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掲載日:2026年1月21日
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日本シーム株式会社(https://www.nihon-cim.co.jp)は、埼玉県川口市に本社を置く廃プラスチック再生機械メーカーです。1979年の設立以来、粉砕機や洗浄脱水機、乾燥機などプラスチックリサイクルのための機械の開発・製造・販売やプラントシステムの設計施工を行っています。全国のリサイクル施設で40%以上のシェアを誇ります。「マシンテクノロジーで地球を豊かにする。」を合言葉に、循環型社会の実現に貢献しています。川口SDGsパートナー、埼玉県サーキュラーエコノミー推進分科会会員、埼玉県多様な働き方実践企業。2025年10月28日に本社工場を訪問し、お話を伺いました。

本社・工場 シザーズカッター(洗浄粉砕機) 親子向けアップサイクル体験


廃ペットボトルから、 徹底した粉砕洗浄の末出来上がった真っ白なチップ(再生材、原材料)
1. 事業の内容
(1) 製品の紹介
日本におけるプラスチックごみの処理方法は、焼却又は埋立が主流です。焼却の場合は熱エネルギーを回収でき、それを温水プールなどの施設に利用していますが、焼却の際に二酸化炭素を排出することや熱利用が一回限りであることが課題です。
これに対し、回収されたプラスチックごみを機械で原材料(マテリアル)化し、その再生材を使って新たに製品を作るというサイクルを繰り返し行うのがマテリアルリサイクルです。このマテリアルリサイクルを実現するため、日本シームは、これまで数多くの多種多様な機械を開発製造してきました。機械の紹介動画が充実していますので、日本シームのホームページをぜひご覧ください。
◆洗浄粉砕機 シザーズカッターシリーズ
回転刃と固定刃がハサミの原理で処理物をシャープに切断します。
◆洗浄粉砕&洗浄脱水設備 プラ洗ユニット
廃プラスチックと水を投入し、粉砕と洗浄を同時に行います。粉砕機で落としきれなかったわずかな汚れなどをすすぎ洗浄し、遠心脱水できます。コンパクトかつ高品質なリサイクル処理が可能です。

シザーズカッター プラ洗ユニット
◆破砕機 メガシャークシリーズ
大型プラスチック製品を効率よく破砕。低速省エネ型粗破砕機。


◆渦巻水流型アルカリ洗浄&選別装置 なるとトルネード型 ※脱墨対応機種
トルネードNTA-500は、2024年の第43回西海記念賞を受賞(埼玉産業人クラブ)しました。搭載している脱墨機能によりプラ表面のインクを落とすとともに、軽・重プラスチック、発泡片等の三種選別が可能。透明で質の高いフィルムに再生するので、元のフィルムに戻すことや、再び着色して様々な製品に再利用することができます。
脱墨効果
(2) プラントの設計、施工
日本シームは、機械の開発製造の他、機械とベルトコンベアなどの装置を組み合わせたシステム(プラント)の設計、施工も行っています。プラントは、⑴「粗選別ライン」、⑵「洗浄ライン」、⑶原材料にするため、洗浄粉砕したプラスチックを粒状にする「造粒ライン」の3ラインから成り立っています。⑴と⑶の工程には厳選した外国製品を組み込むなどして、より最適なプラントを提案しています。
プラント
(3) テストセンター(埼玉、三重)
◆ミライラボ(MIRAI Labo 新研究開発センター、本社工場敷地内)
常時、各種テスト機、デモ機を設置。含水率や電流値などを測定するための各種計測機器もあります。事業者のニーズに応じた廃プラスチックの洗浄、粉砕、選別を行う機械やシステムの試験、研究を行うことが可能です。
◆プラスチックラボ(PLASTIC Lab. 新テストセンター、三重県)
西日本地域の事業者の要望に応えるため、豊田通商株式会社と日本シームが連携し、2025年1月、三重県に新テストセンターを開設しました。

ミライラボ プラスチックラボ テスト風景
(4) 法整備とともに事業拡大
日本シームにとって、リサイクル関連の法律の制定と、国が定める目標を見据えながら事業を行うことは重要です。
2000年に全面施行となった容器包装リサイクル法は、一般家庭から出るプラスチックごみを再生材(原材料)にして再商品化することをプラスチック製品製造事業者に義務付けました。リサイクル専業会社を作る企業もあり、日本シームのリサイクル機械への需要も伸びています。

廃プラスチックから再生材へ。各見本
(5) 加速する技術開発
2022年にプラスチック資源循環法が施行され、プラスチック資源循環戦略の目標の一つに、2030年までにリサイクル率を60%に引き上げるという目標が掲げられています。現在、日本は年間約900万トンのプラスチックごみを排出していますが、そのうち、マテリアルリサイクル率は約20%に留まり、資源として十分に循環していません(焼却は約60%)。日本シームは、国の掲げる目標達成に貢献するため、開発テーマに合わせて組織改編を行いながら、技術開発のスピードを向上させています。

脱水機を組み立てている様子 洗浄粉砕機のローター部分
(6) 国や人の意識の重要性
地球環境については、2050年には魚の重量よりも、海に捨てられてるプラスチックの方が多くなると言われています。
木口社長によると、リサイクル率を向上させるには、法律、技術の他に人の意識が非常に重要だといいます。これまで、再生材は、バージン材(新品の素材だけで作られた原材料)より高くなるので経済合理性に見合わず、そこまでリサイクルにお金をかけなくてもいいという考えが浸透していました。
しかし、2015年の世界的なSDGsの採択やパリ協定(気候変動抑制に関する多国間の国際的な協定)の締結を機に、マテリアルリサイクルにお金をかけ、しっかりやるという考えが広まりました。また、デザインフォーリサイクル(Design for Recycling, DfR)、最初からリサイクルしやすいパッケージの商品を作るという考え方が、プラスチック製品製造事業者に浸透してきています。

羽田空港に掲示されている日本シームの広告
2. 今後の展望
(1) 100億宣言
日本シームは、中小企業庁が推進する「100億円企業創出プロジェクト」に参画し、2033年度までに売上高100億円達成を目指す「100億宣言」を掲げています。この計画に沿って、2027年に、全工程の機械を一気通貫でテストできる、アジア初のプラント型テストセンターを越谷市に開設するほか、東南アジア圏への販路拡大などを目指します。
(2) 体験で広げるSDGs
これからも、地域の人に、環境問題への意識を持ってもらうには何をすればよいかを考えながら、広報やSDGs推進に積極的に取り組んでいきます。
2024年に「SDGs事業部」を作り、親子向けのアップサイクル体験イベントを各所で開催しています。累計参加者は約2,000名、ペットボトルキャップを粉砕・加熱・成形して、コマや鉢、ビーズなどを作ります。2025年にはECサイト「Nihon CIM Upcycle Shop(日本シームアップサイクルショップ)」(https://nihoncim.base.shop)を開設し、体験イベントで生まれた雑貨をオンラインで販売しています。他に、埼玉県庁や浦和レッズのイベントでの「サーキュラーエコノミー体験」や小学校等への出前授業なども行っています。

親子向けアップサイクル体験 ペットボトルキャップから生まれた雑貨 埼玉スタジアムでの体験

ECサイト「日本シームアップサイクルショップ」で販売中(植木鉢、コマ、ビーズなど)
(3) 水平リサイクルのさらなる実現に向けて
リサイクル手法には、「水平リサイクル」と「カスケードリサイクル」があります。前者は、使用済み製品を原材料化し、それを使って再び同じ種類の製品を製造する手法(例 ペットボトルからペットボトル)、後者は、原材料化の過程で元の製品の品質に戻らず、リサイクル前と異なる製品を製造する手法(例 自動車部品からプラスチックペレット)です。
現在、世界のリサイクル率は10%に満たない状況です。日本は水平、カスケード双方を入れたリサイクル率が20%前後、これが20年続いています。日本シームは、これらのリサイクル率を少しでも引き上げたい、もっと良い機械を作って質の高い再生材を作り、水平リサイクルを推進していきたい、と考えています。今後も、持続可能なビジネスモデルの構築と社会課題の解決の両立を目指してまい進していきます。
ご対応いただきました木口代表取締役CEO及びSDGs事業部の吉山様、ありがとうございました。

2025年埼玉ちゃれんじ企業経営者表彰「埼玉県知事賞」受賞。右が木口社長。
日本シーム株式会社