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掲載日:2023年1月12日
環境科学国際センター研究課題(化学物質・環境放射能担当/H30~R2)
人工化学物質をトレーサーとして用いた地下水の汚染源特定に関する基礎研究
(化学物質・環境放射能担当:竹峰、大塚、堀井、蓑毛、茂木、野村/H30~R2)
地下水保全の現在の課題の一つとして、環境基準の超過率が最も高い硝酸及び亜硝酸性窒素による汚染が挙げられます。汚染原因としては、生活雑排水や家畜排せつ物の不適正処理、過剰な施肥等が考えられており、汚染対策には汚染原因を把握し、効果的な施策を検討する必要があります。汚染源を特定する化学分析法として、複数のイオン成分を分析する方法が提示されているが、複合的な汚染の場合、解析することが困難であり、汚染対策が進まない一つの要因となっています。本研究では、各汚染源に由来する人工化学物質をトレーサー(追跡指標)として選定し、地下水中の硝酸及び亜硝酸性窒素の汚染源特定への利用可能性を評価することを目的とします。
平成30年度第1回研究審査会コメント
研究課題
人工化学物質をトレーサーとして用いた地下水の汚染源特定に関する基礎研究
研究審査会コメント
- 汚染源の特定はこれまでその汚染物質の有する特性で行われてきました。しかし、本研究では、その地下水に含まれる特異な物質で特定を行おうとするものであり、新しい発想に基づいた、極めて将来性の高い研究です。
- 埼玉県内で地下水が汚染されている地域はそれなりに多く、環境保全のためには早急に取り組むべき課題です。汚染源が特定されれば、その対策を検討することができるようになるので、ぜひとも進めるべきと思います。
- 研究計画・想定に沿って有効なトレーサーを特定出来た場合、対策検討への有用性が期待できます。ただし、有用性はトレーサーの汚染源特定の精度の大小にも依存し、研究の成否は候補選出するトレーサーの定量的な精度をみて評価していく必要があります。
- 汚染源特有の物質も複数あると予想されていますので、ヘキサダイアグラムではありませんが、複数の指標物質をうまく見つけ出し、パターン化ができるようなところまで行えると実用上有益と考えます。
- 汚染源からの排水をできるだけ多種類・多数サンプリング・測定して、そのばらつき等を慎重に検討していただきたい。その結果から、どの程度まで信頼性のある汚染源解析が可能かについて情報が得られると同時に、基礎的情報としてきわめて重要と考えます。