平成28年 > 知事記者会見テキスト版 平成28年4月19日
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掲載日:2016年4月19日
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熊本県熊本地方を震源とする地震について(PDF:175KB)
知事
今日はまず、熊本県熊本地方を震源とする地震災害により亡くなられた方々の御冥福をお祈りするとともに、被災された方々に対して、心からお見舞いを申し上げます。被災地域における救援活動が速やかに行われるように、埼玉県としても全力を尽くして応援したいと思っております。私の方も、まずは蒲島知事にお見舞いのメッセージを出して、14日の前震発災直後に危機管理防災センターに情報連絡室を設置して、情報収集や国、全国知事会と連絡を取りながら支援活動を行ってまいりました。これまで、警察本部から広域緊急援助隊78人、DPAT、これは災害派遣の精神医療チームでありますが4人を派遣し、21日からは保健師も1チーム派遣することになっております。また、18日から県職員による義援金の募集を開始しております。さらに、埼玉りそな銀行と武蔵野銀行で、義援金の募集の受付の口座を設置していただきました。手数料を無料にするための手続きがありますので、4月22日から6月24日までというかたちになっております。県のホームページなどでも明らかにしておりますので、義援金の受付についても県内の金融機関で受け付けることができます。また、日赤埼玉県支部でも受付ができますので、御利用賜りたいと思っています。
こんなかたちで順次、被災地から様々な要請を全国知事会や国からの要請を受けながら、私どもの準備はすべて整っております。例えば、企業局においては上水道などの破損の修理や点検。また、下水道局においては下水道の破損、点検などが、いつでも技師を派遣できるような態勢。都市整備部においても、いわゆる家屋の状態などが今後どうなっていくのか、そうしたものを調べる調査チームなどを派遣できるような態勢はしております。まだ、現地の受入態勢が十分でない部分もありますので、順次全国知事会の幹事県、あるいは国の要請に応じて、埼玉県としても全力で応援していきたいと思っております。また、県民の皆様にも、街頭の募金活動などございましたら、御協力を賜りますことを心からお願い申し上げまして、熊本地方における大地震の災害についての、今の時点での埼玉県の対応について御報告をさせていただきました。
さあゴールデンウィーク 県営公園に集合!について(PDF:294KB)
知事
続いて、深刻な話の後に大変恐縮で、時によっては不謹慎と思われるかもしれませんが、多くの事で自粛しなくてはならないこともたくさんありますが、また同時に自粛ばかりの中で経済が疲弊するということは必ずしもいいことではありません。そういう意味で、最小限度の自粛をしながらも、活発に県民活動を行っていくということも重要だと思っております。そこで、ゴールデンウィークが近づいております。時と場合によっては積極的に外に出ていただき、場合によっては消費を喚起していただき、経済のカンフルにも使っていただきたいと思っているところです。特に、埼玉県が運営しております県営公園では、どんなことを現在企画しているかということについて、県民の皆様にお知らせをしながら、お気軽に行ける県の施設を御案内したいと思っております。こども動物自然公園でありますが、東松山市にございます。東武東上線の高坂駅から近いところですが、この動物自然公園のウリは、極めて手近に動物と触れたり見たりすることができるというのが特色で、とりわけペンギンヒルズ、ペンギンの丘がございますし、水槽をそのままガラス越しに見ることができます。あるいはコアラ、人気のコアラが、また新しく昨年オーストラリアから3頭いただきましたけれども、2頭赤ちゃんが生まれております。あとレッサーパンダ、カピバラなどが非常に人気がありますが、加えて今度は新人が登場しました。ヤブイヌという、非常にコロッとした顔に長い胴体というのが非常に愛らしいという、私まだ見ておりませんが、評判であります。それから、今までもワラビーはいたわけですが、加えてシマオイワワラビーという方で尾っぽが縞で岩に生息しているという、このシマオイワワラビーが新しく仲間入りをしております。カンガルーやこうしたワラビーが園内の道路やちょっとした茂みの中にいますので、びっくりするくらい。また、コアラもまさに手を伸ばせば届くばかりのところにいたりしておりますので、お楽しみいただくことができると思います。また、ペンギンも餌付けタイムもございますので、この時には自分の足元、あるいは手で触れんばかりのところまで来ることができます。さいたま水族館、羽生の水郷公園内にありますさいたま水族館ですが、これは70種類の淡水魚がこちらにはありまして、淡水魚の水族館では国内では最古のものでございます。最も古い淡水魚の水族館で、70種類の淡水魚がいます。魚類、両生類、甲殻類などでございますが、庭の池にはニシキゴイやチョウザメがいて、直接エサをやったりすることができます。あるいはまた、探検ツアーなどがあって毎週土曜日に、この水郷公園の中でカヌーの体験などもすることができます。また、水族館のバックヤードを見学できて、飼育員から魚の飼育方法などを聞くことができます。また、春の特別展として「おもしろ名前の魚 大集合」ということで、名前の面白い魚40種類が6月19日まで展示、開催をされます。コリドラス・パンダ、パンダの顔をした金魚みたいなフグみたいな感じの魚であります。スベスベマンジュウガニ、つるりとしたまんじゅうの形をしたカニ。パンケーキ・ガメなど非常に珍しい魚類、あるいは甲殻類などが現在集合しているところです。さらに西部方面では、所沢航空発祥記念館。所沢航空公園内にございますが、これも御案内のとおり、日本で最初の飛行場として、この所沢飛行場ができまして、明治44年にフランスの複葉機、アンリファルマン機が初めて飛行に成功した記念的なところでもございます。こうした記念館には、この複葉機が展示されております。改めて、日本航空発祥の地である所沢の、所沢航空発祥記念館などをご覧になってはいかがかなと思います。また、所沢航空記念公園も広い空間でございますので、こちらも楽しめることができると思っております。またさらに、ビルの高さでいえば地上30メートルでビルの8階あたりのところにまで、気球で昇ることができる、眺めることができるという気球体験もできます。ただし、若干料金が高くて、中学生以上は2000円、小学生が1000円ということになっております。プールで夏は賑わうしらこばと公園もプールだけではないということで、大型遊具が公園内にコバトンアドベンチャーがありまして、非常に大人も子供も楽しむことができます。100種類以上の遊び方ができる複合遊具は大変魅力的でありますので、こうしたしらこばと公園なども活用できるのではないかと思います。また、東部地域には、非常に平坦で山がないわけですが、まつぶし緑の丘公園では、20メートルの里山が完成をいたしました。真っ平らなこのエリアにおいて、20メートルの高さというのは大変な高さで、東部エリアでは幸手市が7メートル、あるいは栗橋も7メートルでありますし、越谷、春日部あたりでは3メートル、4メートルの世界、草加市では2メートルの世界でございますので、まさしくこの最も高いところが、このまつぶし緑の丘公園の里山ということになります。頂上から富士山やスカイツリーなどが、特に朝の時間帯などはしっかりと見ることができると言われております。こうした公園をお手軽に県民の皆様達には楽しんでいただきたいと思っておりますので、どうぞお出かけをいただきますことをお願い申し上げます。以上であります。
産経
まず、熊本地震の件ですけれども、現時点で県として、自粛の絡みになるんですが、何か中止とか延期が決定したこととか、検討されているものがもしあれば教えていただきますでしょうか。
知事
まだ大きなイベントは、県として行っておりません。近々にあるのは、水素ステーションの開所式をやりますが、これも一般県民向けのものでもございませんので、淡々とやっていくつもりでございますので、特段中止とか自粛というのは今のところは考えておりません。
産経
今回また地震が起きて、こちらの方では首都直下地震への備えというのも、また重要視することになろうかと思いますけれども、改めて県内の備蓄状況はどうなっているのか。県民に不安がない程度まで備えられているのかということと、今回の熊本地震を受けて、現時点で新たに何か整備が必要だなと考えていらっしゃることがもしあればお願いします。
知事
現時点における備蓄状況は、防災基地やスーパーアリーナをはじめ、常に交換をしながら準備万端整っているところでございます。ブルーシートをはじめ、食料品あるいは水なども要請に応じてすぐ出せるような態勢にはなっております。なお、今後熊本大地震の検証などが進んで始まった時に、改めてまた東日本大震災とは違ったかたちの様相も見られておりますので、そうした様相を確認した上で、さらに万全な防災体制が可能なのかどうかは注視していきたいと思っています。
埼玉
改めて県営公園に、ゴールデンウィーク中に大型レジャー施設などにはない県営公園の魅力もあると思うんですけれども、知事御自身県営公園の魅力、料金が割安というのもありますけれども、どんなところにあると…。
知事
例えば、こども自然動物公園は最近における入場者の伸び率全国3位で、例えば上野動物園のパンダが新しく来ましたので、その部分で抜かれましたけれども2位であったり、非常に好調です。その理由は、やはり手近に触れることができる。もう触れんばかりの状態にあると。コースを歩いているときにカンガルーがいたり、ワラビーが出てきたり、いろいろそういうものを触れることができる。ペンギンにしても、極めて身近なところで見ることができる。コアラも、ほぼあと50センチ手が伸びればという空間に、コアラもたくさんいると。こういうところが一番の魅力だと思っています。手に触れんばかりのところにいる。いわばコース内を歩いているさなかに、思わぬ動物と遭遇することができるという、そういう魅力的な空間がたくさんあると思っています。それが、例えばこども動物自然公園の魅力ですが、それ以外にも水族館としては日本では最古のものでもありますし、淡水に関してはですね。意外に意外というところでもありますし。また、その他のところに関しては、身近なところで楽しむことができるということで、ある意味では大型連休で、前半で少し遠出をされて少し疲れたねという時に後半で手短なところに行くとか、日程の都合上で後半に大型連休を活用される人達は、前半戦で県営公園などを巡ってお金をあまり使わないで楽しむとか、そういう使い分けができるのではないかと思います。まるまる1週間、10日海外に行くというパターンもあるかもしれませんが、大体半分分けみたいなところが一般的だと思いますので、半分に分けたところの残りの部分をこうした手短なところに行かれてはということをお勧めするところです。
朝日
地震の質問に関連して、かなり不謹慎な質問なのかもしれないのですが、現在進行中なので仮定の話になるんですが、今回こういう地震が起きて、特に永田町の方とかでは、消費増税の話、10%の話であるとか、同日選の判断にも影響があるのではないかという声も出ているのですけど、知事御自身は、前回消費税10%の話もされていたかと思うんですけど、今現段階ではどのようにその2つについてお考えでしょうか。
知事
ちょっとこれまでの地震と違う様相があります。いわゆる帯状に動いて地震が多発しているという、したがって、本震だと思ったものが前震だったと、で、後のものが本震だったと。しかしこれからもあり得るかもしれないという、そういう不安な思いというのが、たぶん、私もいろいろな人とお話しているのですが、私も含めて、本当に終わるのかなというような、ひょっとしてもう1つぐらい出てくるかもしれないというような、そういう不安感があります。そういう中で、衆参ダブル選挙、なんかのお話が一方では進んでいるということが許されるのかなと、世論が。場合によっては起きるかもしれない、そういう可能性があるなと思います。今の地震の多発の様相であればです。これが早く一旦収まって、余震が小さなものになっていって収束に向かっていますという状況であればまた話は別ですけど、まだ、収束に向かっていますという雰囲気では全くないような気がいたしますので、非常にこれはまだこれからも、2次災害、3次災害の可能性もあるので、いち早く避難者をより安全なところに移送したり、あるいはまた十分な手当てを、医療的な手当て、精神的な手当ても含むいろんな意味での手当てを総力を挙げてやらなくてはいけない。で、現在のところ、例えば、医療チームなどは、九州管区からスタートして徐々に枠を拡げているという状況ですが、これが関東とかに枠が拡がり、また、東北まで、あるいは全国までというかたちになってくる。どこでも医師や看護師の不足は明らかでありますので、いろいろ不都合があっても被災地を優先的にカバーするということが必要になっているわけですから、そういうものはオール日本的な話になってきますので、そうすると政治的に、まあ、参議院選挙は定められたルールですので、しかし、衆議院選挙というのは任期があって、その途中での大義名分というのは、その秤をかけなくてはいけないと思いますので、どうなるのかなというのは非常に重要な判断が来るのではないかと私は思っています。今までとはちょっと違うなと思います。また、景気に対しても何らかのかたちで九州一円、とりわけ、自動車産業なんかの部品ネットワークが少し切れておりますので、こうしたかたちでの生産活動の影響を全国的に受ける可能性がありますので、そうした部分でも若干、2~3か月遅れることでも経済的に痛い面もありますので、消費増税に関しても判断の材料が1つ加わる可能性があるのかなと思っています。
産経
今の部分とちょっとかぶるんですけど、衆参同日選が取りざたされていますけど、質問通告が地震の前だったので、質問がちょっと前後してしまいますが、実施することの功罪、考え方をお聞かせいただきますでしょうか。
知事
基本的には両院があるということで、片方が選挙を行っていても、もう1つが残っているということで、その期間に大規模な災害があっても国政が麻痺しない、これが2院制のいい部分でもあります。従って衆参は選挙を一緒にしないというのは、これはルールだと思っております。ただ、一方、衆参同日選挙というのは、国民の関心が高くなって、投票率が上がったり、争点が明確になってきたりするメリットもありますので、参議院も半分は残っていますので、いたずらに全部なくなるという話でもありませんので、半分の国会議員は残っているということで、国政が100%渋滞(後に「停滞」に訂正)をするということではないと思いますし、閣僚の皆さんたちは現実的に基本的には選挙期間中といえども、行政として継続しておりますので。建て前論的には衆参同日に選挙というのはあまりよくない。しかし、現実的にそんなにたくさんの被害があるかというと、そんなに被害があるものでもない。こんなふうな認識ですので、必ずしも同日選挙が良くないとは思っておりません。良い部分もあると思っております。弊害を極力少なくすれば必ずしも、批判されるものではないと思っております。
産経
公職選挙法の改正で18歳以上が選挙権を持つことになりますけど、新年度になって少し時間が経ちましたので、改めて、お聞かせ願えればと思いますが、主権者教育についての考え方をお願いします。
知事
より早い年齢、とりわけ、全ての子供たちと言ったら語弊があるかもしれませんが、18歳というと高校生ということですので、改めて正式な意味で、選挙権、被選挙権ということを根本的に学ぶチャンスが与えられる、これが20歳からとなると学生の方で学ぶ方もあれば、もう就職をしていて、丁寧に学ぶチャンスを失うとか、そういうこともあり得るかもしれませんが、高校3年時において、この主権者教育をしっかり学ぶということは良いことだと思っております。ただ、いくつか課題があると思っております。これは別に18歳だけではなく、生活者になっている、18歳でも生活しているわけですが、一般的に言うと、例えば結婚をされて、子育てをすると、保育園の場所をどうするかとか、幼稚園の場所をどうするかとか、あるいは子供の医療の無料化のあるところ、ないところとかいろんな生活の場面とかで、具体的なかたちで利害や特質というんでしょうか、そういうものが出てきますけど、そんなには、一般論として、学生生活の時期には、そういう意味での利害関係が出てこない部分がありますので、そういう時期にどれだけ具体的に何かを想定しながら学ぶかにかかっていると思います。例えばエアコン設置するかしないかということ、設置するためにはどれだけの税金がかかるか、費用がかかるかとか。一般的に言えば、エアコンは家にもありますので、学校にも付ければいいじゃないかと。しかし、その費用はどうするんだとか、そういうことで具体的な事例としての主権者教育を学ぶことが出来ます。ほかにも例えば授業料だとか、あるいは奨学金だとか、そうしたものの制度がどんなかたちになっているのか、そして、具体的に、奨学金は基本的に返す話になっているけど、これを返さないような奨学金の仕組みにするためにはどれだけの費用が掛かるんだと。それを1人当たりの税金に直すとどれくらいお金がかかるのかとか、そういう、納税の義務も含めて、主権者と義務と負担、こういう関係を学ぶことで、一種の主権者としての意識が生まれる可能性が高いんではないかと思います。それをミーティングで、高校時代に整理しておくとかなり良いのではないかと思います。一般的には、選挙などではこういう負担がありますよという話は皆さんされませんので、こういう良いことがありますよという話をされる場合が多い、しかし、その裏にはこの負担があるんですというお話をされないことが多いわけですから、逆に教室の中では良いこともあるんですけど、逆に負担もありますね、という話などをしっかり行っていけば、逆に言うと選挙で調子のいい人を見つけることができるとか、そういう意味での教育にもなっていったりするのではなかろうかと思ったりします。
産経
まさにその義務と負担の話があると思うんですけど、高校の現場でそういうことができるかとどうかという不安があるかと思うんですけど、その辺についてのお考えはどうですか。
知事
そうですね。個々の都道府県立の高校であれば教育委員会に基本的なことが任されておりますが、そこは、文部科学省でもいくつかのモデルパターンを用意しても構わないと私は思っております。それは国家が教育を統制するということではなくて、こういう分かりやすい事例があるじゃないですかというかたちで提案することで、それに合わせるかたちで、それぞれの都道府県の特色のある分かりやすい事例なんかを作り上げていけば良いのではないかと思いますし、極力そういう強制をしないで良いモデルがあれば、文部科学省でも出す。ただし、これはまさに参照しろということで、地域のそれぞれの都道府県の特色のあることに関してやっていけば良いのではないかなと思っております。北海道は北海道で観光で受け入れをたくさん行っているわけですども、この収入が北海道の財政の中でどのくらいの割合を占めているのだとか、そういうことをきちっと言うことで、北海道民は全ておもてなしに努力しようという世界を作れるかもしれません。それが分からないとおもてなしの気分も分からないということになりますので、ただ単にしましょうねというよりは、実は大きな財源の1つですということが分かればそういう気持ちになっていくかもしれません。そういうものを用意すれば良いのではないかと思います。
NHK
建て前的には良くないけど、弊害を極力低くすれば必ずしも批判されるものではないとおっしゃいましたが、そうかなと思うところと、一方で自治体としてはダブルになると、5票開票を処理していかなくてはいけないと、現場の実務の大変さというか、経験された方が選挙制度も変わっていますし、居ないなかで、実務を司る、現場を仕切る長として、その批判されるべきものではないとお考えなのか、実際ダブルになると場所をどうするのかとか、開票所が本当にあるのかとかいろいろな問題があるかと思うんですけど、例えば、知事、意見交換されたりとか、頭の体操とか、こういう想定をしておけという指示を出されたとか、そういうことをされているのかお聞かせください。
知事
必ずしも衆参ダブル選挙だけではなくて、市長選挙と参議院選挙がダブルになったり、衆議院選挙とその他の議員選挙が一緒になったりする事例も全く無いわけではありませんので、それぞれノウハウが無いわけではないと思っております。直近では61年の衆参ダブル選挙かなと思いますが、ではその当時の職員が全く居ないかというと全く居ないわけではない。記録はいろいろ残っておりますし、役所レベルではそういう継続的なことが可能になるようなことが基本的にはできていると思っています。ただ、御指摘のように煩雑なことは確かで、また有権者も煩雑であることは間違いないと思います。こういう部分も含めて出来るだけ、もし、仮定中の仮定ですが、こういうことになったら、まさに選挙管理委員会はそうした煩雑さだとか、分かりにくさだとかをより分かりやすくするという、そういうところの努力をせざるを得ない状況かと思っております。原則、それぞれ制度が違うわけですから、例えば衆議院だったら、地域も含めた細かい民意だとか、参議院であればどちらかと言えば大くくりの民意と、こういう分け方もありますので、自ずから院の性質も違いますので、バラバラに分けてやるのが本筋だと思います。しかし、絶対的にそんなふうにしなければいけないかというと必ずしもそうとばかりは言えない。現に過去に行われてきている事例もありますし、特に近年投票率が下がっているという課題がありますので、そういった部分では効果的だと思われますし、利害がそれぞれ、一長一短ありますので、なかなか一概にこれですと言い難いというのが率直な感想です。
読売
今、知事から昭和61年の衆参ダブルの話がありましたけれども、知事はそのダブル選の時も新自由クラブから当時の中選挙区の埼玉5区で出馬されていると思うんですけれども、なかなか今マスコミも含めて体験した人がいない中、上田知事から見てダブル選というのは、当時の状況とか思うところとか印象みたいのがありましたら教えていただけるとありがたいです。
知事
そうですね。新自由クラブという小さな政党でしたので、参議院の候補を抱えていなかったので、実質的には衆議院だけやっていたということでもありますので、個人的には衆参ダブル選挙という言葉が発していても、個人的な体験的には衆議院選挙のみと。そういう感覚であったことを、かすかに記憶しております。参議院のことまで、とても考える余裕もなかったし、そういう立場にもなかったということで、自身の衆議院選挙のことだけで頭一杯というかたち。ただ投票率が高かったことが事実であることは、よく覚えております。
毎日
先ほどNHKさんもお話しされていましたけど、投票・選挙制度がその頃と、前のダブル選と変わっているという点で、今参院なんかが非拘束名簿方式ということで、そもそも夜が明けるぐらいまで、通常の参院選だけでも開票に時間がかかる。それにプラスして衆院選の開票もしなければならないという。ちょっと僕も全くどんなことになるか想像できないんですけども、相当開票とかに時間がかかってしまうと、いろいろな弊害があると思うのですがそのあたりについては。先ほど知事も首長の選挙と国政がダブルになることはあるとおっしゃっていたが、煩雑さが多分それとはまったく次元の違うものになると思うんですけど、実際問題、事務的なこととして、はたしてそのようなことが可能なのかという点についてどのようにお考えでしょうか。
知事
実は、そういう選挙事務も非常にスピーディーになってきておりまして、かつては翌日に開票で、お昼頃にならないと判明しないというぐらいの状況でありました。今は即日開票で、だいたい夜の8時から開票して10時ぐらいになるともうだいたい大勢は決まるという状況。場合によっては出口調査などでもっと前から分かっていたりする場合もありますが、ただ、確定的になるにはやはり10時までぐらい。非常に選挙事務がスピーディーになってきております。これはいろいろな意味で、様々な機器の発達といったことも含めて、事務処理の技術が飛躍的に向上していることなどがいえると私は思っております。そういう意味で、精度も高まってなおかつスピーディーになってきているということで、煩雑ではありますが、どちらかというと投票者が煩雑ではないかなというふうに思います。衆議院でも選挙区候補者、それから比例の候補者。参議院でも選挙区の候補者、比例の候補者。政党名でもいいし、個人名でもいい。加えて最高裁判所の選挙と。こういう意味で、やはり投票する人の方が煩雑。事務をやっている方は、なんだかんだ言いながら事務的処理の優れた人達が集まっているところでもありますので、それなりに消化できるというふうに思っております。だからその部分をどういうふうに評価するかではないでしょうか。先ほども有権者の教育の話もありましたが、有権者を大事にするという観点からいくと、投票が煩雑になっているという。そもそもが煩雑なのに、さらにもう一つ加えることでさらに煩雑になるという。「それでいいのでしょうか」という、そういう問いかけは確かにあるんではないかなと私は思っています。投票する人たちの判断というものが、困らないようにするという。そういう意味での、政治の判断といいますか、時の政府の判断といいましょうか、それはあるんではないかと思います。
毎日
確かに知事がおっしゃるように、最低5枚の投票用紙を書かなければいけない。うっかり例えば衆院と参院を入れ替えて書いてしまうと、それがせっかく1票を投じているのに無効票になってしまう恐れがあると。そういう観点から、ひょっとしたらやってもないからわからないですけども、いつもより無効票の割合が増えてしまうかもしれない可能性があるわけですよね。そういう観点で行くと知事は投票者のことを考えるといかがなものかというお考えをお持ちということですか。
知事
そうですね、だからすべてそういうことを、政府というのは責任がかかっているわけです。例えば地方の事務をどこまで考えてくれているのかという。これはいくらか我々がクリアするとしても、有権者の煩雑さというものを本気で考えているのかとか。それから、もともと衆議院と参議院の性質の差はありますよね。この性質の差を一者択一の争点の元に、入れ込んでしまって、同じ意味みたいな雰囲気にしてしまう。そのこと自体が二院制度の意味をなくしてしまうという。しかし、技術論的には先ほどから言っているように可能なんですね。ただし、本質論からしていくといろいろ課題がありますので、それはやはり政治が受け止める話で。どういうふうに責任をしっかり取るのかという。こういうのは政府がきちっとその政権与党が判断することではないかと思います。もちろんその批判を受けるわけですから、場合によっては、本当は参議院選挙だったのに、みんな衆議院選挙になったではないかと。参議院は所詮お付録かいと。こういう話を時々されるわけですよね。衆議院のカーボンコピーだと参議院は。価値があるのかと。そういう話がでてくるんですね。参議院選挙だったのに衆議院選挙を加えることによって、メインが衆議院選挙になってしまう。参議院はなんか付け足しみたいになってしまった。本来の、少し大きな枠組みで物事を考える人たちを出していくという、参議院の本来の役割というものがそこでいくらか消されてしまっているという。そういうのが、場合によっては批判を受ける。それも含めて、政権与党というのは全部受け止めなくてはいけないわけです。多分そういう批判を、例えばメディアの皆さんから批判をされる可能性だってあるわけです。そうすると、それを受けたうえで戦わなくてはいけないわけです。それはそれで大変なことだと思います。だから、やはり私が良し悪しをいうというよりは、政権がどう判断をするのかというものになるのかなと思ってはいます。
埼玉
自殺対策基本法が4月から改正されましたけども、今回の改正では自治体ごとに、自殺者の傾向を分析して、自治体ごとに計画づくりをしていくということになりましたけども、埼玉県としては、減少傾向にはあると思うんですけども、どのような傾向を踏まえてどのような対策を講じられていくのかというところをお聞かせ願えますでしょうか。
知事
まず、傾向として、以前からそうですが病気を苦にして自殺される人たちが圧倒的に多いという、この傾向が動いておりませんので、いかにして病気の方々の、精神的な医療やケアをどうするかというのにかかっているわけですので、そういう傾向の、多少いろんな意味で、私は専門家ではありませんが専門家の先生方に聞くと多少はやはり傾向があるというので、そういうシグナルが出るような人に関して、早めに治療やケアをしていくという体制を、きちっとそれぞれの関係のところでやっていくというのが、計画の基本だと思っています。したがって、そうした精神科医をはじめとする、そうしたケアに長じた方々などの意見を参考にしながら、また、若干地域ベースなどでもたくさん出やすいところ出にくいところもございますので、そうした地域ベースのところでは、正しく県の方からそれぞれの市町村にこういう傾向があるとか、そういったことを情報開示・提供しながら市町村別にも対策を練っていただくと。この二面作戦でさらに自殺防止がより精度をあげていく形になっていくのかなと思っております。
時事
参院選でこの夏から導入される合区、選挙区の合区の問題について伺えますか。全国知事会はこの合区に反対し、解消しようという狙いから、地域代表制を憲法で規定したらどうかというようなことを提起する動きがあります。各知事に意見を聞いているところだとは思いますけども、知事はどのように、賛成、反対を考えますか。
知事
定数是正の苦肉の策としての合区が出ておりますが、都道府県合併をやっていない段階で、定数是正一本槍で、合区という考え方は、必ずしもいい考え方ではないと思っております。まだ他にも方法があったわけですけども、一番手っ取り早い方法を選んだと。非常にこれはそのエリアの県民の皆さんにとってみては不愉快な話で、例えば埼玉と東京を一緒にやりますとか、埼玉と群馬をいっしょにやりますという話は、到底、私個人的には認められない話。多分それぞれの県知事さん達も到底認めがたい話ではないかと思いますし、県民の皆さんたちも不愉快千万と思っておられると思います。きちっとした恒久的な制度を考えるべきだと思います。仮に今回こうであっても、一回こっきりで、きちっと3年後の参院選には恒久的な形をとるべきだと思います。少なくとも県を代表する形にするか、ブロックで何人とかいう形にするとか、いろんな形を考えるべきだと思います。
時事
知事会で議論されている地域代表制というのがもし採用されると埼玉のような人口が多いところは定数が減ってしまうという可能性も考えられますが、埼玉のような自治体としてはどういうふうに受け止めますか?
知事
衆議院と参議院との違いなども、この際、毎回、根本的に見直したらどうかと思います。衆議院の方は例えばアメリカの下院と同じように、厳格に人口比例にしていくと。そのかわり、上院は小さい州であろうと大きい州であろうと2名とか。そういう考え方で自ずから決めていけば、この定数問題の憲法問題は解消されるわけでありますから。鳥取県でも2名、埼玉県でも2名。東京でも2名。そういう位置づけとかがあり得ると思います。そうすると、せめて1対2の範囲内にとか1対3の範囲内にとか、そういう話が消えていくと思っています。そういう根本的なことから議論しないと、常に時間に追われて、当面の選挙を憲法違反といわれないようにしようというところからの選挙制度改革ですから。常に。もうけしからん話じゃないですか?何回やったって同じようなことの繰り返しじゃないですかそれでは。やはり根本からやらないと。だから5年後なら5年後にきちっと決着を出しますということを最初に決めておいて、答えを出していくとかです。利害関係者がないようにして、3年後の世界だと利害関係者がいるので、少なくとも5年後ですということだったら、自分の時には大丈夫だからということで、皆さんが丸をしてくれるので。そういうやり方でいかないと利害関係者がみんな反対して、結局小手先の改革で終わっちゃうと思いますね。これはやはり利害関係者が決める世界ですから、逆に利害関係者に関係のない年月に決めるということを決めたうえで制度改正すればきちっと決まると思います。これは県議会にも言えることですけどもね。全てのことが言えるんです。国だけではなくて。大体追いつめられてどこでもぎりぎりでやってますので。
埼玉
全国知事会のことで1点知事にお尋ねしたいんですけども、事務総長が前任の埼玉の橋本さんからですね、今、再び旧総務省OBではない神奈川県の副知事が就任されましたけども、このことについて全国知事会としてはですね、どのような期待をされるのかというのが1点と。それから橋本さん、任期途中でお辞めになりましたけども5年間の貢献度などを知事はどのように評価されているのか。
知事
まず後段から言うと、まあ任期4年でいいだろうという話だったんですが、山田会長からどうしてもと慰留されて、プラス1年を加えて、ちょうど切りのいい時期に退任するということでやりました。橋本事務総長は埼玉県の副知事から転身していただいたわけですが、まず知事会の内部の改革をやっていただきました。事務局の改革ですね。あまり規定がないものが多くありましたので、ほとんどのものになる規則的なものをきちっと定めて、慣行から規則に変えていくようなことをまずしました。それからちょうど就任早々に東日本大震災ということで、私も担当者ということで、当時、被災者生活再建支援法のお金がまったくない状態でしたので、当時の、災害特命担当大臣と、どういう負担の割合で全国知事会と国とでやっていくかということで、その補佐もやっていただきました。それからその被災者の特定作業と支払い作業なども全国知事会の中にある全国知事会館(後に「都道府県会館」に訂正)という枠の中のコンピューターで、そういう手配をするということにしましたがその人員が不足していたり、その人員をどのようにして集めたりするかという、そういう非常に混乱した時期に適切な事務を執行しましたし、その後もハローワーク特区だとか、地方と国の協議の法制化だとか、折から地方分権の流れがあったにしても、事務方を率いて適切に、会長はじめ各委員会の委員長などを補佐していただいたと思っています。一般的に言えば、さりげなく不満不平は私の耳に入ってくるはずなんですが、そうした声は聞こえなかったように思えます。よくやっていただいた、こんなふうに思っています。こういう事例もありましたので、やはり引き続き、総務省的にはまた事務総長は総務省から復活したいという気分があったとは思いますが、良き慣例は良き慣例で続けようという、こういうお話で、山田会長の方からも御相談がありましたし、また埼玉県というわけにもいかないでしょうということで、どうしても住宅手当だとかそういうものについても、あるいは通勤手当についても、会費で賄っている会ですので、利益団体でもありませんので、限界がありますので、まあ千葉か東京か埼玉か神奈川だということで。まあ東京は御案内の通り1対46という構図もありますし、またオリンピックパラリンックの担当の自治体ということもあって、困難だということもあり、神奈川県に打診したところ、そういう意味ではうまく適材の方がおられて決まったと。非常にいい形になったなと思っております。次あたりは千葉県あたりになるのかどうかわかりませんが、できればそういう形で、地方6団体はそれぞれのメンバーから出せるものがあれば、出していくといういい慣例ができたからいいんじゃないかなというふうに思っております。以上です。
(終)
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