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掲載日:2024年3月26日
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答申第25号(諮問第36号)
答申
1 審査会の結論
埼玉県警察本部長(以下「実施機関」という。)が、浦和警察署長からさいたま市長宛発行されたA氏に係る「住民票(除票)の閲覧制限及び同写しの交付停止措置について」とこれに係る全文書(以下「本件対象保有個人情報」という。)について、その存否を答えることにより不開示情報を開示することとなるため保有個人情報の開示をしないとした平成21年6月9日付けの決定のうち、「住民票(除票)の閲覧制限及び同写しの交付停止措置について」に係る部分は妥当ではないので、改めて開示等の決定をすべきである。
実施機関が行ったその余の決定については、妥当である。
2 審査請求及び審査の経緯
3 請求人の主張の要旨
(1)趣旨
本件請求の保有個人情報の開示を求める。
(2)理由
さいたま市は、「浦和警察署長からA氏に係る『住民票(除票)の閲覧制限及び同写しの交付停止措置について』の通知書がさいたま市長宛発行されており」と述べているのであるから、「当該保有個人情報の存否」云々の余地は無く、したがって、「開示しない理由」にならない。
むしろ、条例第19条(裁量的開示)を積極的に適用するものと判断されるべきと考える。今回のケースは、まさに「個人(請求人)の権利利益を保護するため特に必要があると認めるとき」であると確信する。
4 諮問庁の主張の要旨
(1)開示請求に係る保有個人情報について
本件開示請求書の内容によれば、本件対象保有個人情報が記録されている公文書は、浦和警察署長がさいたま市長にあてたとされる、Aなる人物に係る支援措置に関係する文書であると推認される。
開示請求された本件対象保有個人情報については、当該保有個人情報の存否を答えることにより、条例第17条第3号、第5号及び第7号に規定する不開示情報を開示することとなるため、その存否を答えることはできない。
(2)本件処分を行った理由
ア 条例第17条第3号の該当性
本件対象保有個人情報が、支援措置に関係する文書に記録された保有個人情報であれば、その存否を答えることにより、支援措置対象者と思われるAなる人物が、浦和警察署に対し、支援措置に係る行動を起こしたか否かが判明することから、同人の生命、身体に危害が及ぶなど権利利益が著しく損なわれるおそれがある。
よって、情報の存在の有無を明らかにすることにより、条例第17条第3号の規定により保護されるべき不開示情報を開示することとなるため、条例第20条の規定に基づき、存否応答拒否としたものである。
イ 条例第17条第5号の該当性
支援措置対象者と思われるAなる人物が、支援措置の申出をしているか否かを明らかにすることにより、同人が支援措置に関する相談及び申出をしている事実の有無及び同人の居住地が判明するおそれがあり、同人に危害が及ぶ又は追跡を受ける事態につながりかねず、もって犯罪を誘発し、又は犯罪の実行を容易にするおそれがあるなど公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがある。
よって、情報の存在の有無を明らかにすることにより、条例第17条第5号の規定により保護されるべき不開示情報を開示することとなるため、条例第20条の規定に基づき、存否応答拒否としたものである。
ウ 条例第17条第7号の該当性
様々な被害に関する相談等は数多くの公的機関で受け付けているところである。公的機関で支援措置対象者と思われるAなる人物が、相談等をした事実が明らかになれば、それにより受ける不利益に鑑みて、以後の相談をためらうなどして事案の正確な把握が困難となり、また、相互の信頼関係は崩れ、相談者の期待に応えることができないなど、当該業務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがある。
よって、情報の存在の有無を明らかにすることにより、条例第17条第7号の規定により保護されるべき不開示情報を開示することとなるため、条例第20条の規定に基づき、存否応答拒否としたものである。
5 審査会の判断
当審査会において、本件対象保有個人情報に係る保有個人情報の開示をしない旨の決定について、請求人及び諮問庁の主張を検討した結果、次のように判断する。
(1)本件決定の妥当性について
本件対象保有個人情報は、浦和警察署長がさいたま市長にあてたとされる、Aなる人物の「住民票(除票)の閲覧制限及び同写しの交付停止措置について」とこれに係る全文書である。
本件対象保有個人情報のうち、「住民票(除票)の閲覧制限及び同写しの交付停止措置について」は、さいたま市が、請求人に対して発行した通知文書において、「浦和警察署長からA氏に係る『住民票(除票)の閲覧制限及び同写しの交付停止措置について』の通知書がさいたま市長宛発行されており」と述べていることから、その存否を答えることにより、不開示情報を開示することとなるとした保有個人情報の開示をしない旨の決定は、妥当ではないので、改めて開示等の決定をすべきである。
その余については、支援措置に関係する保有個人情報は、その存否を答えることにより、それにより受ける不利益に鑑みて、相談者が以後の相談をためらうなど事案の正確な把握が困難となり、また、相互の信頼関係は崩れ、相談者の期待に応えることができなくなるといった諮問庁の説明に不合理な点はなく、当該業務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれは否定できない。よって、その存否を答えることにより、条例第17条第7号に規定する不開示情報を開示することとなるため、条例第20条の規定に基づく保有個人情報の開示をしない旨の決定は、妥当である。
また、請求人は、条例第19条(裁量的開示)を積極的に適用するものと判断されるべきと主張するが、条例第19条に基づく開示を行わなかった実施機関の判断に裁量権の逸脱又は濫用があると認めることはできない。
(2)結論
以上のことから、「1審査会の結論」のとおり判断する。
(答申に関与した委員の氏名)
海老原夕美、西村淑子、松村雅生
審査会の経過
年月日 |
内容 |
---|---|
平成21年7月16日 |
諮問を受ける(諮問第36号) |
平成21年8月21日 |
諮問庁から理由説明書を受理 |
平成21年8月27日 |
審議 |
平成21年9月18日 |
請求人から意見書を受理 |
平成21年9月28日 |
諮問庁からの意見聴取及び審議 |
平成21年10月20日 |
審議 |
平成21年11月30日 |
審議 |
平成21年12月22日 |
審議 |
平成22年1月18日 |
答申 |
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