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掲載日:2025年3月19日
「無題」
栁 万喜子 / YANAGI Makiko
埼玉県社会福祉事業団 あげお
青、緑、黄、桃、黒など様々な配色で描かれた「丸」が画用紙いっぱいに広がり、とても目を惹かれる印象的な作品である。
丸い形はカラーペンやポスカなどを用いて、初めは黒色のみで描いていたそうだが、描き進めるうちに様々な色を用いるようになったという。
また、整然とした丸の連続を様々な色で表現するにあたり、他の作品に比べて創作期間も長くかかったそうだ。
施設に所属した時から一貫して、栁さんの作品にはこうした丸が描かれることが多い。
なぜ、丸い形を描き続けているのだろうか。施設職員にお話を伺ったところ、丸を描くことで心が落ち着き、気持ちの安定に繋がっているからではないかという。
丸をモチーフとした表現の数々を眺めていると、栁さんの想いが伝わってくるようだ。
取材中、栁さんにお願いして、実際の創作活動を拝見させていただいた。彼女は黙々と、そして一つ一つ丁寧に丸を描きあげ、職員の方が声をかけるまで、とても集中して、手を休めることなく描き続けていた。
真っ白な紙に自分が描いた丸が少しずつ埋まっていく。そんな過程を楽しみながら、栁さんはこれからも、丸を描き続けていくことだろう。
埼玉学園大学 子ども発達学科 3年
村上 くるみ