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掲載日:2023年12月11日
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訪問日
令和4年5月25日(水曜日)
訪問地域
川越比企地域(鶴ヶ島市、越生町、毛呂山町、川越市)
訪問先
株式会社関水金属は、鉄道模型車両、運転システムやその関連商品の製造・販売を手掛け、国内最大のシェアを持つ鉄道模型のパイオニアです。
鉄道模型車両の企画・開発から生産・組立、アフターフォローまで全て自社内で行っています。
昭和61年には米国イリノイ州シカゴに現地法人KATO U.S.A.INC.を設立し、ブランド名の「KATO(カトー)」は海外でも高い認知度を誇っています。
日本で初めて製品化した主力製品のNゲージ(レール幅9mm、縮尺150分の1)は鶴ヶ島市のふるさと納税返礼品にもなっており、高い人気を誇っています。
知事は、会社の概要について説明を受けるとともに、工場内を視察し、創業者や代表者らと意見交換を行いました。
鉄道模型のパイオニア企業を訪問する
ものづくりの企業で20%もの高い営業利益を上げるというのは、非常に難しいことだと思います。
海外、例えばアメリカだと、中国製品が私たちの競合相手ということになります。その市場において、価格的に彼らと同等以上で品質を保つという地位を築けるかが非常に重要です。
Nゲージは、日本には様々な種類の鉄道車両が運行されていることから、多品種のモデルを作ることができ、我々の技術力で良い品質のものを提供できます。
一方で、この工場はNゲージを作る想定で作られており、大きいHOゲージを作るとなるといろいろな問題が出てきてしまうので、国際競争力はNゲージに比べて弱いです。
このため、営業利益の20%というのは、かなり高い目標ではあります。ただ、15%に達さなければいけない中で、これを維持できるのは、一貫生産の中で、違う車両でも同じ部品を使うなどの工夫をしているからです。
これだけ多品種で、また細かい部品を扱う中で、製造から出荷まで、在庫も含めて管理が非常に大変ではないでしょうか。どのように工夫をされているのですか。
弊社では、アメーバ経営を導入しています。それぞれの部門にトップリーダーがいて、それぞれが個人事業主のように「経営」をしています。
前工程と後工程でどういう部品がいつまでに欲しいかといった社内売買のような部品の受発注を、工程間のリーダー同士がお互いつながりを持ってやっています。同時に何製品も、複数の部品を作っていますが、そういう細かいやり取りが、アメーバ経営によって可能となっています。
製造業というのは、季節ごとに波があると思いますが、御社の場合はどのように対応しているのですか。
製品によって、儲かるものと儲からないものに分かれてしまいますが、部門ごとに時間当たりの稼ぎ高の指標を、社員に共有しています。
なるほど。分かりました。
オクムサ・マルシェは、越生町出身のオーナーが東京都からUターンし家族でカフェを経営しています。越生町特産のうめやゆずのほか、奥武蔵の自然食材を使ったメニューが堪能できます。
店舗はオーナーが友人などとガレージをリノベーションしたもので、食事のほか地元の工芸作家が作った竹細工や地元農産物を加工したジュースなどを販売しています。
女子栄養大学と共同で、越生町を象徴する手土産をテーマに「奥武蔵ロール」の開発や、越生町特産物加工研究所の新製品「うめりんあんころ餅」のパッケージをデザインするなど、地域の活性化にも尽力されています。
知事は、移住や「奥武蔵ロール」の開発などについてお話を伺うほか、昼食をいただき、オーナー家族と意見交換を行いました。
ランチメニューで使用されている県産食材について説明を受ける
大人になったからこそ越生の魅力が分かったという話がありました。越生の魅力はどのようなところだと思いましたか。
最初に気づいたのが、「音」や「空気」が良いということです。東京からここに戻ってきたときに、越生の静かさや自然の中の鳥の声、川の流れる音など、そういった環境が都心部とは全然違うということに気づきました。
そういった越生の魅力は、実際に来ていただくとより伝わりますよね。都心部で忙しくしている人たちに現地で実感していただきたいと思います。
奥様はどうですか。
私自身、埼玉県のイメージが「クレヨンしんちゃん」に出てくるような街並みで、いわゆる住宅地だと思っていました。東京から近く短い時間で来ることができる埼玉に、このような自然あふれる場所があることに驚きました。
それ以来、この街のとりこになっています。私自身、渋谷で生まれ育ったため、埼玉の印象を180度変えたのが越生町です。
埼玉県は、海以外すべてあります。日本の集約のようなところだと思っています。
会社を辞めて移住するということは、相当な決断が必要だったのではないでしょうか。
私の生まれ故郷であり、実家もすぐ近くにあるということが心強かったです。会社を辞める前、2年間だけまずは妻がお店を始めました。私は週末だけ越生に帰ってきて、お店を手伝うという生活をし、いろいろと習得していきました。越生はそれが可能な環境でした。
子育ても実家と連携しながら行えることができ、やりたいこととの両立ができる最適な環境でした。
それだけ越生の魅力が勝ったわけですね。すばらしいことだと思います。
平成19年、毛呂山町初となる苺狩りができる観光農園を開園しました。
苺は高設水耕栽培で、ビニールハウス内の栽培棚は間隔が広く、車いす利用者やベビーカーでも安心して苺狩りが楽しめるバリアフリーとなっています。
直営店「苺の里 ストロベリーガーデン」では苺の販売に加え、多くのスイーツを製造・販売するなど6次産業化にも力を入れています。平成28年に、来園者のニーズを捉え、園内が清潔であること、子供が喜ぶこと、お得感が実感できるサービスを取り入れた経営を実践することで、埼玉農業大賞農業ベンチャー部門優秀賞を受賞しました。
知事は、「苺の里 ストロベリーガーデン」やビニールハウスを視察し、代表者らと意見交換を行いました。
店舗内で、会社概要の説明を受ける
コロナ禍で大変であった観光農園がしっかりと乗り越えられるよう、私たちも応援させていただきたいと思っています。
全くやったことのない苺農園をやるうえで、どのようなことにご苦労なさいましたか。
土地は先祖代々のものなので、見ず知らずの人にはなかなか貸してくれません。このため、地域の方々に溶け込み、信用力を付けるようにしました。
私たち夫婦は、観光農園をずっとやりたいと思っていました。当時、私たちは会社員で、二人とも辞めると失敗したときに大変だと思い、まずは私が入って、3年後に妻も一緒にやることにしました。
6次産業化についてはどうでしょうか。
苺の実がたくさんついたとき、軽トラックで何杯も捨てた苦い思い出があります。せっかくの苺を捨てることなく活用したいというこの思いが6次産業化につながっています。
毛呂山町は、東京から近いうえに、いろいろなことができる環境が整っていると思います。我々もPRしていきますので、ぜひお二方からも広めていただきたいと思います。
食べるだけにとどまらず、家族の思い出となり、また来年も来たいと思ってもらえるようにしていきたいです。
ゆずと比べると、苺は用途の幅が広いと思います。
海外の要人にも苺大福は大変人気でした。ぜひ海外も見据えて頑張っていただきたいです。
明治20年創業の酒類販売店で、全国の銘酒といわれる蔵元との直接取引を行い、独自の商品ラインナップを取り揃えることで、全国展開する飲食チェーン店など多くの飲食店と取引をしています。
令和元年に、大正時代の木造倉庫をリノベーションしたジンの蒸留所「武蔵野蒸留所」が完成し、令和2年8月から「Japanese Craft Gin(ジャパニーズ クラフト ジン) 棘玉(とげだま)」の製造・販売を開始しました。「Japanese Craft Gin 棘玉」は、「インターナショナルワイン&スピリッツコンペディション2022」、「サンフランシスコ・ワールド・スピリッツ・コンペティション2022」、「フェミナリーズ世界ワインコンクール」のすべてで金賞を受賞しました。
本社北側にある里山の緑化整備活動に力を入れており、平成30年には「彩の国埼玉環境大賞」奨励賞を受賞しました。
知事は、「武蔵野蒸留所」や本社北側の里山を視察し、代表者らと意見交換を行いました。
武蔵野蒸留所内で、蒸留の方法などについて説明を受ける
私も海外ではジンをよく飲みますが、ジンに着目した理由を教えてください。
専務と私は非常にジンが好きで、ヨーロッパに行ったとき、たまたま良いジンと出会いました。これは日本にも通用するのではないかと考え、ジンの原料となるジュニパーベリーを植えたところ、見事に実がつきました。
これならば日本産の原料のジンができるのではないかと考えました。
ジンを使って、多くの利益を得ようとは考えていません。先祖の残してくれたこのすばらしい自然環境を活用した新たな事業で、当社の50年先を見据えようと模索していたところ、SDGsに対する取組として12年前に里山の整備とともにスタートしました。
私は、SDGsは流行りのようなものではなく、10年先、20年先、30年先の企業さんがあれば、そこに対しての投資もできるし、お客さんのロイヤリティも付く、また、そういった企業で働きたいという人もいる、そうした企業の生き残り作戦だと考えています。
マツザキさんとして、魅力のある武蔵野とはどういうイメージでしょうか。
私たちの考える武蔵野は、新たなイメージと言った方がいいのかもしれません。
川越の中心地から15分ほど車を走らせれば、このような武蔵野のかつての自然が残っています。この環境もまた川越であるということを、マツザキ自身で発信する必要があるのではという思いの中で、森の整備などの保全活動やジンの活動をスタートしました。
この自然環境を皆様に認知させようということではなく、お客様の側から、「川越にこういった場所があるんだ」といった形での武蔵野の表現をやってきました。
県では、埼玉版SDGsという取組をやっており、県内の企業等に登録していただいています。そうした企業は、非常に良い評判を頂いています。これからもぜひご活躍いただきたいと思います。
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