り返し主張をしてまいりました。
併せて、本県が広域から集まる救助部隊や救援物資の集結拠点となり、一体となって東京に支援部隊を送り込むべきとも申し上げてまいりました。
本県には海岸線や石油コンビナートがなく、首都圏が同時被災した場合でも比較的被害が少ないであろうと考えられるからであります。
また、新幹線や縦横に走る高速道路網などにより、本県が国内屈指の交通の要衝になっているなど地理的優位性を持つからであります。
本県は、東北、上信越、関西方面などからの支援の「受け皿」、「つなぎ役」としての役割を果たすべきだと思います。
先の埼玉、群馬、新潟の三県知事会議においても、本県の官民の拠点を活用して東京への物資支援を行うことについても合意したところでございます。
今後は、本県が一種のリーダーシップを発揮し、合意事項の具体化を図ってまいります。
次に、埼玉県地域強靭化計画についてでございます。
国土強靭化の理念は、人命を守るとともに国土の重要な機能が致命的なダメージを受けないように事前に対策を取ることであると思います。
現在、本県では、有識者やライフライン事業者などによる専門委員会を設け、「埼玉県地域強靭化計画」の策定に取り組んでおります。
この計画でも、議員御提案のように、首都機能の維持・復旧をバックアップすることを主な目標の一つに掲げ、対応策をしっかりと盛り込んでおります。
最後に、荒川を活用した震災対策についてでございます。
議員御指摘のように、地震等により道路の損壊が著しく、陸上の交通網が寸断された場合、河川を利用して人や物を輸送することは有効な手段であります。
本県では、東京都と連携して荒川における水上バスなどを使った帰宅困難者の輸送訓練も行いました。
このような船による帰宅困難者の輸送のほか、災害時に河川を利用すれば救援物資や復旧資材を東京へ送るルートとしても期待ができます。
このため、川口、戸田、秋ヶ瀬などに国が整備している緊急用船着場を円滑に活用できるよう、国や本県を含めた関係都県市で検討を行っているところでございます。
今後、道路を利用した救援ルートに荒川も加え、より重層的なルートの確保に努めてまいります。
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