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掲載日:2024年11月21日
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コミー株式会社(https://www.komy.jp)は2023年4月12日に設立50周年を迎えました。世界初の、フラット(平面)なのに凸面鏡と同じように広い範囲が見えるFFミラーと、軽くて丈夫なアクリル製の凸面ミラーを主に製造しています。これらのミラーの用途は多岐にわたり、オフィス、駐車場、エレベータ、ATM、航空機、工場、学校、病院、コンビニ、駅などのあらゆる場所で、安全・防犯対策、サービス向上、業務効率アップなどに役に立っています。
2019年に川口商工会議所の「第1回川口の元気経営大賞」を受賞、2024年には埼玉県の「彩の国工場」及び川口市の「地域貢献事業者」に認定されています。
今回は、2024年10月1日に本社・工場及びQiセンターを訪問し、お話を伺いました。
コミー株式会社 本社・工場
FFミラー(駐車場出入口の安全確認に) 凸面ミラー(工場では衝突防止や作業効率アップに)
■日本中で、コミーの「気くばりミラー」が役立っています
ミラー(鏡)というとほとんどの人は自分の顔を見るための姿見を思い浮かべると思います。しかし、普通の鏡に比べ、映る範囲が広いコミーのミラーは、自分以外の物や人の動きを見るためのもの。そして「気くばり」するためのものです。
例えば、曲がり角の向こうから人が来ないかミラーで確認して、ぶつからないよう一時停止する。エレベータに乗り込もうとしている人がいないかミラーで確認して待ってあげる。死角となっている場所もコミーのミラーなら見えるので、安全な場所や利用者が気持ちよく過ごせる空間に生まれ変わります。
気くばりミラーには大きく分けてFFミラーと凸面ミラーの2種類があります。
◆FFミラー
FF(エフエフ)ミラーは「Fantastic Flat Mirror(ファンタスティック・フラット・ミラー)」の略で、コミーが世界で初めて開発したミラーです。
<特徴>
・フラットなのに視野が広い不思議なミラー
普通の鏡(平面ミラー)は、出っ張らないですがミラーに映る範囲は狭く、凸面ミラーは、ミラーに映る範囲は広いですが出っ張ります。FFミラーは平面かつ映る範囲の広い、普通の鏡と凸面ミラーの長所を兼ね備えたミラーです。
・目線の位置に貼れる
出っ張らないから目線の高さに貼ることができ、ミラーを見るだけで死角が自然と目に入ります。
・取扱いが簡単
強度のあるプラスチック(アクリルまたはポリカーボネート)を使っているので割れにくく取付けが簡単です。
実際、訪問時に、同じ手の平サイズのFFミラーと普通の鏡を見比べてみたところ、普通の鏡では鏡を持っている人しか映らないのに、FFミラーではその周囲の人まで4人も映っていました。平らなのに見える範囲が広い、とても不思議であると同時に、様々な使い道の可能性を感じました。
オフィスでは 駐車場では エレベータでは
通路の衝突防止に 出入口の安全確認に 乗り残し・挟み込み防止に
◆FFミラーAIR ~世界中の航空機で活躍
飛行機に乗ったとき、座席の上の手荷物棚の中にある小さなミラーを見たことがある方もいるのではないでしょうか。
航空機の手荷物棚用ミラーである「FFミラーAIR」は、乗客の忘れ物を防止するため、また客室乗務員が忘れ物や不審物などがないか素早くチェックするために設置されています。フラットでありながら棚の隅々まで映し出すため、背の低い人でも鏡を下からのぞき込むだけで確認できます。
航空機に使われる素材は軽くて燃えにくいなど厳しい基準が課せられますが、コミーはこれをクリアし、このミラーの累計出荷枚数は65万枚超。航空機のスムーズな運航にも役立つと、世界100社以上のエアラインで採用されています。ボーイングやエアバスの最新の機体にも採用されています。
FFミラーAIR
手荷物棚の忘れ物防止に
◆FFミラー気配
トイレ出入口の衝突防止用です。ユーザーの声を反映し、フラットなのに視野が広いFFミラーに「ぼかし加工」を施した新タイプで、プライバシーに配慮しながらも、人の気配だけが見えるように作られています。
FFミラー気配
トイレ出入口の衝突防止及びプライバシー配慮の両立、ミラーをぼかすという画期的なアイデア
◆凸面ミラー
コミーの凸面ミラー(中央部が高くなっているミラー)は軽くて丈夫なアクリル製で、反射像が明るく寿命も半永久的です。工場の安全対策に用いられるほか、学校や病院などの環境にも溶け込むデザインもあり、グッドデザイン賞を受賞した商品もあります。
学校では 病院・介護施設では 店舗では
衝突防止や防犯対策に 衝突防止や見守りに お客様に気づく店づくりに
■商品開発について
◆コミーの原点US ~現場で使ってくれるお客様(ユーザー)を第一に考えています
コミーのはじまりは1967年創業の看板製作会社です。その後、回転看板用の「回転装置」を作り始めました。ある時、知り合いが置いて行った凸面ミラーを2つ貼り合わせ、中に小型モーターを入れて回してみると不思議なミラーができました。このミラーを展示会に出したところ、一度に30個も注文してくれたお店がありました。その後、気になって訪ねてみると、万引対策として役立っているとのこと。この思いもよらない使い方に驚きと発見がありました。「面白い」と思って作った回転するミラーが思わぬ形で人の役に立っている。これを機にコミーは看板から気くばりミラーのメーカーへと転身することになったのです。
以来、コミーは、フラットで広角な鏡、FFミラーを開発するなど新しい商品を次々に生み出してきました。新商品を作り続けることができるのは、創業以来、地道な研究開発を大切にしてきたからです。
コミーでは、「User Satisfaction」の略、「US(ユーエス)」というオリジナルの用語をつくり、「使う人の満足度、それを調査する行動を含む」と定義しています。研究開発はまずユーザーに対して徹底的にヒアリングすることから始まります。営業担当者とは別に顧客満足度を調査するUS専門の担当者を置き、ミラーが現場でどのように役立っているか、何か困っていることはないかを電話やメール、現場訪問などで確認をしています。本当に役に立つ商品を開発するために、ユーザーの意見を何よりも大切にしているのです。
◆競争に費やすエネルギーを創造に費やす
コミーは競争より創造にエネルギーを注ぐ会社です。コミーの土壌に合った種をまき、じっくりと育てます。本当に必要なものは長く使ってもらえる。「なぜ?なぜ?なぜ?」と真因を追求することを大切にし、未来を思い描きながらオリジナル商品を開発しています。
◆商品開発の拠点「Qiセンター」
ユーザーの意見を聞き、さらに役立ててもらえる商品を作るために、どんどんアイデアを出し、試作し、商品化する場所が必要です。 そこで新しい技術開発の拠点「Qi(キューアイ)センター」(Question &Innovation)を2017年6月に開設しました。また、異業種の情報交換の場、ものづくりや楽しさを体験できる場としても活用されています。
Qiセンターには、これまでコミーが開発してきた商品や技術が数多く展示され、それらを体験できるような広いスペースが用意されています。近くの小学校の子供たちが訪問するなど地域との交流の場にもなっています。実際に見学させていただき、コミーミラーの見える範囲の広さや不思議さ、性能の奥深さに驚き、感動しました。
Qiセンター 展示スペース(Qiセンター)
■今後、力を入れていきたいことについて
まずは、FFミラーの海外展開に力を入れていきたいとのこと。日本と同じニーズは海外にもあるそうです。国内も含めFFミラーをもっといろいろなところで使ってもらい、世界中の人々の役に立ちたいと考えています。
もう一つは、ミラー以外の商品開発に力を入れることです。「コミーの技術を生かした別のマーケットの商品開発」、「コミーが文化を知っているマーケットでの商品開発」です。
既に様々取り組んでおり、前者の例では、2023年に、北里大学医療衛生学部視覚機能療法学の半田知也教授監修のもと、コミーミラーを使用した眼球運動のストレッチ器具「BinoStretch(バイノストレッチ)」を開発しました。
後者の例では、普段、FFミラーAIRの取引でお付き合いのある航空会社からの要望を受け、客室乗務員が離着陸時に手荷物棚が完全に閉まっていることを確認するために使用する伸縮式の棒「TanaOS(タナオス)」を共同開発しています。
さらなる実現のため、一層ミラーの基礎研究を深め、強みを整理して新たな利用シーンを提案していくとともに、ミラーに限らず面白いと思うものやユーザーからの要望をどんどん試作し、実際に使ってもらいながら商品開発することが大事だということです。
コミーは今後も、創造にエネルギーを投入し、「なぜ?なぜ?なぜ?」と真因を追求していく「なぜ力」と、未来を思い描く「想像力」で、世界のどこにもないオリジナル商品を開発していきます。
ご対応いただきましたコミー株式会社の渡邉取締役副社長、岩田取締役及び広報部の野田様、ありがとうございました。
Qiセンターにて撮影(左から野田様、渡邉副社長、岩田取締役)
コミー株式会社
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