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掲載日:2020年7月27日

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テレビドラマ『陸王』の県内への経済波及効果~ドラマ放映3か月間で10億円超~

皆さんは「陸王」をご覧になったことがあるでしょうか。2017年10月から12月まで放映されたテレビドラマで、埼玉県行田市の老舗足袋メーカー「こはぜ屋」が、長年培った足袋の縫製技術を活かし、薄底のランニングシューズの開発に挑戦する物語(フィクション)です。

「陸王」は地元行田市でブームとなり、エキストラが何万人も集まり、ロケ地めぐりに観光客が殺到したり、「陸王」コラボ商品が飛ぶように売れたりするなど、経済効果がかなり多く生まれたと言われています。

経済波及効果

観光客の消費などの新たな需要が発生すれば、原材料等の取引を通じて産業間の取引を誘発し、他の産業の生産額に次々と影響を及ぼします。これを経済波及効果といいます。

この経済波及効果は、「産業連関表」という統計表を使用して計算することができます。

埼玉県統計課では、エクセルで作成した「経済波及効果分析ツール」を公開しており、このツールを利用すれば、需要の増加額を入力するだけで、埼玉県への経済波及効果を自動で計算することができます。

経済波及効果分析ツール(イベント版)

テレビドラマ「陸王」の埼玉県への経済波及効果について、ツールを利用して計算を試みました。経済波及効果分析ツールのうち、「イベント版」を使用して、2017年10月から12月までの3か月間の経済波及効果を計算します。

「入力消費」シートをクリックしてください。このシートにおいては、イベント参加者の人数と、1人当たり消費額を入力することで、産業部門ごとの需要増加額を計算します。ここでは、イベント参加者数を観光客数と読み替えて使用します。1人当たり消費額とは、消費していない人も分母に加えた平均の消費額です。初期設定値に、2010年から2014年までの5年間の観光客の国内旅行中の支出の総額を旅行者数で割った金額が入っていますので、データがない場合はこの数値を利用します。

隣の「入力開催」シートには、ドラマの撮影などにかかる費用のうち、埼玉県内への発注分を入力します。

需要増加額を求めるための基礎データ(与件データ)

「入力消費」シートに入力する観光客数を推計します。この人数の推計によって経済波及効果の規模が決まってきます。

まず、観光客数については、ドラマ撮影のために40,000人以上のエキストラが参加しました。行田市のアンテナショップである「ぶらっと♪ぎょうだ」にも2017年10月から12月までの3か月間で2016年と比較して7倍以上の客が来訪しています。相当多くの人が行田市を訪れていると考えられます。

そこで、「埼玉県観光入込客統計」調査を用いて、平成24年から28年までの行田市への観光客数の合計から、3か月あたりの観光客数を算出し(405,001人)、これに行田市の2か所の観光案内所の来客増加率77.61%を乗じ、2017年10月から12月までの観光客増加人数を約314,300人としました。

なお、観光客については県内及び関東近県からの来訪が大部分であると考えられるため、全て日帰りと仮定しました。

行田市への観光客増加数 314,300人/3か月

 

次に、1人当たりの消費額を求めます。行田市への観光客の増加により、行田市への往復の交通費、行田市周辺の飲食店での飲食費、お弁当・飲料の消費などがかなり増加したと考えられます。また、「陸王」関連グッズとして、ランニング足袋(産業部門:衣服・ゴム、以下カッコ内は産業連関表の産業部門を指します。)、まんじゅう(食料品)、せんべい(食料品)、日本酒(飲料)、武州正藍染(繊維)、Tシャツ(衣服)、マグカップ(陶磁器)、名刺ケース・パスケース(革製品)、マスキングテープ(文具・玩具)、缶バッジ(金属)など、さまざまな商品の売り上げが伸びています。

しかし、上記の消費について、行田市内の全ての店舗等の売上額を積み上げて計算することは事実上できません。

そこで、観光客は自家用車利用だけでなく鉄道利用者も多いと考えられる点、まんじゅうやせんべいについて製造事業者からの出荷が追いつかない状況であること、陸王関連グッズの売り上げは全体で5千万円は超えているだろうとの地元関係者の見立てなどから、1人当たりの消費額については、鉄道、飲料については、ツールの初期設定値(日帰り観光客の平均消費額)を用い、その他の消費については、初期設定値の3分の1を乗じて需要増加額としました。日帰り観光客の平均消費額のデータがない缶バッジ(金属製品)については、50人当たり1個の売上とし1人あたり10円、ランニング足袋のゴム部分は1人あたり75円と見積りました。また、陸王関連グッズの県内自給率は100%としました。

博物館の需要増加額については、行田市から提供を受けた入館料収入データをもとに逆算しました。

以上の品目の需要増加額について、具体的には下表のとおりとします。

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「入力開催」シートでは、ドラマの撮影費用を計上します。

撮影スタッフのロケ弁については、県内企業が受注しており、消費額を食料品と飲料に分けて計上しました。また、スタッフは平均20人が4か月にわたり、月15日程度1泊4,500円程度で市内に宿泊しており、その分の費用を計上しました。エキストラへの記念品があったそうですが県外での発注とのことでしたので、基礎データからは除外しました。

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経済波及効果額

数値を入力すると、ツール上で計算が行われ、「報告書」シートに経済波及効果額が表示されます。総合効果の欄に経済波及効果額が表示されます。右端に雇用誘発人数の欄がありますが、この経済波及効果によってどのくらいの雇用を生み出すのか表示します。

テレビドラマ「陸王」の埼玉県への経済波及効果額は、2017年10月から12月までの3か月間で約10億2千万円となり、雇用誘発人数83.4人となりました。

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今回計算した経済波及効果額はあくまでドラマ放映期間の2017年10月から12月までの3か月間の金額です。2018年に入っても観光客は多く行田を訪れており、関連グッズの売上も依然として好調であることから、経済波及効果額はこれからも増えていくと予想されます。

なお、この経済波及効果を計算するにあたっては、ご多用の中、行田市役所の関係者をはじめ、地元企業や鉄道会社などのご協力を得ました。この場を借りて御礼申し上げます。

お問い合わせ

総務部 統計課 経済分析担当

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 本庁舎2階

ファックス:048-822-3758

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