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掲載日:2023年9月11日
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1968年8月に川口市赤山において栗原保男氏(現社長の祖父)が栗原製作所を創業し、カメラ用部品の製造を開始し、1973年4月に社名を改め株式会社栗原精機を設立し、その後、内視鏡用加工部品のアッセンブリを開始しました。
1985年10月に新社屋が完成し、その後、NC旋盤やマシニングセンタ等の複雑形状の製品を連続加工することができ、高い生産性を持つ設備の導入を進めてきました。
2023年 5月の役員改選で、栗原稔前社長が代表取締役会長に、栗原匠氏が代表取締役社長に就任しています。
創業以来、約半世紀以上の長きにわたり、精密な金属の部品加工を生業としてきた町工場で、医療機器、工作機械、光学機器などの精密さを求められる製品から、自動車模型や釣り具など複雑形状でありながら仕上がりの美しさ、手触りまでを求められるホビー製品に至るまで、幅広い分野において精密部品を提供しています。
また、自社のことだけでなく、町工場の横の連携強化にも注力し、町工場が有する高い技術力を外部に発信することなどにも力を入れており、業界全体のイメージアップにも大いに貢献しています。
そんな中で、長年培った精密機械加工の高い技術力を活かし、数年前から自社ブランドの製造と販売にも力を入れ、広く注目を集めています。
栗原精機 本社・工場
工場内部の様子
今回、栗原精機への訪問は、川口商工会議所が主催した「川口まちこうば芸術祭2023」の会場に足を運んだことがきっかけでした。
2023年3月8日から12日まで、アトリアで「川口まちこうば芸術祭2023」が開催され、3月8日に行われたオープニング交流会に参加し、栗原稔会長(当時社長)のお話を直に聞くことができました。
その中で、参加された5つの町工場がクリエーターの皆さまの無限な発想を試行錯誤しながら芸術作品として仕上げていく過程の話をお聞きし、「すごく大変そうだけどなんかすごい!」とわくわくしながら話に耳を傾けていました。
クリエーターと町工場の間に立ち、この素敵なイベントの開催と成功に導いた立役者の一人が栗原精機でした。
会場で、会社のパンフレットをいただき、中を眺めると素敵な自社ブランドの文房具やアウトドアグッズの製造と販売も手掛けていることを知り、是非とも直接お会いして話を聞きたいとの思いを強くし、今回の企業訪問へ至りました。
企業訪問のご協力をいただく際に、今年の5月に社長の交代があり、栗原稔前社長が会長に、そのご子息の栗原匠様が社長に就任されたことを知りました。
今回は、自社ブランド製造・販売についてだけでなく、多くの中小企業が直面する事業承継についてもいろいろとお話を聞かせていただくことができました。
栗原匠新社長は、社長就任までは栗原精機の社員として働き、コロナや昨今の原油・物価高騰といった大きな課題への対処も経験した上で、アパレル業界から転身されました。
そのため、自社ブランド商品の製造・販売については、アパレル産業に従事していた頃の様々なノウハウをうまく活かして挑戦しているとの話が印象的でした。
「川口まちこうば芸術祭2023」の様子
クリエーターの無限の発想を形にした5つの町工場が作成した出展芸術作品の数々
近年、長年培った精密機械加工の高度な技術を活かして自社ブランド商品の開発や販売も開始し、順調に業績を伸ばされているとのことです。
多くのファンに愛されるオリジナルブランドとしての確立を目指し、日々、開発に努力されています。
特に、自社ブランドのアウトドアグッズの中でもキャンプグッズは、特に高い評価を得ているそうです。情報発信に際しては、栗原匠社長の前職での経験等も活かし、Instagram 等もうまく利用しながら、商品のPRを行っているとのことでした。
海外から多くの同種の商品が市場に入ってきても、栗原精機の製造したこの商品を購入したいという人もいるほど、そのブランド力が増してきています。
それらの商品は、自社ブランド商品を扱ったECサイトでも販売しています。
また、その中で扱われている文房具のテープカッターについては、川口市のふるさと納税の返礼品にもなっています。
是非とも、一度、その商品をご覧いただき、その素晴らしさを目にしてみてください。
◇自社ブランドECサイト(KURIHARA TAKUMI)
応接室に展示された自社ブランド商品
自社ブランド商品のアウトドアグッズ(左:LEDランタンスタンド、中:カラビナ)と文房具
ホームページには社長メッセージが掲載されており、その中に『創業から積み重ねた実績を基に、「匠のモノづくりで"作りたい"をカタチに」をモットーとし、日々変化するお客様のニーズに対応し作りたいという想いをカタチにすることのできる会社へと進化します。』との記述があります。
今回、様々な話を聞かせていただく中で、それらを着実に実践してきた結果、今に至っているのだろうなと実感いたしました。
その結果の一つとして、自動旋盤による高精度複合加工技術は「KAWAGUCHI i-waza(いいわざ)」 、匠の技で金属の美しさを表現した文具 COOLMILLINGSシリーズは「KAWAGUCHI i-mono(いいもの)」のブランド認定を受けています。
それに加え、自社のことのみならず、リーマンショックの影響で仕事の発注がこないといった大きな困難を乗り越えながら、得意分野がそれぞれで異なる町工場の横の連携構築にも力を入れ、一致団結して町工場のもつ技術力を世の中に知らしめていくという重要な役割をされてきたことも知りました。
栗原稔会長が立ち上げたFacebookの「Makers Link」は、モノづくりに関わる人々を繋ぐ「ものづくりコミュニティ」であり、町工場の横のつながりを大切にしたいとの思いで創設されました。同じく、日本全国の町工場が集まり、町工場の独自ブランドを一堂に集め、展示会等に出品する「町工場プロダクツ」も、合同会社メーカーズリンク(代表:栗原稔会長)が運営しています。
今でこそ、町工場の世間での認知度もある程度上がってきて、日本のモノづくり文化をしっかりと支える存在として認知されるようになってきましたが、栗原精機の果たしてきた役割は大きいのだろうなということを今回改めて感じました。
日本中の町工場が、さらなる飛躍を遂げ、その結果として日本全体が元気になっていく道程を垣間見ることができたような気がします。
ご対応いただきました株式会社栗原精機の栗原稔会長と栗原匠社長、ありがとうございました。
作業所にて撮影(左から栗原匠社長、栗原稔会長)
栗原精機株式会社
https://www.facebook.com/groups/504664789596635/?fref=ts
◇Facebook(MAKERS LINK)
https://www.machikobaproducts.com/
◇ホームページ(町工場プロダクト)
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