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ページ番号:254284

掲載日:2024年6月10日

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産業労働企業委員会視察報告

調査日

令和6年1月18日(木曜日)

調査先

 (1) TOKYO VENTURE CAPITAL HUB(東京都港区)

 (2) 独立行政法人水資源機構 利根導水総合事業所秋ヶ瀬管理所(志木市)

調査の概要

(1) TOKYO VENTURE CAPITAL HUB

(スタートアップ支援について)

【調査目的】

 創業間もないスタートアップは担保が不十分で、銀行融資では事業を行うための資金が十分得られないことが一般的である。そこで、将来的に高い成長が見込まれるスタートアップに投資や経営支援を行うのが、ベンチャーキャピタル(VC)やコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)である。TOKYO VENTURE CAPITAL HUBは、様々な業態のVCやCVCが約70社集まる日本初の大規模なVC等の集積拠点である。
 本県においても、スタートアップにおける円滑な資金調達等を支援していく必要があることから、同施設の取組を調査し、今後の施策推進の参考とする。

【調査内容】

経済の活性化のためには、スタートアップの成長とそれを支える投資の拡大が不可欠である。政府が策定したスタートアップ5か年計画の中でも、スタートアップへの投資額を10兆円規模にしてスタートアップ10万社創出を目指すとされている。しかし、スタートアップ支援施設と異なりVCやCVCの成長を支援する施設は国内にほとんど存在せず、また、日本におけるスタートアップ投資額は2021年で0.8兆円と、米国の35兆円と比較しても大幅に低い額となっている。そこで同施設は、VC等の集積地を作りスタートアップの成長に欠かせないリスクマネー供給の拠点となることを目的に、昨年11月末に開所した。施設内のVC等の関係性の構築や連携、切磋琢磨、競争等をサポートしていきながら、VC業界全体の成長と拡大を目指している。
 同施設では、立ち上げて間もないCVCに対してノウハウや実践的な学び合いの場を提供しているほか、VCやCVC同士で経験の共有やスタートアップの情報交換ができるイベントの開催、インキュベーション施設「ARCH」やスタートアップ向けシェアオフィス「CIC Tokyo」など他施設との連携を通じたマッチング、イベントスペースの提供等を行っている。また、同施設で提供しているサービスはCVCを対象としたものも多いが、同施設にはモノづくり系や重厚長大系のCVCも入所していることから、VCにとっても様々な業種のCVCと接点を持てるメリットがあるとのことだった。
 概要説明を受けた後、委員からは活発な質問が行われた。その中で「海外のVC集積拠点と比較して、同施設の特異点や魅力は何か。また、海外のVCが日本に参入してきた際に勝てるのか」との質問に対し、「この業界で一番重要なのはネットワークである。近接エリア内にVCやスタートアップだけでなく、大企業や中央省庁が立地している点が強みであると考えている。また、仕事の進め方や商品の売り方が独特である日本では、海外で実績のあるVCが大金をもって参入してきても必ずしも成功しない。商習慣を熟知している日本のVCに分があると考えている」との回答があった。
 その後、VCが入居するオフィス区画や、イベントスペースにも転用可能なコワーキングエリア、会議室を備えるラウンジ区画等を見学した。
 今回、同施設を視察できたことは、本県におけるスタートアップ支援を推進していく上で、大変参考となるものであった。

(2)  独立行政法人水資源機構 利根導水総合事業所秋ヶ瀬管理所

(水の安定供給に向けた取組について)

【調査目的】

 秋ヶ瀬取水堰は昭和40年に完成した可動堰であり、本県の大久保浄水場や東京都の朝霞浄水場に水道用水等を供給している。同施設を含む利根導水路施設は、首都圏の産業・生活基盤を支える重要なライフライン施設であるため、頻発する大規模地震発生に備えた耐震補強工事が実施されている。
 本県でも、水の安定供給に向けた取組を進めていることから、同施設における取組を調査し、今後の施策推進の参考とする。

【調査内容】

 利根導水路施設は、東京都や埼玉県、群馬県に向けて水道用水や農業用水、工業用水、浄化用水を供給しており、首都圏の産業・生活基盤を支える重要なライフライン施設として重要な役割を担っている。そのため、大地震の発生等によりひとたび施設が被災し取水・通水ができなくなった場合、その復旧に長期間を要し、広域的な二次被害や水の安定供給に支障が生じるおそれがある。そこで(独)水資源機構では、用水供給への影響や第三者への二次被害が想定される施設を対象に、耐震補強工事等の地震対策を実施し、被害の未然防止や安定通水の確保を図っている。この工事は「利根導水路大規模地震対策事業」として国土交通大臣等による事業実施計画の認可を受け、平成26年度から令和5年度の予定で実施されている。
 利根導水路施設のうち秋ヶ瀬取水堰は、東京砂漠とも呼ばれた水不足を、利根川からの導水により解決するべく進められた利根導水路事業の一環として建設された。もともとの荒川の水に加え、武蔵水路から荒川に注水された利根川の水も合わせて取水を行っており、首都圏の慢性的な渇水の解消や用水の安定供給に寄与している。地震対策としては、取水堰の両脇にある堰柱の一部を鉄筋コンクリートで増厚するとともに、ゲート設備の更新を実施した。また、出水時にゲートの機側操作や点検が行えるように設置されている連絡橋は、基礎杭を増打し橋脚を鉄筋コンクリートで巻立てることで耐震性を確保した。
 同機構ではこのような施設の耐震化以外にも、防災訓練の実施や情報伝達体制の強化、業務継続計画(BCP)の策定等のほか、鋼管や内面バンド等製作に時間を要する特殊資機材の備蓄や、海水を淡水に変えることもできる可搬式浄水装置等を配備するなど、水の安定供給に向けた取組を実施している。また、水質事故への備えとして、水質調査を毎週行い通常時の水質状況を把握したり、事故発生時における対応能力の維持・向上を図るために、管理所単独及び浄水場等の関係機関との合同訓練を定期的に実施している。
 概要説明を受けた後、委員からは活発な質問が行われた。その中で「安定供給に関して、地震以外にどのようなリスクがあるのか」との質問に対し、「例えば工場廃液が漏れて川に流れてしまうなどの水質事故が考えられる。事件や事故が発生した際は、必要に応じて防災体制を敷くなど、適切な対応を取っている」との回答があった。
 その後、詳細な説明を受けながら秋ヶ瀬取水堰を見学した。
 今回、同施設を視察できたことは、本県における水の安定供給に向けた取組を推進していく上で、大変参考となるものであった。

産業労働企業委員会の視察写真

利根導水総合事業所秋ヶ瀬管理所にて

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