統計ア・ラ・カルト第180号「原油価格の高騰が消費者物価に与える影響~価格変動分析ツールの紹介~」<2022年5月号>
原油価格が高騰しています。
日本の原油のほとんどは、国外からの輸入に頼っていますが、消費者物価にどのような影響を与えるのでしょうか。
原油価格上昇率
- 2021年の輸入量は、1億4400万klで、サウジアラビア(39.7%)、アラブ首長国連邦(34.7%)、クウェート(8.4%)、カタール(7.6%)、ロシア(3.6%)等から輸入しています。
- どの国の原油価格も高騰しており、2021年1月の価格を基準にして、原油価格の上昇率を計算してみると、2022年2月では、91.7%と2倍近く高騰しています。
原油の販売先は石油製品会社が95%以上
- 原油の販売先を調べてみると、販売先は、石油製品(ガソリン、灯油、重油等)の会社が95%以上を占めています。(2015年全国産業連関表)
原油が石油製品の原材料に占める割合は?
- 石油製品の全原材料のうち85.9%を原油が占めています。(2015年全国産業連関表)
- このことから、原油価格の高騰は、石油製品の価格に大きな影響を与えると言えます。
価格変動分析ツールの紹介
- 原油価格の高騰は、石油製品の価格に影響を与え、ガソリンや重油の価格の上昇は、バス等の運輸業、火力発電の電力料金に影響を与えます。
- それらの価格の上昇は、各産業の価格に影響を与え、価格の波及が起こり、最終的に消費者物価に影響を与えることになります。
- 「価格変動分析ツール」から消費者物価に与える影響を計算してみると、原油が 91.7%上昇した場合、消費者物価は 3.0%上昇し、一般消費者の月間の消費支出増加額は、9,640円増加する結果となりました。