トップページ > 県政情報・統計 > 県政資料・県報 > 県政ニュース(報道発表資料) > 2022年度 > 2023年3月 > 県立文書館『埼玉県史料叢書25栗橋関所史料六』を刊行します―江戸時代後期における関所番士の知識・情報を伝える資料―
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発表日:2023年3月17日11時
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部局名:教育局
課所名:文書館
担当名:史料編さん担当
担当者名:駒見
直通電話番号:0488650112
Email:p6501123@pref.saitama.lg.jp
埼玉県の歴史と文化にとって重要な史料を、解読・編集して刊行する史料集が『埼玉県史料叢書(さいたまけんしりょうそうしょ)』です。この度、その第25巻として「栗橋関所史料六 雑事聞書Ⅰ・日光御参詣御用中書留」を刊行しました。
江戸時代、現在の久喜市栗橋には、利根川を渡るための渡船場があり、交通の取締りを行う関所(栗橋関所)が設けられていました。本書は、栗橋関所の機能や運営実態をみることができる日記等を収録した既刊の「栗橋関所史料」一から五の続編に位置付くもので、全7巻を計画しているうちの6巻目に当たります。
本書には、県立文書館収蔵の「足立家文書」の中から、足立家7代目当主の十右衛門が、栗橋周辺地域の見聞や幕政に関わる風聞など、様々な情報や知識を書き留めた記録「雑事聞書」や、将軍の日光東照宮参詣の準備記録「日光御参詣御用中書留」など、併せて21冊の史料を収録しました。
本書は県内の公立図書館等に配布するほか、有償頒布を行います。地域史研究や生涯学習に是非御活用ください。
足立家は、栗橋関所で通行改めなどをする関所番を勤める家でした。寛政12年(1800)から代々関所番を勤めた足立家に伝わった史料(足立家文書)全1304点は、現在文書館に寄贈され、収蔵されています。そのうち、94点が県指定有形文化財(指定名称「栗橋関所日記及び関係資料」)に指定されているように、栗橋関所の運営実態などを知る上で重要な史料群です。
本書に収録した史料は、神話・故事から十右衛門が生きた同時代までの幅広い年代の事柄がまとめられているものです。これらの記録からは、江戸時代後期に栗橋関所周辺で起こった出来事や、関所番士として生きた人物の教養がうかがえ、どのような情報を得て、どう伝えていこうとしていたのか、その姿勢も併せてうかがうことが出来ます。
本書に収録した史料は、次の通りです。
「雑事聞書」14冊
7代目足立十右衛門が様々な情報をまとめたものです。作成時期は、文政12年(1829)頃から弘化期(1844~1847)とみられます。それぞれの史料の名称は異なりますが、あわせて「雑事聞書」を総称としました。
「日光御参詣御用中書留」3冊
江戸幕府12代将軍徳川家慶が、天保14年(1843)に日光へ参詣するにあたり、道中の栗橋宿において準備がなされていた際の記録です。日光参詣が行われる前年の天保13年(1842)2月から、翌年正月までにかけての出来事が記録されています。
参考史料4冊
足立家における文政期の家訓書や親類書などを参考史料として収録しました。
本書「雑事聞書」に収録した史料から、十右衛門の記録を子孫へ残そうとした想いがうかがえます。
〈史料1〉天保3年(1832)3月「雑事」
赤穂浪士吉良邸討ち入りに関する書状の写しという、歴史的な出来事の記録をはじめ、十右衛門が生きた時代の文政年間に起きたシーボルト事件など幕政に関わる事件のほか、儒教に基づいた教えなどがまとめられたものです。奥書には、子孫繁栄を願って世間の浮沈を教訓の書として一冊にまとめた旨が書かれています。
そのほか史料についてのトピックは、文書館のホームページを御覧ください。
書名:『埼玉県史料叢書25 栗橋関所史料六 雑事聞書Ⅰ・日光御参詣御用中書留』
判型:A5判
ページ数:502ページ(本文及び付録)
有償頒布場所:県政情報センター(県庁衛生会館1階)
頒布開始時期:3月17日(金曜日)から
価格:税込2,219円
有償頒布に関すること:県政情報センター(電話048-824-2111、内線2890)