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掲載日:2023年7月20日
「日々の出来事」
森川里緒奈/MORIKAWARiona
社会福祉法人昴 デイセンターウィズ
普段カラーペンを使う作品の多い彼女がボールペンを好んでいた時期の作品である。
スケッチブックの白とボールペンの青との調和が、澄んだ空のような清々しさを感じさせ、わずかに異なる青から生まれるリズムが心地よい。
この作品は、まるで波のような列の歪みによって、膨大な記憶や時の流れをも感じさせる力をも持っている。
「彼女がその日何をしたか、どんなことが起きたのか。日々の生活の中で生まれる彼女の“楽しい”が作品となって現れている」と施設の方が話してくれた。
彼女の作品はただ文字の蓄積というだけではなく、ただの日記という訳でもない。文字や青の集まりによって、見る人ごとの見え方が異なってくるのも彼女の作品の面白いところであると思う。
作品には、数字やひらがなの隙間を埋めるといった彼女独自の描き方のルールがあり、お茶を飲むと次に新しい文を書き始めたり、日を跨ぐと違うペンで描き始めたりする。
彼女が生活する中での行動がそのまま作品に現れる。まさに彼女のありのままを写した作品なのだ。
武蔵野美術大学造形学部油絵学科1年 梅田 歩実