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発表日:2023年3月10日13時
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部局名:教育局市町村支援部
課所名:文化資源課
担当名:指定文化財担当
担当者名:北川
内線電話番号:6981
直通電話番号:0488306981
Email:指定文化財担当
埼玉県教育委員会は、埼玉県文化財保護審議会(会長:菊池健策)の答申を受けて、3月10日開催の教育委員会において、県指定有形文化財の新規指定5件、追加指定及び指定名称変更1件について審議しこれを決定しました。3月17日(金曜日)の県報告示により、正式に指定、追加指定及び指定名称変更となります。これにより、県指定文化財のうち、有形文化財は344件、県指定等文化財の件数は合計732件となる予定です。
種別 | 種類 | 名称 | 員数 | 所在地 | 所有者(管理者) |
有形文化財 | 彫刻 |
木造飛天像 |
1躯 | 秩父市中町25番12号 |
札所十四番護持会 |
有形文化財 | 彫刻 | 木造釈迦如来坐像 | 1躯 | 美里町大字甘粕394番地 |
宗教法人多宝寺 |
有形文化財 | 考古資料 | 前原遺跡玉作工房関係遺物 | 55点 | 熊谷市船木台4丁目4番地1 | 埼玉県 |
有形文化財 | 考古資料 | 反町遺跡玉作工房関係遺物 | 172点 | 熊谷市船木台4丁目4番地1 | 埼玉県 |
有形文化財 | 考古資料 | 反町遺跡玉作工房関係遺物 | 1点 | 東松山市大字下野本528番地1 |
東松山市(東松山市教育委員会) |
(現在の指定名称等)
種別 | 種類 | 名称 | 員数 | 所在地 | 所有者 |
有形文化財 | 建造物 |
三峯神社本殿付 棟札一枚枘(墨書)一本 |
1棟 | 秩父市三峰298番地1 |
宗教法人三峯神社 |
(追加指定・変更後の指定名称等)
種別 | 種類 | 名称 | 員数 | 所在地 | 所有者 |
有形文化財 | 建造物 |
三峯神社 本殿 付 棟札一枚 枘(墨書)一本 拝殿 随身門 国常立神社 日本武神社 手水舎 秩父宮台臨記念館 |
7棟 | 秩父市三峰298番地1 |
宗教法人三峯神社 |
秩父札所14番、臨済宗南禅寺派の今宮坊に伝来した木造飛天像は、像高29.3cm、広葉樹の一木造で漆箔(漆で金箔を貼る)の仏像。福島県河沼郡湯川村の勝常寺に所在する木造薬師如来坐像(国宝)光背の飛天像と酷似し、本来は同像と一具のものであった可能性が高い。伝来については不詳であるが、少なくとも18世紀後半からは今宮坊にて巡礼者の信仰対象となっていたことが明らかで、本像は、類例の少ない平安時代初期に遡る飛天像として貴重であると共に、秩父地方における近世の信仰史を知る上で重要。
真言宗智山派に属する多宝寺の境内に建つ釈迦堂の本尊である木造釈迦如来坐像は、像高112.2cm、針葉樹の寄木造で肉身漆箔、着衣彩色。玉眼嵌入(水晶はめ込み)の仏像。前後左右を四材矧ぎとし、像内を内刳りの上、割矧ぐ。重量感のある肉体表現、写実的な衣文表現など、12世紀末に運慶によって造られた静岡県伊豆の国市に所在する願成就院の阿弥陀如来像(国宝)に近似した作風を示す。本像は、関東地方における運慶及びその周辺の仏師の活動を考える上で貴重な作例であり、この時代の遺品のうち製作優秀で文化史上貴重。
桶川市に所在する前原遺跡は、縄文時代から近世に至る遺跡で、平成18年度に財団法人埼玉県埋蔵文化財調査事業団(現在は公益財団法人)によって発掘調査された。同遺跡の第2号住居跡は古墳時代前期のもので、小穴や間仕切り溝など、玉作に関連するものとみられる施設が備えられており、玉製作工程が復元できる製作途上の未製品や工作具としての砥石、敲石などの出土から、玉作工房跡であると考えられている。玉作関係遺物は、同住居跡出土の勾玉未製品25点、管玉未製品10点、剥片15点、勾玉1点、砥石4点からなる。なかでも水晶を素材とした勾玉未製品や緑色凝灰岩を素材とした管玉未製品は、荒割工程、形割工程、調整工程、研磨・穿孔工程といった玉製作工程を具体的に示す資料群となっている。特に水晶を素材とした勾玉の製作工房の例は東松山市の反町遺跡とともに全国的に希少である。玉作工房とみられる住居跡から出土した一括資料は、玉製作工程を具体的に示す資料群であり、古墳時代前期における玉類の生産を考える上で極めて重要。
第2号住居跡 | 勾玉未製品(水晶・メノウ) | 砥石 |
東松山市の反町遺跡第48号住居跡は、平成18年度に財団法人埼玉県埋蔵文化財調査事業団(現在は公益財団法人)によって発掘調査され、古墳時代前期の集落跡が発見された。同遺跡の第48号住居跡は古墳時代前期のもので、小穴や間仕切り溝など、玉作に関連するものとみられる施設が備えられており、玉製作工程が復元できる製作途上の未製品や工作具としての鉄針、砥石などの出土から、玉作工房跡であると考えられている。玉作関係遺物は、同住居跡出土の勾玉未製品12点、管玉未製品106点、剥片44点、石製品2点、鉄針6点、同住居跡と第56号住居跡が重複する部分から出土した砥石2点からなる。なかでも水晶を素材とした勾玉未製品や緑色凝灰岩を素材とした管玉未製品は、荒割工程、形割工程、調整工程、研磨・穿孔工程といった玉製作工程を具体的に示す資料群となっている。特に水晶を素材とした勾玉の製作工房の例は桶川市の前原遺跡とともに全国的に希少である。玉作工房跡とみられる住居跡から出土した一括資料は、古墳時代前期における玉類の生産を考える上で極めて重要。
第48号住居跡 | 勾玉未製品(水晶) | 管玉未製品(緑色凝灰岩) |
東松山市の反町遺跡第48号住居跡は、玉製作工程を具体的に示す一括資料が出土していることなどから、玉作工房跡であると考えられている。同遺跡では、第48号住居跡以外からも玉作に関連するとみられる遺物が出土しており、平成20年度に調査された同遺跡第206号住居跡からは、ガラス小玉鋳型1点が出土している。この資料は、同遺跡が石材による玉生産を中心としながらも、ガラス玉類の製作も行っていたことを示す貴重な資料である。古墳時代前期におけるガラス小玉鋳型の出土例は少なく、当該期の玉類の生産を考える上で極めて重要なものとして、同遺跡第48号住居跡出土の玉作工房関係遺物とともに一体のものとして高く評価できる。
第206号住居跡 | ガラス小玉鋳型 |
三峯神社境内には、江戸時代以降に建立された様々な建造物が所在する。今回、既に指定名称「三峯神社本殿 付 棟札一枚枘(墨書)一本」として県指定となっている本殿に、(1)拝殿、(2)随身門、(3)国常立神社、(4)日本武神社、(5)手水舎、(6)秩父宮台臨記念館の6棟を追加指定をし、その指定名称を「三峯神社 本殿 付 棟札一枚 枘(墨書)一本 拝殿 随身門 国常立神社 日本武神社 手水舎 秩父宮台臨記念館」に改める。
(1)拝殿 |
(2)随身門 | (3)国常立神社 | (4)日本武神社 | (5)手水舎 |
(1)~(5)は、近世期を通じて仏教(修験道)系の施設として用いられていた三峯神社の建造物が、明治の廃仏毀釈・神仏分離を経ても破却されることなく、手を加えることによって、神社建築として今日まで維持されており、いずれも、流派的又は地方的特色が顕著であり、価値が高い。
(6)秩父宮台臨記念館 |
(6)は昭和6年(1931)竣工の木造平屋建の寄棟造で、宮殿建築の性格を有する。外部・内部ともに当時の姿をよく留めた非常に優れた近代和風建築であり、歴史的価値が高い。