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掲載日:2023年8月10日
ここから本文です。
モデレーター 晝田浩一郎
私、官民連携事業研究所で自治体と企業をつないで、官民連携の促進、ともにつくる共創の促進をしております。晝田浩一郎(ひるた こういちろう)です。もともと、私自身もですね、愛知県の岡崎市役所の公務員をしておりましたが、今回、埼玉版スーパー・シティプロジェクトの共創の推進の一助になればと考えて、この企画を実施しております。
今回はですね「スマート技術活用のヒント」と題して、埼玉版スーパー・シティプロジェクトをはじめ、スーパーシティであったりだとか、スマートシティって言われるようなプロジェクトにおいてどのようなことを実施していくことが実現のヒントになるか。
それを専門家である土屋さんをお招きしてですね、知見を共有いただければなというふうに考えております。
繰り返しになりますが、後日、アーカイブ動画の配信もあるため、レコーディングをさせていただいております。御承知おきください。
コロナでね、いろいろなことが変化してきている時代ではあるんですけども、リアルだけじゃなくてこうしたオンラインも随時ですね、活用しながら進めていければなというふうに考えております。
また、今日はたくさんの方が埼玉版スーパー・シティプロジェクトであったりだとか、スマートシティ、スーパーシティといった部分、または共創、官民連携に興味・関心のある方がたくさん参加いただいてるかなと思いますので、是非ですね、みんなでこの場を盛り上げながら、スタートしていければなと思っております。是非ですね、チャットも活用していければなと思っておりますし、今回、画面オフ、ミュートで御参加をいただければなと思っております。
ではですね、早速始めていきましょうと思っておりますので、随時皆さん、チャットの方に感想であったりだとか、質問であったりだとか、そういったことも書いていただければなと思います。
自由にですね、この後土屋さんにお話いただいて、後半、質疑応答の時間も設けられればなと思っているので、その場面も含めてチャットでみんなでこの場を作っていくっていうことをお願いいたします。
では土屋さん、軽く、まず自己紹介をしていただいていいですか、土屋さん。
登壇者 土屋俊博
はい、よろしくお願いします。今回は機会をいただきまして、ありがとうございます。
私、一般社団法人スマートシティ社会実装コンソーシアムというところで、コミュニティマネージャーをやっております土屋と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
モデレーター 晝田浩一郎
よろしくお願いします。
そんなですね、一般社団法人スマートシティ社会実装コンソーシアム コミュニティマネージャー、あと、神戸市のスマートシティアドバイザーでもある土屋俊宏(つちや としひろ)さんからですね、まず最初は、講演といった形で50分程度お話をいただいて、そのあと、質疑応答というかクロストークといった形で、一緒に時間を過ごせればなと考えております。
では土屋さん、早速ですけども、準備よろしいでしょうか。
登壇者 土屋俊宏
ありがとうございます。晝田さんの仕切りはとても安心感があって、いつも参加しやすいなと思います。よろしくお願いします。
画面共有してもよろしいですかね。よろしくお願いします。今日はスマート技術活用のヒントということで、一席持たせていただきます。よろしくお願いいたします。
この埼玉版スーパー・シティプロジェクトということで、先週ですかね、7月11日に開催されましたイベントにもお邪魔させていただきました。
今日は、スマート技術活用のヒントということで、いくつかお話を最初50分程度と言っているんですけども、多分もうちょっと早く終わったりするかもしれませんが、できれば皆さんとですね、後半、いろいろともやもやっとしたことがあろうかと思いますので、そういうディスカッション等をですね、させていただければと思いますので、チャットの方ですね、御遠慮なくお書きいただけたらと思います。特に何か質問とかじゃなくても、単なる感想ですとか、何かこんなもやもやがあるんですよねとか、何かこれいいなみたいな話があれば書いていただけると、拾ってまいりたいと思います。
最初自己紹介ですけども土屋と申します。
先ほど申しましたが、一般社団法人のスマートシティ社会実装コンソーシアムの事務局でコミュニティマネージャーとして活動しております。この社団法人は昨年の5月にできたばかりなんですけども、今1年ほど経っておりまして、その名のとおりですけども、実証ばかりで中々実装に行きつかないという課題に、ストレートにですね、立ち向かっていこうということで作られました。社会実装がどういうふうにしたら進んでいくかなということを、日々考えながら会員の皆様と一緒に活動をしております。
今年度から、神戸市さんのスマートシティのアドバイザーということでやらせていただいておりまして、神戸市さんの方でも、いわゆる市民主体のといいますか、地域課題に立脚したスマートシティの実現ということで進められているところで、お手伝いをさせていただいております。
他ですね、いろいろなプロフィールが並んでいるんですけども、関連するところで中小企業診断士というですね、正に中小企業の皆様の支援を行うというところで、特に私はベンチャーとかスタートアップの支援ですとか、あと地域ですかね、南伊豆町というところが静岡県にあるんですけども、そういったところの地域の活性化みたいなところで、ちょいちょい行っております。
今の住まいはですね、千葉県の流山というところにおりまして、今日も流山の自宅から配信しております。川を挟んで三郷市と向かい側にございますので、気温も埼玉県ほどじゃないにせよ同じぐらいの暑さのところで過ごしております。シビックテック等をやらせていただきながら、実際市民の立場で色々な具体的なサービスの創出等ですね、そんなことをやっております。
番外で書いてあるんですけども、ある時縁がありまして、内閣府の科学技術イノベーション推進事務局というところで、スマートシティのリファレンスアーキテクチャーですとかガイドブックですとか、そういったところの策定に携わらせていただいたという関係がありまして、その時作ったいろいろな国の発行物ですかね、非常に専門の方々の知見が詰まったものではあるんですけども、やっぱり公表というか、そういったものを広めていくための機能っていうのがいかんせん弱いというか、中々伝わっていかないなというもどかしさがあってですね。当時も結構プロモーション的なところに力を入れていたんですけども、ここの任は離れてはいるんですけども、引き続きスマートシティの業界を盛り上げていこうということで、こういったような概念の普及促進にも協力をさせていただいております。
いろいろやっているんですけども、プロファイルをですね、リッドリンクというもので今、作り始めたところです。もし御興味ありましたら御覧いただけたらと思います。
ということで、本日のお品書きなんですけども、スマート技術の活用ということで、スマートシティやスーパーシティといったもの、これがどういったものなのかを含めて、基礎的な知識を得るためのセミナーです。
これからのまちづくりということで主に埼玉県におられる自治体の皆様ですとか、この埼玉版スーパー・シティプロジェクトの応援企業として登録をいただいてる皆様がですね、スマートシティという分野で一体どんなことができるだろうか、ということを考えていただいているかと思いますけども、できるだけ具体的に、どこかしらの何かしらの活動が始まっていけばということを願っておりまして、お話をさせていただきます。
(項目は)5つありまして、そもそもスマートシティって何だっけということで、どんなサービスが世の中にあるんだっけということ、あと皆さんよく質問されるところなんですけど、そもそもこのスマートシティといえば都市OS・データ連携基盤が必要だみたいに言われているんですけど、そもそもこれいるんだっけみたいな話。
あとですね、サービスとかシステム、スマート技術を活用して、何らかのサービスシステムを作ると思うんですけども、実際に手を動かしてそのプログラムを組むみたいな方は、今日の参加されてる方の中には余り多くないのかなというふうに思います。多くの方々は、大きな枠組みとか座組を作ったりですとか、大きなサービスを作るみたいなことだと思うんですけども、そのシステムみたいなものですとか、その技術の活用みたいなところは詳しい技術者の方に作っていただくというところになるのかなと。そういう作ってもらうような立場において、どんなことに気を付けていったらいいのかということを解説をさせていただきます。
最後、私たちと書いてありますが、ちょっと手前みそではあるんですけども、我々の社会実装コンソーシアムで、サービス技術活用でどういうふうなやり方をしてるのかということを御紹介をさせていただきます。
登壇者 土屋俊宏
そもそもスマートシティって何だっけという話なんですけども、いろいろな地域で実はうちのまちのスマートシティはこういう絵だというのはたくさんあるんですけども、そういったところを跨った、いわゆるメタの定義ということで、内閣府のホームページの方でこういった形で掲載がされております。
ICT等の新技術を活用しつつ、マネジメント、シティですからそのまちの計画、整備、管理、運営等の高度化という手段により、都市や地域の抱える諸課題の解決を行い、また新たな価値を創出し続けるという、そういう動作を取ることによって実現する、持続可能な都市や地域であり、Society5.0の先行的な実現の場であるというふうにしています。こういう状態を目指しましょうと。
防災ですとかエネルギー、金融、自動走行、セキュリティ、健康、医療、介護等いろいろな分野の高度化というのを、それぞれやられているかと思いますけども、そういったものをいわゆる地域とか都市とかそういう単位で、より有効な形に持っていくというところで、そこにおいて分野を跨るデータの利活用というものがされているような状態になっている。そういうような都市や地域を指していますというのが、いわゆるメタ的な定義でございます。どこの地域も遠からず近からずという感じかと思います。
こういう大きな提言にのっとって、各地域で、うちのまちではこういうまちを目指していきましょうというような計画を作るための大きな指針になるような定義なのかな、というふうに考えております。
これをですね、今日はスマート技術の活用というテーマなんですけども、ちょっとこの構造に分解していきましょうと。
まずスマートシティというのは、本当にシティ、まちですから、いわゆる人の集合体とかコミュニティーそのものが構造化されたものですと。そういうやり方そのものをスマートシティというふうに言っております。
そのまちには、もちろんそのまちに住んでいる方々がいたり、そこを訪れる方々がいて、そういうまちの恩恵を享受する方々がいます。そういった方々に対して、何らかのサービスというのが提供されていますと、都市に住む・訪れる人々に対して、何らかの便益を与える、そういうサービスが存在します。そのサービス、いわゆる便益を実現するような利益、仕組みや仕掛けといったようなもので、ここにおいていわゆる分野を跨るデータ連携の仕組みと、これも一つの仕組みですね、そういったものも含めた何らかのシステムというものが存在をしますと。
今回テーマになっているスマート技術というのは、何らかのこういうサービスとかシステムを構成するための個別の要素であるというふうに、捉えていけるかなというふうに思います。
今回のお題ですね、スマート技術ということなんですけども、最初からこのスマートシティの作り方みたいに言っても、余りに遠すぎて何から手をつけたらいいか全く分からないし深遠すぎるので、そういったところではなくて、もうちょっと逆の方から、技術・テクノロジーをどういうふうに使って、どういうふうにサービスやシステムを組んでいったらいいのかというような、そんな観点で考えていただけるような機会になればというふうに思います。
その時、こちらスマートシティ・リファレンスアーキテクチャということで、2020年の3月ぐらいに出されたものなんですけども、これはSociety5.0をベースに統一したアーキテクチャの構造と書いてありますけども、いろいろな分野のデジタル化、データ化を進める時に考えなければいけない要素を網羅したものを、Society5.0のアーキテクチャという形で定義がされているんです。
いわゆる利用者中心、利用者と言っているのは都市の利用者、住民の方とか企業とか、観光客の方とか、そういった方々に対して、どんなサービスを提供するのかという一番真ん中に通った軸を境に、その両側で、いわゆる都市のマネジメント、マネジメントと言っているのはスマートシティビジネス、ビジネスという書き方をするとちょっとイメージがあれかもしれませんけども、いわゆる都市自体がきちんと回るようにできているそういう仕組みのことを言います。
それですとかスマートシティを推進するような組織、これは自治体の皆さんもそうですし、関連するいろいろな団体の方々を含めて、いわゆる組織モデルといったようなもの。こういったものを規定する戦略・目標ですとか、KGI・KPIの設定ですとか、こういったフレームワークがあり、他方で、このデジタルの要素を活用していかに効率化するか、人口減少していく日本において、いかにこの仕組みを高度に進めていくのかというために考えられた都市OSという、まるっと都市をオペレーティング、オペレートする、都市を維持していくためのいろいろな自動化されたシステムといったものがあります。そういったシステムを動かすために必要なスマートシティのアセット、アセットと書いてあるのはいろいろなデータを取り込んでくる口というふうに考えていただけたらと思いますけども、そういうシステム的な共通の土台があって、この両方を、いわゆるアナログ的な要素とデジタルの仕組みというものを、全体を跨るスマートシティのルールというもので包含をして、このサービスというものを作って、そこの利用者の方々に提供していこう、ということでございます。
その時、技術といった時に何となくこの都市OSと言われるオペレーティングシステムに含まれるいろいろな技術とか、スマートシティのアセットみたいな、そういったものも要素・技術ではありますけども、最近はその組織のまわし方みたいなこととか、体験デザインをより高度化するための方法論とか、そういった都市のマネジメントをする上での技術というものもあったり、ちょっと広く捉えていただけたら良いのかなというふうに思っております。
スマートシティを作る時に考えなければいけない全体像というのをこのリファレンスアーキテクチャで定義をした上で、もう一つスマートシティのガイドブックというものが2021年の3月に提示されております。
これが、いわゆるスマートシティみたいなものを作っていこうというときに、進めていくためのプロセス・見取り図ですね。最初、初動の段階では、何かしらプロジェクトを作っていくための体制、取組体制を作っていくというようなこと、庁内の体制を作っていくとか、まずアドバイザーの方から話を聞いてみようということとか、地域の関係者の方々との関係を作って評価していくみたいなこと。そこから、準備段階ということで、実際に推進体制、これ庁内の体制ですとか外の関係地域の方々も含めて組織を作っていくということも含めて、こういったところから地域の強み弱みを分析してビジョンなどを取りまとめて、こういう方向性でいきましょうとなってから、市民の皆様への理解を醸成するとか、こういう都市OSみたいなものの必要性を理解するとか、そういったことを並行で進めていきながら、計画作成と実証・実装段階と定着・発展段階という形で進めていくということでございます。
結構「都市OSを入れたらスマートシティか」みたいな話があったりするんですけど、全くそんなことはなくて、やっぱり体制とか、特に資金的な持続性なんか、新しい仕組みを入れるとそれを維持するための何らかの担保が必要になってくるというところで、実はこの資金的な持続性が結構ネックになっているケースというのが多くあります。技術を活用するということ以前に、その技術をどういうふうに生かして効果を発揮していくか、その効果に対して地域で理解・納得を得ていくかみたいなところが、実は大事だったりするんだろうなというのが実態でございます。
そんなスマートシティはどれぐらいあるのかということなんですけども、これは直近6月30日に公開されたスマートシティ関連5事業の採択結果でございます。全部で大体50~60ぐらいの申請があったと聞いておりますけども、そのうち合同審査会ということで、いろいろな省庁でそれぞれ事業を進めているんですけども、省庁を跨ってですね、採択すべきというか、進めていくことで優良事例たり得るようなものというのも採択されているということでございます。
32の地域で34事業を選定されているということでございます。見ているとですね、埼玉県はこの4番目ですかね、さいたま市さんの1件のみということで、結構、中部・関西とか福岡の方とかで非常に多く出ているなという、そういうふうに見えてしまっているという形でございます。
このほかですね、スマートシティ関連事業とは呼んではいませんけども、デジタル田園都市国家構想の交付金といったものは昨年度、一昨年度あたりからも出ていますけども、この中でデジタル技術を実装したタイプというものもございます。この採択結果として、994の団体で事業の件数が1,847件、交付対象事業費は計656億。国費から出ているのは381億ということですけども、これだけの団体数、全部で自治体が1,700いくつかありますから、その内6割ぐらいのところで何らかの取組がされているということでございます。
この地方公共団体の数も、元々は2025年に1,000団体みたいなことを言っていたかと思いますけども、もう既にこの年の3月10日に発表した時点で1,161団体で何らかのデジタル化の取組というのが、一つの単独のサービスを導入するといったことも含めてのカウントですけども、達成されていて、今後は1,500団体みたいな形でKPI等置かれているんですけども、やっぱり少なからず、多くのところで既に何らかのデジタル投資がされつつあって、そこで横展開できそうなものもいくつか出てきており、そういったものを活用していくみたいなことは、今後こういった形で推奨されていくのかなというふうには思います。
何となくこれを見てると、取り組んだ自治体が多くなればいいという形にどうしても見えてしまうんですけども、やっぱりある程度考えられそうなことは、かなりこの事例集でも相当出てきている中で、もうちょっと質的な向上とか、この後どうなっていくんだっけというロードマップみたいなものも検討が必要なのかなというふうに思われます。
登壇者 土屋俊宏
どんなサービスがあるんだっけということで、具体的にはこのデジタル実装タイプ、TYPE1と言われているようなものですかね。これは何か単独の何かしらのデジタルの事例といったもの、導入事例といったものがここで採択されて、実際今年度事業が進められているわけでございますけども、事業分野別で言いますと、この行政サービス・住民サービスから始まって、産業振興、観光と、こういう分野別にいくつかカウントがされ、実はこのサービスの事例についても、今年の末にですね、デジタル庁さんの方から優良事例集というものが出される予定というふうに伺っております。具体的なサービスの内容等はそちらを見てくださいと言ってしまうと若干身も蓋もないんですけども、そういったところの情報を見ていくことで、他の地域でどんなことが取り組まれているのかは見えてくるかなというふうに思います。
あとですね、こちらのデジタル庁以外に国土交通省さんの方でも、スマートシティのサービスの連携ユースケースといったものが今年の4月ぐらいに出されておりまして、これも非常に分かりやすい形で、例えば防災であれば最初の発災前の平常時から発災直後、それから本当に直後から3日以内に使えそうなものですか。それから復旧の段階で使えそうなものとか、いわゆる何か事象が起こった時も網羅的にこういうサービスというものがありえますよねといったようなことですとか、人流解析みたいな、そういう分野も結構最近、国土交通省さんの方で事例が増えてきていますけども、人流解析をやるんだったら最初のステップの検討段階から、実際取っていくための方法ですとか、取った後にどういうふうに分析をするのかですとか、やるフェーズに応じた技術軸の分析みたいなこともされている、というような形でございます。この辺りなんかも、見ていると本当にいろんな事例が集まっていたり、そういったところで使われている技術の事例みたいなものもかなり持ってきているので、参照していただけたらなというふうに思っております。
その中でですね、例えばもう一つ事例なんですけども、自治体で取り組まれている事例として、これ富山市さんの方でもセンサーネットワークといったものが使われています。富山市さんにおかれましては、2018年に総務省のスマートシティのデータ利活用型スマートシティ事業ということで採択がされて、その当時からいわゆる都市OSといったようなものが整備されていますけども、その都市OSと接続するセンサーネットワークLPWAですとか、そういったものを張りめぐらせて、市内で色々な地域のデータを取っていくような仕組みが提供されています。これも単に行政の中で活用するというだけではなくて、このセンサーネットワークを利用したいろいろな実証実験の公募というものがされています。これは毎年行われているんですけども、大体20~30件程度、毎年、地域の事業者の皆様はそのセンサーネットワークを活用した何らかのサービスとかアプリケーションとか、そういったものを作って、地域に役に立つようなサービスを提供したり作られているというような形でございます。
ほかですね、先ほどのデジ田(デジタル田園都市国家構想)ですとかスマートシティとは関係ない別の切り口のところからの民間企業の皆様で作られているいわゆるデータ連携基盤というか、スマートシティ的なプラットフォームといったものをですね、いくつか紹介をさせていただきますけども、セブンーイレブン・ジャパンさんでセブンビューという仕組みを作られております。
これは2015年に開発された災害対策のシステムなんですけども、セブンイレブンさんも全国で2万店舗とかありますけども、特にこの九州地域ですね、台風など多いような地域ですけども。何か災害が起こったとか、交通・気象・避難などの情報を、セブンイレブンの場所を通じての災害状況を通じて一覧化することによって、この地域停電しているであるとか、何か水が来てないなと、これセブンカフェのマシーンなんかがありますので、そういったところのデータを吸い上げて、各地域の災害状況みたいなところをセブンイレブンさんの中で分析をしているといったようなものがございます。
あとは三井住友銀行さんの方でやられている「decile」というものがございます。これは2021年の7月にリリースされたものですけども、スマホのアプリになっています。これはもともと情報銀行の一環として作られたものですけども、情報銀行というのは個人との契約に基づいて個人のパーソナルデータを管理して、その意思に基づいてデータ利活用をするという、それによって何らかのサービスを行うという、そういう事業でございます。これも例えばその患者さん、妊産婦さんですかね、病院に受診をしたような時のその医療データをまとめて、それを閲覧してその中でいろいろな自分の健康のデータが把握できるですとか、そういったようなことを進めているということで、利用者の方々から幾らかいただきながらこのサービスを提供しているといったようなものがございます。これも一つのいわゆる、データ連携、仕組みというふうに言えるのかなというふうに思います。
あと、中部電力さんの「MINLY」というものがございます。これは今、豊田市さんで実証を進められているところでございますけども、豊田市にお住まいの方々ですね、地域のアプリではあるんですけども、結構いろいろな分野の情報というのが地域で発信がされていまして、住居・世帯データとか、移動・行動履歴とか購入履歴、外出履歴等ですね、こういったものを踏まえて、いろいろなイベント情報とかお金の情報とか、クーポン情報とか、そういったようなものを提供しているというものでございます。何か中部電力さんがやられているっていうのが非常にユニークだなというふうに思いますけども、これは単純に中部電力さんが集められているデータだけではなくて、地域のいろいろなところでの行動履歴に基づいてその方の生活をより良くするような、そういうような仕組みを作っているというような形でございます。
登壇者 土屋俊宏
こういうものをやっていく時に、個別の民間企業の方々でいわゆるデータ連携基盤みたいなものを作ってるので、そういうものを使えばいいじゃないかと。「そもそもこういう都市OSとかデータ連携基盤みたいなものって、要るんでしょうか」みたいな質問をよくいただきます。この辺、多分もやもやっとしてるところであろうなと思いますので、一つスマート技術を活用する上で、見過ごせないというか放っておけないようなところかと思いますので、ちょっと解説をさせていただきます。
そもそも都市OSって何ぞやと言うことですが、先ほどのスマートシティのリファレンスアーキテクチャの絵のところの右側にあったもろもろというふうに、ざっくり捉えていただければと思います。大きくは何ができるものなのというと、何となくOSと言われるとパソコンに入ってるウィンドウズでしょうみたいなイメージあるんですけども、ちょっとそこから離れていただいて、いわゆる相互連携する都市内・都市間のサービスとか他の都市における都市OSとかいろいろな分野のシステムとつながることを可能にするような仕組みを相互連携というふうに言っています。
データ流通、地域ながらの色々なデータを仲介して連携させるような仕組みがあるということですとか、拡張容易性、都市OSといった時に、いろいろなサービスが後から後からくっついてくるとか範囲が広がるとか、そういったことは容易に想像できるかと思いますので、段階的にこの拡張することができるという拡張容易性を持っているというのが、都市OSというものにおいて、具備しておくべき特徴機能群であろうというふうに捉えています。
で、本当は最初に定義したところで、またパソコンに積まれているようなOSみたいなイメージになってしまっているかもしれませんけども、実際には、この下にあるようなイメージの方が正しいんじゃないかというのが最近のイメージでございます。いろいろな機能自体はいろいろな地域ですでに動く仕組みはあるんですけども、いろいろな都市のデータやサービスをつなぐこのネットワークのボードみたいな、結節点であるというふうに捉えた方が実はいいんじゃないかということで、そのまちにいろいろなサービスはあるんだけども、サービスとか仕組みの間は紙で全部やりとりしているとか、そういう連携をしているものが自動でといいますか、よりつながりやすい形でデータのやりとりができるようになるという、そういうネットワークの1個1個の結節点みたいな形で捉えた方がいいのかもしれません。
コメントでも、OSというよりAPIとして捉えた方が分かりやすいのかもということなんですけども、APIと言ってるのは、多分つないでいく時のつなぎ方といいますか、データの出し方と受け方みたいな、そういう形式のところかと思いますので、そのAPIをある程度相互に共通化したような形ですね。APIってさらっと言いましたけど、アプリケーション・プログラミング・インターフェースというインターフェースですね。インターフェースが揃っていくことで、より都市OS間のつながりというのがより良くなるというようなイメージを持っていただいた方が良いのかなと思います。
なので、これがなくても、今でも別にないわけですから、なくても何とかなりますけど、そこはやっぱりこう、ないと全部人手でやっているとか、何かメールでやりとりしているとか、それこそ紙で色々な申請書類を出してるとか、こう言われた時に人手を介してデータのやりとりをしてるけども、それって今後将来大変になってきますよねと。
そういった時に、こういう都市OSみたいなものがあれば、いろいろなやりとりがより効率的にやりやすくなっていきますよねという、そういう仮想的な理想的なものとして、あった方がきっといいだろうというものとして、捉えていただけたらいいのかなというふうに思います。
もう一つですね、この都市OSという言い方の他に、データ連携基盤という言い方とかエリアデータ連携基盤という言い方、こういった言葉があります。基本的には似たようなものではあるんですけども、どっちかというと都市OSみたいな言い方の方が先に出てきたもので、これはどちらかというと、データ連携をする時に必要となる機能を一式がもりもり全て入ったようなイメージを都市OSと呼んでいるのに対して、どちらかというとデータ連携基盤というのは、データを単に連携していくための基盤ですというふうに称して、例えばそのストレージというか、ハードディスクみたいなものに蓄積をするかしないかみたいな、そういうイメージで区別されてるようなところがございます。
もともとスーパーシティを作るというような議論があった時に、やっぱりスーパーシティ、国家戦略特区の一つの政策としてやってきていたスーパーシティにおいても、その個人情報みたいなものを、都市OSといいますかスーパーシティにおいても溜めるのかといったような議論があって、そうするとまた個人情報保護の仕組みをそこの中で整えなければいけないのか等というような議論があった時に、いやそういう情報を溜めると溜めたところに責任が生じてくるので、そういったことではなくて、情報の溜め場所としては、もう今それぞれのいろいろな組織で溜まっているところがございますと。そういったところの情報を、必要に応じて連携することで利活用するという、そういうための基盤ですよというような形で、若干ちょっと意味合いとして、差別化しているというような意味合いもございます。
かつ、ここにエリアという言葉がついてくるのは、データ連携基盤というのは本当に一般的な言葉ですので、その分野ごとのデータ連携基盤もあれば、会社の中のデータ連携基盤もありますけども、もっぱらこのデジタル田園都市国家構想の概念では、そのエリア、地域、シティといいますか特別のエリア内で使われるようなデータ連携基盤をもって、このエリア・データ連携基盤というふうに呼んでいるということでございます。これはいろいろなサービスを作っていくときのもとになるようなものであったり、あとは先ほどの交付金の話になりますけども、タイプ2ですとかタイプ3ですとか、何か複数のデジタル化されたサービスをお互いにつなぎ合わせていくですとか、そういったものを効率的に作っていくための基盤として、こういうデータ連携基盤みたいなものがあるべしということで定められているものでございます。
そういう都市OSとデータ連携基盤の違いみたいなところですが、本質的には似たような機能ではあるんですけども、その内容が、いわゆる充実したパッドなものであるか、ちょっと薄いものであるかというような違いなのかなというふうに理解をしています。
ちなみにこのタイプ2、タイプ3はいわゆるデータ連携基盤みたいなものを作られている地域がどれぐらいあったかということで、これも3月、今年の3月10日に公開されたデジタル実装タイプの採択地域がありますけども、全体でタイプ2で24件とタイプ3で8件とで32の地域で実装が進められているということでございます。これらの地域はすでにそれ以前から、こういうデータ連携基盤ですとか都市OSみたいなものが整備されているような地域であったりもしますので、今回新しく作られるところと、すでに作られてるところといろいろございますけども、このような規模で整備がされているということでございます。
ちなみにこの都市OSですとか、データ連携基盤みたいなものをどれぐらい整備されてるかということで、昔々は2015年ぐらいからですかね、数えて。一応77の地域で総務省の事業ですとかデジタル田園都市国家構想のタイプ2、タイプ3ですとか、そういったところも含めると、これぐらいの地域で昨年度末時点で整備がされているというところでございます。と言われると、1,700ある自治体のうちやっぱりまだまだ一部なのかなというふうに思いますね、ということでございます。
次の、よくあるデータ連携基盤等をやっぱり先に整備すべきなのか否かというところなんですけども、この辺も当時の牧島大臣のころ作られた資料から抜粋していますけども、やっぱりまずはサービスから作っていった方がいいですよねと。
どんな切り口からでも良いので、その効果を実感できるデジタル化を進めていくという中で、多分いろいろなサービスが立ち上がってくる時に、こっちで作ったものをこっちでも作ってこっちでも投資してみたいな形になると、若干重複投資なんかが出てくるでしょうねということですとか、こっちで使ったデータをこっちの分野で使っていくみたいなことは往々にして考えられるので、いくつかのサービスが立ち上がってきたら、それからデータ連携基盤の方の整備を考えていきましょうねと、いうことで、そういうような時間軸で捉えていくぐらいで良いのかなというふうに、そういった考えが今のところの主流ということでございます。
あと、非常に紛らわしいのは、いろいろな地方公共団体の皆様で他のいろいろなシステムがありますと、例えばGISとかオープンデータのサイトとかIoTの基盤とか、いろいろな外部システム、本当にいろいろありますよねと。河川の水位データとか気象のデータとかいろいろなものがありますけど、何かに統合すべきかみたいなことも言われたりするんですけども、何かに統合すると、都市OSに全部まぜて改修して全部入れろみたいなそういうちょっと乱暴なことっていうのは、大変難しいですし、逆にそのシステムを統合していく時の公開の手間みたいなところも非常にありますので、基本的にそれぞれのデーターベースとかシステムはそれぞれありながら、これをAPIといいますかインターフェース、データをやりとりするためインターフェースをそろえながらデータ仲介の機能を介していろいろなサービスとデータを共有していくような、何かそういうような関係性であるべきだろうというのが、こういったような絵でございます。
なので、今ある既存のシステムをどうするの、これはやめるのか、取り込むのかとかそういったような話ではなくて、こういったもの同士をつないでいくような位置付けとして捉えていただくのが適切なのかなというふうに考えております。
あと、公共分野のシステム、マイナポータルですとか、他いろいろな公共分野で使われているような都道府県とか市区町村とかの健康保険、ハローワーク、国税等ですね。いろいろなデータベースがございますけども、こういったものを最もの関係でいうと、このエリアデータ連携基盤みたいなものがあって、これと官民のAPIのゲートウェイを介して、この公共サービスメッシュみたいなものも、これ一方でいわゆる行政のシステムの標準化という観点で検討されていますけども、お互いつながり合うような関係というふうに捉えていただくということなのかなというふうに思います。
やっぱり今既に進められてるいろいろなサービスというかシステム投資を完全に統合しようみたいなところまでは中々進みませんで、それぞれで並行して運用されつつも、こういったものを一旦は連携していくというような位置付けになっているのかなというふうに捉えております。
本当は、こういうものも全体のアーキテクチャとして捉え直すみたいなことができたら良いのかもしれませんけども、もう相当膨大なシステムになっておると思いますので、基本的にはそれぞれのシステムから、どういうふうにこのデータを利活用していくのかという観点で捉えるのが適切なのかなというふうに考えております。
登壇者 土屋俊宏
ということで、そんないろいろなシステムが世の中できているわけですけども、きっと新しいサービスですとか新しいシステムみたいなものは今現状、人の手でやられているようなものを代替するとか、人の手でこれまでやっていなかったんだけども、ちょっと新しい仕組みを作っていこうということが、多分今後もいろいろ出てくると思います。
そういった時にそのシステムを、何らかの大きな仕組みの中に取り込んでやっていくのかというと、それはそれでまた大変なことになっていくであろう中で、1個1個のシステムが同時並行で稼動していくみたいなことになってしまうのかなと思うんですけども、そのサービスとかシステムをどういうふうに作らせていくのかという観点で、ちょっとこれは、とある書籍システムを作らせる技術というところを、これはどちらかというと企業の中のサービスシステムを作るときに教本として書かれたものが一つあるんですけども、この辺をスマートシティの分野に置き換えて考えるとしたらどういう形になるのかなということで持ってきました。
これはどちらかというと企業の中のロジックだったりしますけども、システム構築でよくある失敗とその原因ということで、大体こういうところでつまずくという原因があります。
例えばゴールがバラバラ。関係者で、これを目指してるだろう、いやこっちからこっちですよみたいな、これがバラバラのまま始まってしまうとか、このシステムをエンジニアの方に丸投げして、最終的にはこういうものを作りたかったんじゃないみたいな話になるとか、システムは欲しいんだけど今の業務は変えたくないみたいなことで、非常に継ぎ接ぎだらけで逆に面倒くさくなるみたいなものができてしまったりですとか、必要な機能が漏れてしまっているですとか、現場の声を全部聞きすぎて、もう全部入れてどんどんコストが膨らんでしまうとか、これを作ってもらうベンダーとかソリューションの選択でやろうとしてることを実現できないような、そういうソリューションを選んでしまうっていうようなこととか、あとはだんだんコントロールできなくなってしまっているみたいな、炎上プロジェクトみたいな言い方をされていますけども、そういったふうになってしまうとか、失敗原因というか、失敗そのものだったりもするような気がしますが、こういうような状況になってしまうということがありますと。
その時、実際システムを作らせるのは誰なのかといった時に、結構スマートシティの分野だと結構これはまた複雑になってきがちなところで、作らせる人といった時にスマートシティの構築責任者は誰か、CDOというか、CIOというのかそういう方がいて、その人のもとで、全部動けば良いというふうになっていればいざ知らず、これを作らせる人、責任者というのがよく分からなかったり、そのプロジェクトリーダーとして就任する人も、これは最近ではスマートシティのアーキテクトみたいな形で育成が必要だみたいなことも言われたりしていますけども。
あとは業務部門ですかね、実際スマートシティの構築を進めるとされている企画部門の方とか情報政策の部門の方々とは別に、その業務によって何らかの仕事の仕方に影響を受けるような他の業務、他の課の方々とか、そういった方々が作らせる側の人としていっぱいいます。
それに対してそのシステムを実際作る担当の、どこか企業の方であったり、さっきのベンダーの方であったり、いくつかこれも重層化しているとか、あとは市民ですかね。実際市民自身も、何か市民からの要望によってこの作らせる方々に影響が及ぶようなケースもあれば、もうちょっと小さいケースでいきますと、何か自分自身が作っていくいわゆるシビックテックみたいな関わりで作る場合もあれば、こういう形で実は結構いろいろなステークホルダーが複雑にいるような状態が、スマートシティのシステムのややこしさなのかなというふうにも思います。
実はこういうシステムとか、そういったものを作る前に考えるべきことというのがあります。こういうシステムを作る前に、なんでそれを作るんだっけということで、私たちは地域を良くするという信念から、いろいろなことをやってますということですとか、その地域を良くするための手段として、こういうサービスを提供しますという、その方法があって、そのサービスを実現するためにこのシステムを作っているんですという、実は結構こういうロジックが、考えている方の人たちは分かっていても、あんまり作らされる側の人たちには、中々この辺の理解というのがそう簡単に進まないところもあって、仕様書に書かれているでしょうみたいな形だと、中々そこまで読み取れなかったりとかするケースもあります。最初に誰かに作ってもらいたいという時に、この辺りをきちんと作って提供していくみたいなことが必要なんだろうなというふうに捉えています。
実際何らかのサービスを作っていくという時には、サービスを実現するための何らかのシステムというものがございますので、システムといった時に、もう完全にITというか自動化されたもので済めばいいですけども、それにプラスして、何らかそのシステムを維持する作業をする人というものがありますと、このサービスを実現するために、このシステムが必要だというようなことを捉えていく必要があるなというふうに考えています。
やっぱり一番難しいのは、この感じなんですよね。一番最初は、こういうシステムを作りたいみたいに言った時に、何かいろいろな要望を言った時にですね、ものすごく広く捉えるのか、いやでも最低限これだけあればいいんじゃないかっていう最小のイメージと、結構ブレがあります。作ってもらう側にとっても、実はあんまりこの辺が明確でなかったりします。実際作らされる側の人は、何か「見積もり出して」みたいに言われるんですけど、それは一体どこまでつくればいいんですかと言うことが往々にしてよく分からない、伝わっていないと。そこまで提案をしてくるのがベンダーでしょと言われると、それもプロとしてはそういうふうにあるべきなのかもしれませんけども、実際それを理解していくまでの手順というのが結構かかります。
これ、そもそも何をするプロジェクトなのか、一体なんでこれをやってるのかというようなところを理解しながら、その概算を見積もって、そこからITで実装するような部分、このITの要件を定義していくような部分と、そこからだんだん確定に至るまでの見積りというのを確定にさせるところに向けて、これは作ろうとかこれはやっぱりtoo muchだからやめておこうとか、そういったものを絞った上で確定する見積もりというのを出していきます。そこからようやく作っていくような段階になってくるという形になりますので、やっぱり最初に結構時間がかかると、すごくブレがある状態で始めてしまうととんでもないことになるということで、見積りを出していくという段階までの対話みたいなことが、かなり必要になってくるはずです。対話していきながらですね、何を作るのかというのがだんだん明確になっていくんですけども、この対話に応じていただけるところがそもそもあるのか、という点もあってですね。実際何かシステムを作らせるみたいに考えた時に、作ってもらう側の方でどれだけの機能を入れて、どれだけのものを削ぎ落として具体化していくっていうところに相当の時間がかかるということを、ちょっとご理解いただけたらというふうに思います。
こういうことを進めていくときに、標準的な手順というものがあります。(スライドには)1から8まで書いていますけども、最初にゴールですね、何でそれをやるのかというところを明確にするというと、そこからの現状の仕組みとか、人手というのがどういうふうにかかっているのかというのを調査するとか、そこからどんなふうにやっていくのかという構想を作って、それに基づいてシステムの要求を求めていくということ。その辺までできてから、パートナーとか製品の選定みたいなことができるようになり、そこからプロトタイプを作って、設計・開発してテストして、そこから導入ということで、結構、導入までやっぱり時間がかかるということを見越した上で、このWhyとHowとWhatの辺りも検討していく必要があるだろうな、ということでございます。
こういうようなことも、一方でこれはデジ田(デジタル田園都市国家構想)の資料からですけども、一般的なシステム構築における考え方とも近しいようなことを言われていますけども、まず最初に解決したい地域の課題を特定すると。課題を把握して、目標を立てて、そこからサービスの選定みたいなことをやると。手段と目的の整理と、そこからサービスの選定と実装に向けた検討みたいなということで、当然と言えば当然ではあるんですけども、やっぱり結構ここまで至るのにかなり時間はかかりますよね。1か月とか2か月でやれるような類のものではなくて、普通に考えると、1年とかかかっていくようなものかと思いますので、こういったステップをきちんとセオリーどおりに踏んでいくということが必要なんだろうなというふうに考えております。
登壇者 土屋俊宏
という中で、とはいえこんなのを自分たちの庁内だけで、担当者1人でやるというのも大変ですよね。
ということで、ちょっと私達ですけども、スマートシティ社会実装コンソーシアムでは、ちゃんと実装につながるようなものとして作っていこうということで、5月に設立をしまして、一周年を迎えましたというところでございます。今の入会申請状況ということで、6月末で145の団体の皆様に参加をしていただいています。民間企業の皆様、60弱と。賛助会員の皆様で、自治体で50とあと大学の皆様ですとか、あとその他団体、これはいわゆる何らかの課題の解決に向けて動いていらっしゃる団体の皆様ですとか、あとはこのデジタル関係に取り組まれている方々ですとか、こういったところと協調しながら、具体的な実証の事象から実装へということで進めているところでございます。
もっぱら我々で問題だと思ってるのは、こういう先ほど申し上げたサービスとかシステムを作っていく実現するまでの悩みというのが大きく四つの段階がございます。
最初こう考える、企画して、誰のどんな課題を解決するのかとか、これコストかかるけどどうやって負担する?みたいなところ、実はもう最初の段階で相当大変なんですけども、そこを経てこういうシステムを作っていこうみたいになった時に、その開発のところをどう進めていくのかと、データ連携って言われるけどそれ何なんですかということとか、実際構想してもスマートシティのサービスですので、どこかの地域で試せないと駄目だよねということで、参加していただいてる企業の皆様、どこかお付き合いいただける自治体の皆様を結構探しているということもありますので、今回参加いただいてる応援企業の皆さんも大方そういう感じなんだろうなというふうに思います。そういう自治体の皆様と一緒に進めていくにはどうしたらいいのかといったような話もよく聞きます。
あとは、展開ですかね。全国各地に知らせていって、広げてこそ収益化するというような話もありますので。こういったことをどうやってやっていったらいいのか、ということでございます。
こんなことを、参加いただいている企業の皆様とか自治体の皆様と一緒になりながら、どういうサービスを作っていくのかという企画段階から、開発の段階で先ほどのデータ連携基盤って必要なのとか、どういうふうにデータを集めていったらいいのっていうような開発の部分ですとか、実際に実装していく時にきちんとお金が回るような仕組みを考えておかないと、結局最初の補助金をもらっただけで終わっちゃうみたいなことにならないように、持続可能なモデルを最初に考えた上でやってかないといけないですねということとか、その一つどこかで作られたものを、いろいろなところに広げていくためのお手伝いみたいなことをやらせていただいているということでございます。
ちょっとこの後は細かいんですけども、開発環境みたいなものを御提供したりとか、あとマーケットプレイスみたいなものを御提供するとか、あとはいろいろな分科会みたいなものをやりながら、そういう持続可能な仕組みってどうなのかねみたいなことを考えているという形でございます。
例えばですけども、先ほどのデータ連携基盤みたいなものですね。まだ77の地域でしか運営がされていないので、実はあんまり使ったことがある方ってほとんどまだまだ多くはなくて、そもそもどんなものなのかというのもまだまだ普及していないところかと思いますので、我々の中でこういうお試しの環境みたいなものを御提供させていただいておりまして、実際企業の方々が使うような開発環境みたいなものを、アプリケーションと、このデータ連携基盤とつないでみるとか、いろいろなIoT関係のデータを吸い上げてみて、それとどういうふうにつながっていくのかみたいなことを試させていただいてるという形でございます。
あとは、データ連携基盤、FIWARE(ファイウェア)と言われるオープンソースを使って作られているんですけども、このオープンソースをどういうふうに活用していくのかというような技術者コミュニティみたいなところも、運営で御協力をしているという形でございます。だいぶこの辺がよく分からないところなので、なるべく気軽な、こういうスマートシティを語る会みたいなものを開催しながら、ちょっと分かりにくい技術者同士で語られるような話を、こういう街の飲み屋で話してるような感覚で語りながら、ちょっと分かりやすく解説するような動画を展開しているみたいなことをやっております。
あとは、やっぱりこの地域の課題に即したサービスの開発というところは非常に重要で、会員になっていただいている地域の自治体の皆様の御協力をいただきながら、その地域に実際に会員の皆様で赴いて、そこの地域ではこのようなサービスが使えるんじゃないかといったようなことを一緒に考えるような機会を作らせていただいております。
昨年度は、先行して会員になっていただいた藤沢市さんとか横須賀市さんとか千葉市さんとか、近隣の自治体の皆様に御協力いただいてやってますけども、今後はいろいろ全国に広げていければというふうに考えております。その中から、いろいろなコンセプトが出てきてますけども、12の領域ということで、多分我々としてはこんなようなことができたらいいんじゃないのかなというコンセプトを整理しておるところで、このようなことに共感いただけるようなところと一緒に進めさせていただけたらなと思っております。
例えば今年度で言いますと、神戸市さんの方に行って、実際にNPOとか市民団体の皆様ですね、本当に市民の立場でお困りごとなんかを聞きながら、そこでアジェンダですね、こういうことをしていくべきだっていうような話を吸い上げてやっているんですけども、実際進めていく上では、本当にアジェンダなんか当事者として語りたいようなことから、それってどういうテーマなんでしょうかねということと、そこからの問題をイシューとして引っ張りあげて、またそれをじゃあどういうコンセプトでやっていったら実現できそうかというふうにして、それから、それを解決するための方策や方法としてソリューション化して、それを実際に具体的なサービスに落とし込んで、そこからやっとシステムに落とし込めるというですね。
真面目に最初から考えだすと、結構道のりは長いなと思っていながら、一応進めていくための手順みたいなものは設定をして、今後いろいろなところの課題を聞いた時に、こんなプロセスにのっとって、いろいろなところの具体的なサービス開発とかそんなことを進めていこうとしている段階でございます。
ということでですね、実証から実装へということで取り組んでおりまして、最後、宣伝のような形になってしまって恐縮ですけども、サービス、具体的なスマート技術の活用の仕方ということで、技術は何らかの良いサービスに転化していくみたいなところがすごく大事になってきますけども、それをどういうふうに進めていったらいいのかということは、日々、試行錯誤しながらやっているところではありますので、もし御興味ある方がいらっしゃいましたら、一緒にこういう技術の活用の方法について、検討させていただけたらというふうに思っております。
ということで、長々と話してしまいましたけども、一旦スマート技術活用のヒントになればと思いますが、以上でございます。ありがとうございます。晝田さんにお返しいたします。
モデレーター 晝田浩一郎
土屋さんありがとうございます。カタカナ語いっぱいで難しかったなと思ってる方もたくさんいるんじゃないのと思うので。
登壇者 土屋俊宏
すみません。そうですよね。
モデレーター 晝田浩一郎
ここからチャットも活用しながら、皆さんの方でも気になった言葉とかよく分からなかったとか確かにそうだねとか、僕がずっとチャットにいっぱい書いてたんですけど。
登壇者 土屋俊宏
ありがとうございます。
モデレーター 晝田浩一郎
ここからいろいろな質問とか感想とか御意見なども気軽にいただきながら、質疑応答というかクロストークみたいな形で、「とはいえ土屋さんここってさ」みたいな話とかも、20分ちょっとぐらいですかね、聞いていければなと思っております。土屋さん、よろしくお願いいたします。
登壇者 土屋俊宏
よろしくお願いします。
モデレーター 晝田浩一郎
なんか、でもやっぱり聞いていて、概念的な部分から今日は説明していただくっていうところ。そもそも何でこういう話、スーパー・シティ、スマートシティ、埼玉県で言えば埼玉版スーパー・シティっていうのを作ってたりとか、今取組で「コンパクト」「スマート」「レジリエント」という三つのテーマで進めてたりもするんですけど。
でもやっぱり、一歩踏み出すに当たってのこの手段を目的化しない、テクノロジーありきで考えないみたいなところが、聞いていて、全般的に一歩踏み出すとか何か取組をしていくという時は大事。都市OSとか、データ連携基盤とかっていろいろ話をしてくれてたんですけど、何かやっぱりそういう、何かこうテクノロジーありきじゃないっていうふうに考えちゃってもいいってことなんですよね。
登壇者 土屋俊宏
そうですよね。なんかそのテクノロジーがね、もうすぐ何か使えそうだねってはまるものがあれば、もちろんそれはそれでいいと思うんですけども、それがはまるものというのが多分限定的で、そういうものってほとんど考え尽くされてるんじゃないかなと思うんですよね。だいたいスマートシティって言った時には、何かそういうもうすでに考え尽くされてるものは、もうひとしきり解決がされた状態において、じゃあやっぱりまだまだ残っているどうしようもないような地域課題をどうするかっていう時には、もう中々、今の既存のサービスでは太刀打ちできないものなんかがかなり残ってるんじゃないのかなというふうに思います。
もちろん、何かその技術、この技術を使えばこれも何か解けるよねっていうものがもしあればいいですけど、多分もう、そういうものはほとんど終わってるんじゃないかなという前提に立った時に、課題ですかね、取り残され続けている課題ってどうしたらいいのかねって考えるのが大事なステップなのかなというふうに思っています。
モデレーター 晝田浩一郎
途中、ゴールデンサークルWhy、How、Whatで考えていくっていうのが、そもそもの目的って何だっけみたいなところに、その目的をもう1回捉え直すっていうためにも、そういった地域課題って何だっけとか問いをしてみる。問いを自分たちに対してもまちに対しても、サービス受給者、サービスを受ける方々に対しても説いてみるみたいなことも、これ見て必要なのかなっていうのは、その話を聞いて掛け合わせでちょっと思いましたね。
登壇者 土屋俊宏
そうですね。何かもやっとしてるものばっかりだと思うんですよね。別にスマートシティって言わなくても、何かある程度のものはもう何かすでに既存のもとで解決されてるものはもう解決されていて、何か今あるもので解決できないものばっかり残っていて、何かそういったところをスマートシティと称して何とかしろと言われているのが、現状なのかなと思ってですね。そういうものをきちんと説いていくときの方法っていうのを考えていくべきなのかなというふうに思います。
モデレーター 晝田浩一郎
なので、途中スマートシティのコンセプトの例みたいなところでも出してもらったように、健康・医療・福祉から子育て・教育まで12個かな、SCSI(スマートシティ社会実装コンソーシアム)さんだといろいろやられてるって話ではあるんですけど、こうしたものとかでもやっぱり何か総合計画っぽいなとか、例えば選挙とかの首長とか知事とかのマニフェストも、何かこれぐらい大きなこと言ってるなとかっていうのも思ったりするんですけど。
例えば交通安全・犯罪防止みたいな時でも、危険運転とか新たなモビリティが今、いろいろ出てきてますけど、そうしたものも昔の概念とか昔の考え方じゃなくて、新しいルール設計であったりだとかっていうことも必要になってくるので、何か途中で言ってたシステムは欲しがるけど業務を変えるつもりはないって、僕なんかめちゃくちゃ真だなと思っていて。新しいものが出てきているんだから、やり方を変えるんだったら業務を変えなきゃいけないし、考え方ももしかしたら変えていかなきゃいけないっていうことにもつながるんだろうなと思いましたね。
登壇者 土屋俊宏
いや、そうですよね。本来そうあるべきだと思うんですけど、なかなか発想を変えられないっていうのは、やっぱり人の常だと思いますので、ちょっとそういう変えた後の姿ってこうなんだよというのが、より明確に見えるようにしていけるといいでしょうね。
モデレーター 晝田浩一郎
何かビジョンとかっていう話になっちゃうかもしれないんですけど、よくある言葉を使うならば。何か解決したらなんかこんな景色が広がってるじゃんとか、そういう台詞が住民から出るとうれしいよねとか、何かそういうような、それぐらいの捉え方でもいいのかもしれない。
登壇者 土屋俊宏
そうですね。何かこのコンセプト、確かにちょっとビッグワードすぎるので、本当はもうちょっと掘っていくべきところなんですけども、ちょっと紙面の都合上で無理やりぎゅっとこうまとめたものを書いていますけども、何かこの辺を我々としては分科会みたいなところですとか、何かそういうところで、扱っていければなというふうに思っています。
というのは、何でこんなふうに書いたかというと、去年立ち上げた直後、我々もいわゆる全国規模のコンソーシアムなんですけども、結構地域でもいろいろそういうコンソーシアムとか協議会とかたくさんありますけども、やっぱり協議会を使えば何かその場で何か起こるだろうと思ったら、全く全然起こらないみたいな状態があってですね。
やっぱり皆さん、参加する会員の皆さんって、どうしてもこう受け身というか、入ったら何か起こるのかなみたいな話の方も結構多いと。まあ自分が入っても多分そういうふうに思っちゃうかもしれないなと思って、どちらかというと、ちょっとこれ我々のコンソーシアムの事務局とか運営やってるメンバーから出してきたものなんですけども、ちょっとコンソとか協議会をまとめている側の立場として、ちょっと巻き込み型でやってかないと何も起こらないなというのが実感としてあって、その何か起こしていくためのまずたたき台というか話題出しとして、こういうものを作っていってるという実態もありますね。
モデレーター 晝田浩一郎
たたきとしてね、土台があると議論しやすい。
登壇者 土屋俊宏
そうなんですよね。
盛り上げるために出してるっていうわけじゃないんですけども、こういうものから始めないと何も事が起こらないという実態かなというふうに思いました。
モデレーター 晝田浩一郎
御質問もいただいてるんで。
都市OSの話がありましたけど、都市OS自体はあれは結局、誰が作っていくんですかっていう質問ですね。例えば何とか市とか何とか町みたいなところが作っていくのか、国が作った都市OS、「何とか市さん、あなたのところが作った都市OSは合格」みたいな感じで認可制だったりするのかといった、誰が旗を振りながら作っていって誰がそれをいいよねっていうか、それこそ都市OSでつなぎをやってかなきゃいけないのに、そこが連携できないような都市OSの形になってると、バラバラだと結局意味ないやんみたいな、結局タイプAからタイプCまでいっぱいできたっていうだけになっちゃうんじゃないんですか、ということなんですけど。
登壇者 土屋俊宏
そうですね。ちょっと質問に答えていくと、それぞれの自治体が主体で作っていくのでしょうかという点は、これも基礎自治体ごとに作っていくのがいいのか、何かその単位で作っていくには若干荷が重いのではないかという話もあって、例えば県単位で作っていくべきだとか、もうちょっと広げて複数県で作っていくべきだとか、何かそういう県とかに限らず、いくつかの合同の広域連携みたいなところで作るとかいろいろなパターンはあるかと思うんですけども、今のところ、この作る費用みたいなところは国からだと、先ほど総務省の事業ですとかデジ田(デジタル田園都市国家構想)タイプ2、タイプ3みたいなところでしか補助が今のところは当てられないというところもあって、そうなってくると、そういう事業の主体たるところで申請を上げるしかないみたいな形にはなってきてしまいます。
ただ、それが本当に社会的に効率的なのかというのはやっぱり結構議論があって、誰が運営すべきかといった時に、例えば国で1個の都市OSあればいいじゃないかいうのもそれは確かにそうなんですけども、今のこの例えばマイナンバーの仕組みを作るのにも構想してから7、8年普通にかかってしまって、7、8年かかって作ってもまだ最近も叩かれ続けてるみたいな状況を見ると、まずはやっぱり地域ごとできちんと持続可能なモデルを作って、それを広げていくみたいなところにお金がついちゃってるというような形ですかね。だから誰が作っていくのかっていうのは、誰でもいいんですけども、ちょっとそこの、補助の出方みたいなところが今のところ制約があるので、それに従ってしまっているというところがあります。
あとは、何かルールみたいなものは決まっているのでしょうかって言われると、この今、表示してるリファレンスアーキテクチャというものがあって、それぞれの地域で全然違うインターフェースの都市OSができちゃうとその都市OS同士がつながらないみたいなことにもなるので、一応リファレンスアーキテクチャの中で、こういう要件を満たして作ってくださいよみたいな、仕様に似たようなガイドみたいなものは出されているので、一旦そのガイドにのっとった形式で作っていただければ、相互に自治体間で連携をしやすくなるだろうというふうになっております。
このリファレンスアーキテクチャの、2020年の3月に出たものが最初ですけども、ちょっと今、再検討がされているところで、多分これ、もうすぐ新しいバージョンが出てくると思いますので、ちょっとそのあたりを注目していただけたらと思います。
モデレーター 晝田浩一郎
基本的には自治体がまちのことだから例えば何とか市が作ってねっていうふうに、国からのお金の流れ的にはそうなってるけど、別にそこは本来であれば誰が作ってもいいし、数年後にはとか、本質的にはもしかしたら自治体各市町村じゃなくて、別のところが作った方がいいかもしれないっていうことは考え続けないといけないってことですね。
登壇者 土屋俊宏
あり得ると思います。持続できるモデルができていれば誰でもだと思うんですよね。例えば、これ三重県ですけど、三重県も県で作っているわけじゃなくて、五つの町で広域連携のモデルとして作られています。ここは、サービスとしてオンデマンドモビリティとかヘルスケア情報とか観光メタバースとか、地域通貨とかですね、共通地域ポータルとか何かいろいろなこうサービスがあって、それがAPIを介して共通的なデータ連携基盤でつなげていって、ここに入ってくるデータはそれぞれいろいろなとこから引っ張ってきているみたいな、そんなようなものを作っているんですけど、こういうなんか町の連合で作っているみたいなところがあります。
この体制の作り方は多分ポイントで、一般社団法人を作ってここがマネジメントしてると。複数の自治体から包括事業委託みたいなことをして、社団法人の中で色々な開発とかをまとめてやっているという、このようなスキームを組んでいるという点が、ポイントなんだろうなと思うんですよね。
モデレーター 晝田浩一郎
こうした広域連携モデルもあるので、まさにどんなまちを作っていきたいのかであったりとか、Whyの部分をこうなるといいよねみたいなところ、目指すべき北極星みたいなところっていうのが、すごくすごく大事になってくるのかなって感じるんですけど。
そこ、スマートシティ、スーパーシティとか、こういったアーキテクチャとかっていう言葉に誤魔化されずに、「俺らが作りたいまちってこうなんだ」っていうのを考えていくための、これは自治体側も企業も両方大事だと思うんですけど、何かそれぞれでヒントというか、こんなまちをつくっていく、つくっていきたいんだって言ったときの考え、そういうすごく未来志向で考える時のヒントみたいなところって土屋さん、何かあったりしますかね。
登壇者 土屋俊宏
そうですね。例えば、これで言うと更別村みたいなところがあるんですけども、ここも2,000人ぐらいの村ですよね。もう本当に高齢化率が45%とかそれぐらいっていうような村ですけども、それでもやっぱり住んでる方々が生きがいを発見でき、好きなことを楽しめるサービスとか健康サービスがあったらいいよねみたいな観点で、結構大規模農業が進めばそれで所得が得られているような農家の方なんかも結構いるので、そういった農業を主軸にしながら、地域のサービスを充実させていこうと、包括的なサービスを提供していこうみたいな観点で、何かこういうベーシックインフラサービスみたいなものを、月額3,980円で作っているみたいなことをやっていたりもします。だからこれも、もともとコンセプトというか100歳までワクワクして暮らすまちづくりみたいな、何かそういう、これはキャッチフレーズかもしれませんけども、こういったものを掲げながら、これに資するようないろいろなサービスというものを実現していこうというものを作られてるのかなというふうに思いますね。
モデレーター 晝田浩一郎
全市民というよりは、何か少しずつ、この更別の場合だと、高齢者っていうところの切り口で見ているっていう形だと思うんですけど、「こういう未来がいいよね」「こんなまちがいいよね」っていうターゲットっていう言葉を使っちゃうとあれかもしれないですが、世代別であったりだとか、対象者別であったりとか、いわゆるペルソナ別にそういうのがたくさんあってもいいってことですかね、土屋さん。
登壇者 土屋俊宏
そうですね。ペルソナ別にはどうしてもなっていくと思いますね。何かそういったことを考えるワークショップですとか、最近だとLiveable Well-Being City指標っていうものがありますけども、いわゆる地域の状況をオープンデータとかアンケートとかそういったところから紡ぎ出して、その地域の中のレーダーチャートというか状況を可視化するというか他の地域と比較しての偏差値化にはなってしまってるんですけども、何かそういったものを、例えばデータをまず見て、「うちの地域ってやっぱりもうちょっとこうなるといいよね」みたいなことを、ストーリーを考えたりですとか、ちょっとこういうところは強いからこの辺をもうちょっとこう伸ばしていこうみたいなことを、その地域の関係者の方々同士で話し合いをしながら、ストーリーを紬ぎ出していくみたいなプロセスを最初きちんと作っていくみたいなこともされているところなんかは、結構出てきてますね。
そういう時にどうしても世代別で考えることなんかがちょっと違ってくるでしょう。なので、それがぶつかり合うみたいな状態はあまりよろしくないと思いますけども、相互に世代間の相互理解みたいなことも、そういう枠の中では進めながら、全体の折り合いをつけていくみたいなことが必要になるんだろうなと思いますね。
モデレーター 晝田浩一郎
なるほど。何かそこのワークショップみたいなことも出てきたんですけど、何かやっぱりちょっと冒頭の話に戻っちゃうんですけど、このスーパーシティだからとかスマートシティだからとかテクノロジーの活用だからとかって言って、こう最新テクノロジーを活用してどうのこうのよりは、もうちょっとその手前であったりだとか、さっきのアーキテクチャの図の左側もそうだったなと思うんですけど、テクノロジーを使うだけじゃなくて、体験、デザインも含めたテクノロジー活用みたいな考え方ってすごく大事だなって思うんです。何かテクノロジーって捉え方が、視野を狭めちゃ駄目だなみたいなことをすごく。なんかこの言葉を僕は毎回使っちゃうんですけど、言葉にごまかされないっていうのが大事だよなと。
登壇者 土屋俊宏
そうですね。おっしゃるとおりですね。(別添資料 スライド7を示して)何かちょっと横文字でごまかされている感はなんか、結構、この分野はあるような感じしますので、こういうのを作ったのもテクノロジーとかデジタル系を全部右の右側に押しやって、こっちの左側の方が実は大事だからこっちを考えようって、そういう発想で書かれている絵なのかなというふうにも思いますね。
モデレーター 晝田浩一郎
そしてDX、デジタルトランスフォーメーションみたいなものもそうかもしれないんですけど、ソリューションの前にやらなきゃいけないことがたくさんあるっていう、「どんなまちつくりたいんだっけ」とか「どういうことができるといいんだっけ」とか「どういう課題をやりたいんだっけ」みたいなところっていうのがやっぱり一番最初大事で、その上で、連携とかっていうのは後々あるにしても、まずはスモールスタートでも1個やってみる、実証実験からでも何かやってみるっていうことが何かやっぱり大事なのかなあっていうのはこれ、改めてこのクロストークの中でも感じているところなんですけど。
登壇者 土屋俊宏
そうですね。これもなんか真ん中にサービスってあるんですけど、誰に対してどんな便益を提供したいのかっていうのがやっぱりまずあって、それを実現していくには両側考えていくみたいな手順なんだろうなと思うんですよね。これっていったいどんなものがあるといいかっていうのをきちんと考るというか、突き詰めていくというか、そういうところからやっていくしかないのかなというふうに思っています。
モデレーター 晝田浩一郎
それが、自治体が考えるべきなんだとか企業が考えて提案すべきなんだとかではなくて、一緒になって出しながら、住民の方も入れ込みながら、対話しながらそこら辺を見定めていくっていう意味ですかね。
登壇者 土屋俊宏
そうですよね。行政の方だけでやらなきゃみたいなことは全然ないと思いますし、先週やった対話(埼玉版スーパー・シティプロジェクトに係る市町村と企業等の交流会)なんかもすごい良い場で、なんか自分も市民の1人だったり当事者の1人だったりすると、何かそこに対する課題感っていうのがやっぱり一番熱がこもるというか、結局これ事業開発とかサービス開発なんで、千三つの世界ですって言いますけど、何か新しいアイディアから実際に事業化するのは、千個から三つしかないみたいなその数感って結構正しくて、であれば何か課題、これ問題でこうやったらできるかなみたいにふっと思ったことはとりあえず書き留めておいて、そんなのをいろいろとその中から筋の良さそうなものを絞っていきながら多分100個ぐらい、100か50~60個ぐらいですかね、が事業計画になってきて、そこから実際にまわるようになるのは三つのみみたいな、そんなレベルの話ですから、ちょっと最初数打ってみて、その中から良さそうなものをいくつか磨いていくっていうことしかないのかなと思いますね。
モデレーター 晝田浩一郎
もうあっという間に時間になっちゃったんですけども、最後に、今後、この全国的な部分っていうとスマートシティもいろいろとあるのかなと思うんですけども、全国的に今スーパーシティ、スマートシティってある中で今回、埼玉版スーパー・シティプロジェクトみたいなところなんですけど、その中で共通する部分、異なる部分も多分両方あると思います。とはいえ、このプロジェクトを進めていく上で、自治体の方、企業の方にエールをですね、自治体、企業の皆さんに向けていただければなと思います。
登壇者 土屋俊宏
そうですね。前回先週、(市町村と企業等の交流会に)参加した時にやっぱり思ったのは、結構対話の重要性ってきっとあって、何かもう具体的にこういうサービスやろうとか、何か入れようとか、公募をやってとかいう前の段階で、すごくなじませるみたいなところっていうのはすごくあるなという、それぞれ立場はあるかもしれませんけども、一人一人やっぱり一市民という立場で考えた時に、本当に今後やっていくべき問題とか課題とかそういうのって何かなというのをお互いに語り合うような場を、いっぱい作っていただくってことが必要なんだろうなというふうに思います。
ちょっと最後に、この絵(別添資料 スライド46)が結構何か実感としてあるんですけど、いきなりこうサービス何かないですかみたいなのって、全然そこまで行き着かなくて、本当に何か最初に語りたいことみたいなものから、問題として絞り出していくって結構大変なんですよね。ワークショップ1回やった段階でそのサービスができるなんて全然なくて、やっぱりかなりかかるものなので、何かこういったことをなるべくたくさんの場を通じて、機会を重ねていくっていう、そういうところがあるといいと思います。
モデレーター 晝田浩一郎
ありがとうございます。自治体としても、企業としても、それぞれ対話の意識で、もうちょっとうちのサービスいかがですかとかっていうんじゃなくて、まず考えましょうっていう場とか機会っていうのをどんどん作っていく、そういう場から始めて、最初ミーティングかもしれないんですけど、ミーティング、そういった意識でスタートしていくことが大事ってことですよね。
登壇者 土屋俊宏
そうですよね。あと晝田さんが以前、岡崎市役所でやっていたような、空き家活用みたいなところで、いろいろな人が集まって何か話してみたいな場が自然に生まれるとか何かそういったことが、すごい大事なんだろうなというふうに思います。
モデレーター 晝田浩一郎
ありがとうございます。先週もね、7月の11日に埼玉版スーパー・シティプロジェクトの交流会って形であったりもして、その中で、交流の中でいろいろな対話が生まれたっていうことも、先週っていう言葉の中で言ってくれたかなと思います。いやでも土屋さん、概念的で大分抽象度の高い話だったかなと思うんですけど、いろいろとお伝えいただきましてありがとうございます。
今日はその1歩目。何で今もこういうものが求められてるんだっけとか、何で今こういうようなスマートテック、スマートテクノロジーっていうのを活用していかなきゃいけないふうになってるんだっけとか、そこの前段のところから解説していただけたかなと思っております。土屋さん、ありがとうございます。
やっぱり僕なんか、テクノロジーはやっぱり単なる便利な道具だと僕は思っていて、やっぱりどんな未来を作りたいかっていうのを一緒になって考えていく、提示していく。だからこういうふうにしていきたい、助けてくださいっていうのがお互い言い合えるっていうのが、何かやっぱり重要だなっていうふうに感じました。(終)
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