家計調査 平成15年平均結果からみた家計収支の動向
1 家計調査の概要(家計調査とは?)
@ どのような調査?
家計調査は、国民生活の実態を家計収支の面から明らかにするための調査で、国の重要な指定統計調査の一つとなっています。
A 調査方法は?
二人以上の世帯では6か月間、単身世帯では3か月間、世帯に家計簿を記入していただき、家計の収入や支出など、世帯の生活の内容について細かく調査します。
標本調査で、全国で168市町村、約9,000世帯が抽出されます。埼玉県では、さいたま市、川口市、所沢市、本庄市、朝霞市、妻沼町の273世帯にご御協力をいただいております。
B 調査結果はどのように利用されていますか?
個人消費は、国内総支出(=国内総生産)の6割近くを占めており、その動向が大きく景気に影響を及ぼすため、景気判断のための重要な指標となっています。家計調査は、毎月、全国の世帯を対象に調査しており、個人消費に関する統計の中で最もカバー率が高いことから、景気動向を判断する主要指標として位置づけられています。
このような日本経済全体をとらえるマクロ的な分析のほか、日々家計簿に記入された内容が詳細に集計され、品目別消費が明らかになるため、個々の商品の需要予測といったミクロ的な分析にも幅広く利用されています。
これらの分析の結果、経済見通しの作成や年金制度の検討、医療費などの各種厚生関係料金の算定、生産計画、賃金の算定、消費者物価指数算定などの基礎資料として、国や地方公共団体を始め、民間企業、研究機関、労働組合などあらゆる分野で盛んに利用されています。
今回は、平成16年5月に公表された平成15年平均結果から、いくつかピックアップして紹介します。
2 家計収支の概要(全国とさいたま市の比較)
平成15年の全国の勤労者世帯(いわゆるサラリーマン世帯・平均世帯人員3.49人、世帯主の平均年齢46.3歳)の1か月の平均収入(実収入)は,1世帯当たり52万5千円(さいたま市58万2千円)、このうち世帯主の収入は43万2千円(さいたま市50万8千円)で,実収入の82.3%(さいたま市87.3%)を占めています。(図1・2)
また,実収入から税金や社会保険料など世帯の自由にならない支出(非消費支出)を除いた,いわゆる手取り収入(可処分所得)は44万円(さいたま市48万5千円)になっています。(図3)
手取り収入のうち32万6千円(さいたま市34万9千円)が,食料や住居費などの生活費(消費支出)に使われ,その残り(黒字)の11万5千円(さいたま市13万円6千円)が,預貯金や生命保険の掛け金のほか住宅ローンなどの借金の返済に充てられています。(図4)
図1
図2
図3
可処分所得と非消費支出を合計した金額が実収入になります。
図4

3 世代別にみる暮らしの特徴 −40歳代で最も多い教育関係費の負担−
子供の成長に伴って,授業料、学習参考書、塾の費用、仕送り金など、教育に関する支出が増加します。特に子供が高校、大学に在学する40歳代、50歳代で教育に関する支出が多くなっています。
4 家計にみる暮らしの特徴 −世帯の種類や世代で異なる食料への支出−
食料への支出は,「食材」(穀類,魚介類,肉類,乳卵類,野菜・海藻,果物),「調理済食料」(菓子類,調理食品),「外食」の3種類に分けられます。
二人以上の世帯及び単身世帯(男女・年齢階級別)について支出割合を見ると,単身世帯よりも二人以上の世帯で、単身世帯の場合、男性より女性が、年齢でみると60歳以上の世帯で自宅内で素材から調理したものを自宅で食する、いわゆる内食の割合が多いことがわかます。
一方,「外食」の占める割合が多いのが、男性の単身世帯及び35歳未満の若年単身世帯で、構成比の約半分となっています。
「食料」の構成比(全世帯・全国)(平成15年)
5 資産の状況 −貯蓄現在高の低い階級に偏る世帯分布−
全世帯について貯蓄現在高階級別の世帯分布を見ると,貯蓄現在高が200万円未満の世帯が13.3%と最も多くなっています。世帯分布は貯蓄現在高の低い方に偏ったものとなっており,約3分の2の世帯が平均値1,690万円を下回っています。なお,世帯を貯蓄現在高の順で並べた場合,全体を二分する額となる中位数(真ん中の順位の世帯の額)は,1,027万円となっています。
貯蓄現在高階級別世帯分布(全世帯・全国、平成15年平均)
*平均値と中位数
平均値とは、分布の重心に相当します。ところが平均値は、必ずしも分布の中央(中 位数)と一致するとは限りません。貯蓄現在高の分布などのように偏った分布の場合 は、平均値と中位数にはかなり差が出ることがあります。